大山加奈さん「双子のママとして頑張りながら、子どもたちにバレーボールの魅力を伝える活動もしていきたいです」 | Domani

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WOMEN女の時間割

2021.11.24

大山加奈さん「双子のママとして頑張りながら、子どもたちにバレーボールの魅力を伝える活動もしていきたいです」

1日のもち時間は誰でも等しく24時間。けれど、時間の使い方や過ごし方にはその人のスタンスや個性が現れます。この連載では子どもをもち働く女性の“1日の時間割”を軸に、ひとりの女性の中の女・妻・母の3つの顔に迫ります。

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女には3つの顔、3つの時間がある…。今回の「女の時間割。」は、今年2月に双子のママとなり、復職後も次世代の子どもたちに向けてバレーボールの魅力を精力的に伝える、元日本代表バレーボール選手の大山加奈さんにお話をうかがいました。

大山加奈さんの「女の時間割。」
Vol.1「女」時間〜ひとりの女性として仕事に向き合う時間〜 ←この記事
Vol.2「妻」時間〜妻として夫に向き合う時間〜 11/26公開予定
Vol.3「母」時間〜母として子どもに向き合う時間〜  11/28公開予定

スポーツ解説者
元日本代表バレーボール選手・37歳
大山加奈さん

大山加奈さんの「女」時間をClose up 14:00@Office
バレーボールの魅力や自分の経験を子どもたちに伝える仕事に、やりがいを感じています

「コロナ禍以降、バレーボールの指導をオンラインで行う機会も増えました。南三陸の子どもたちとZoomで対話をしたときには『どんなものを食べたら大きくなれますか?』というかわいらしい質問に、睡眠と栄養のアドバイスを伝えたりしたんです。公の場でコメントをするときにいつも気をつけているのは、自分が発した言葉の影響ですね。私自身、子ども時代に聞いた選手の言葉に背中を押されて頑張ったので。責任は重大です(笑)」

「女」時間 大山加奈さんのとある土曜日

この連載では事前に“ある日の時間割”についてアンケートに回答してもらい、撮影シーンを構成しています。大山さんの「女」時間を紹介します。

  6:30 起床、授乳
  7:30 身支度、朝食
  8:30 授乳
10:00 授乳、寝かしつけ
11:00 出発
11:45 事務所入り、着替え、メイク、昼食
13:00 打ち合わせ
14:00 オンラインインタビュー収録開始
17:00 収録終了
18:15 帰宅、授乳
19:00 子どもたちお風呂
19:30 授乳、寝かしつけ
20:30 夕食
21:00 片づけ
21:45 お風呂
22:15 セルフケア
22:45 授乳
24:00 就寝

“スポーツが欠けた人生”を経験している子どもたちへの熱い思い

女子バレーボール日本代表選手時代は“パワフルカナ”の愛称で知られ、栗原恵さんとの“メグカナ”コンビでアイドル的な人気を博した大山加奈さん。高校時代から国内トップクラスの実力をもち、オリンピック・世界選手権・ワールドカップと三大会すべての試合に出場してきた。惜しまれながらの現役引退は26歳のとき。31歳で結婚し、36歳で双子のママに。出産後は子育てのかたわら、指導者やスポーツ解説者としての活動も再開。頑張る子どもたちの背中を押す、子ども密着応援バラエティ『ライオンのグータッチ』(フジテレビ系)では、一度も勝てたことのない小学生のバレーボールチームをイチから指導するなど、悩める子どもたちに寄り添う姿が今、再び注目を集めている。

「仕事をする中でいちばん大切にしているのは、バレーボールを選んでくれた子どもたちを幸せにしたいという想いです。バレーボールを選んでよかったなと思ってもらいたい。私自身、バレーボールと出合ったことで大きく人生が変わってたくさんの幸せをもらえたので、同じように大勢の子どもたちに幸せを届けたいんです。これまでは全国各地を飛び回って直接触れ合いながら、バレーボールの楽しさを伝えようとしてきました。コロナ禍以降は大会もなくなってしまい、スポーツをする子どもたちはすごく苦しんでいました。練習さえもできない状態だったので、ストレスもたまっていたと思うんですよね。次世代に向けての指導は、今後もなんとか工夫をしながら続けていきたいと思っています」

スポーツの道を志す次世代への想いは、もちろんコロナ禍のもとで行われた「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会」にも寄せられていた。

「特に、オリンピック新種目のスケートボードでは、10代選手たちの戦いにのぞむスタンスに驚きました。まず“戦って”いなかったですよね。戦うことよりも自分のベストを出すことのほうを重視しているから、ほかの選手の果敢なチャレンジやトライする勇気を認めて、ほめて、讃えあうことができる。本来スポーツって、こうあるべきだよねというのを、10代選手たちのあの姿から教えてもらいました。

パラリンピックに関しては軽々しく言えないですけれど、みなさん、なぜこんなにも強く清々しい表情でいられるのだろうかと。本当に見ていて勇気をもらえました。はたから見ると強く見えるけれど、実際はものすごくいろいろなものを抱えて、乗り越えてこられたのではないかと思います。それをこちらに感じさせない強さに、心を動かされました。

