ひとりの女性の中の女・妻・母の3つの顔に迫る「女の時間割。」。“女・妻・母としての自分を自己分析してください”という連載恒例の質問に、バレーボールしばりで答えてくれた大山さん。ひとつひとつの回答が深イイお話になっています。
大山加奈さんの「女の時間割。」
Vol.1「女」時間〜ひとりの女性として仕事に向き合う時間〜
Vol.2「妻」時間〜妻として夫に向き合う時間〜
Vol.3「母」時間〜母として子どもに向き合う時間〜
スポーツ解説者
元日本代表バレーボール選手・37歳
大山加奈さん
仕事をしているときの私は『アタッカー』
「仕事のときは“最前線で頑張っている私”ですね。バレーボールのポジションの中でたとえるなら、アタッカーです。アタッカーはみんながつないでくれたボールを、最後に決める役割を担う人じゃないですか。今している仕事も同じなんです。たとえばバレーボール教室の仕事だったら、企画運営をしてくれる方がいて、マネージャーさんがつないでくれて、みなさんが用意してくれたものを最後に自分が決めるという感覚。現役時代も、“みんながつないでくれたボールを、絶対に自分がスパイクを打って決めるんだ!”という強い意志をもちながらプレイしていました。あらためて、今もまさにそうだなと感じています」
妻としての私は『セッター』
「セッターは、チームの中で最も目配り気配りが重要なポジションです。家庭の中で、自分は夫と子どもたちの間に入って、上手につないでいく役割だなあと思っているんです。今は夫婦のゆっくりした時間をもつというよりも、双子のお世話が中心になる時期です。夫と協力しながら家の中がうまくまわるように、夫婦で頑張っているところなんですね。毎日の生活の中でとてもたくさんの協力をしてくれる夫に対してしっかり気配りをして、自分の視野を広くもちながら、上手にトスを回していきたいです」
母としての私は『レシーバー』
「将来、子どもたちが“何かやりたい”とそれぞれの意志をもち始めたら、レシーバーのようにその球を全部拾って受け止めて、全面的にバックアップをしてあげたい。もし、子どもたちに何かつらいことがおきたり、苦しいことにぶつかったとしても、すべて受け止めてふたりのことを守ってあげたい。親がひっぱるのではなく、子どもたちが進みたい道や選択したことが実現できるように支えてあげたいんです。レシーバーの選手って、アタッカーが打ったスパイクがたとえ相手チームのブロックで弾き返されても、後ろで守ってつなごうとしてくれるんですよね。だからこそ、アタッカーは思いきってスパイクが打てる。現役時代はアタッカーだった私ですが、これからは子どもたちにとって、信頼できるレシーバーの立場や役割でいてあげられたらと思っています」(大山さん)
働くママの中にある「3つの顔」をキャッチアップする『Web Domani』の連載「女の時間割」。今回、大山加奈さんのインタビューはバレーボールの話から始まって、バレーボールの話でしめくくられました。現役を退いても大山さんの中には常に強いバレーボール愛が感じられます。これからの大山さんの活動に注目していきたいですね。
Profile
大山加奈
おおやま・かな/1984年、東京都生まれ。小学2年生からバレーボールを始め、小中高すべての年代で日本代表となり全国制覇を経験する。高校在学中に17歳で全日本代表に初選出。卒業後はVリーグの名門チーム、東レ・アローズ女子バレーボール部に入部する。18歳で世界選手権、19歳でワールドカップ、20歳で2004年アテネ五輪に日本代表のエースアタッカーとして初出場。その後、持病の腰痛の悪化で休養と復帰を繰り返し、26歳で現役を引退。現在は全国で講演活動やバレーボール教室での指導、メディア出演や大会解説など、多方面で活躍しながらバレーボールの普及に力を注ぐ。プライベートでは、31歳でメディカルトレーナーである男性と入籍。3年間の不妊治療ののち、2年のお休みをはさんでコロナ渦中に治療再開。体外受精で子どもを授かる。今年、36歳で双子を出産。つらい時期を支えてくれた愛犬だいずを含めた“5人家族”で奮闘中。
インスタグラム : @kanaoyama0619
写真・取材・文
谷畑まゆみ
働く女性のインタビュー企画がライフワーク。カウンセラーやキャリアコンサルタントとしての“聴く”スキルを活かして「YeLL」のクラウドサポーターとしても活動中。Domaniオンラインサロンでは、これまで「女の時間割」にからめた配信に4回登場。執筆協力した書籍、『わかる!伝える!視線の心理術』(造事務所編・メディアパル刊)が10月7日に発売されたばかり。マスク着用やオンラインでの画面越しという、新たな状況の中でのコミュニケーションにおける“人の気持ちを察するための手掛かりの不足によって生じる悩みや不安”の対処法について紹介している。