総じて若い世代の選手たちは、私たちの世代とはもう、マインドが違うんですよね。かつて日本ではスポーツは根性、楽しむとは何ごとだ!という風潮がありました。実際、記者会見で“楽しんで行ってきます”と発言して叩かれた選手もいました。でも、今の選手たちは本当に心から楽しもうと思ってプレイしているのが見てわかる。もちろんメダルを目指してはいるのですが、結果、試合を楽しむ姿勢が記録や結果にも結びついた気がします。

私たちが生きている社会も、そうあるべきだよねと思うんです。だれもがミスをしたくないし、だれかに非難もされたくない。だから、トライすることにすごく勇気が必要になってしまっている。安全に安全にと、気持ちが縮こまってしまっている。そうではなくって、トライはどんどんしたほうが人生楽しいですし、みんながトライして失敗したとしても許容できるような社会って、すごくいいじゃないですか。改めて、スポーツは人の気持ちを明るくしてくれる、頑張る力を与えてくれると思わせてくれた今大会を通じて、アスリートのイメージも変わったのではないかなと感じています。

心と体を鍛えてくれるスポーツの大切さを、ますます感じる状況にあるのですが、現状では、子どもたちは体育の時間やスポーツに触れる機会が損なわれた人生を送っています。体を動かせないストレスも蓄積されているでしょう。それを横で見守るお母さん、お父さんたちも同じようにしんどいはずですよね。保護者の方も大変な時期だと思います。でも、ぜひ子どもたちの話をじっくり聞いてあげてほしいなと思うんです。たとえ違う、と思っても否定から入らず、まずは肯定する。それから話をじっくりと聞く。子どもたちも“自分は受け入れられている存在なんだ”と、安心することができると思います」

何を目標にスポーツをするのか、子どもたちに伝えていきたい

大山さんのスポーツに対する熱い思いは、講演会やメディアの取材テーマからも伝わってくる。アスリートのメンタルヘルスや性的画像の問題、バレーボール界の課題についても積極的に発信したいと考えている。

「バレーボール界が抱える課題について何かもの申すことについては、もちろん、よく思わない方もおられるでしょう。それでもバレーボール界を変えたい、良くしていきたいという軸だけはぶらさずに発言していきたいと考えています。

たとえば、五輪の話で言えば、逆に、私の後輩である女子バレーボールの選手たちからは“期待”という重たいものを背負いすぎてしまった印象を受けました。表情に悲壮感が漂っていて、かわいそうだった。自国開催だけに“結果を残さなきゃ”と、自分で自分たちを追いつめてしまっていたのだと思います。難しいですね。私自身は一度しかオリンピックに出ていないですし、自国開催でもなかったので、その重さがどれほどのものかはわからない。でも、オリンピックに出ることができた喜びみたいなものを感じながらプレイさせてあげたかったという思いはすごくありました。

スポーツ科学や心理学などの影響で、一見、昔よりさまざまな面で環境が整っているような印象があるかもしれません。ですが、学生スポーツに関してはまだまだなところがあると感じています。昔ながらのメダルや勝利至上主義の弊害から、休みが必要な子がちゃんと練習を休みたいと言えなくなってしまう状況があったりします。私自身、現役中はまだ体が十分にできあがっていない小学生時代からハードな練習を休むことなく続けてきました。もちろん、大好きで強くなりたいからこそ打ち込めたのですが、メンバーから外されたくないと思うあまりに、痛みが出ても我慢をしてしまい、結果的にそれが競技人生が縮まる故障につながってしまったんですね。オリンピック出場の喜びは味わえました。でも、腰のケガで引退まで、ほぼほぼまともにプレイできない期間が続いて、心の不調にも悩んできました。なぜ、自分だけがこんなにも弱いのだろう。もう私はチームから必要とされていないのではないかという不安と悲しみがうつ症状を招き、精神安定剤を飲みながらなんとか耐えてきた日々がありました。

だからこそ、今、同じような思いを抱えている子どもたちには“休んでいいよ。痛みは我慢しなくて大丈夫!”と声をかけてあげたい。目標をメダルや勝つことだけに定めるのではなく、価値観を変える助けになってあげたい。あの10代アスリートたちのように、本気で楽しんで、遊ぶかのように練習に夢中になれるように導いてあげたいと考えているのです。

引退後、バレーボール教室などさまざまな場に呼んでいただいて、自分が必要とされていると感じられたことは大きな喜びでした。生きがいを感じました。自分の経験をどんどん発信して伝えていって、それによって誰かが救われたり力になれるのだったら、やれることはなんでもしたいと思っています。

サッカー協会が主催する「夢先生」という、元アスリートが子どもたちに自分の経験を語ったり、一緒に体を動かすプログラムがあるんです。一度参加させていただいたとき、それまで不登校だった子が、私が出演すると聞いて久しぶりに登校してくれたことがあったんです。その日を境にまた学校に行けるようになったと後日教えていただき、自分がきっかけになれたことがとてもうれしく、ありがたいと感じました。子どもたちの感想シートにも「カナ先生みたいになりたいです」と書かれていて、現役ではない今の私を見て“こんな大人になりたい”と思ってくれたかと思うと、幸せでしかありません。子どもたちがそう言ってくれるんだから、期待を裏切っちゃだめ。ちゃんとしなきゃっていう、モチベーションにもつながっています」


こちらの心の温度も上昇してくるような、アスリート魂あふれる大山さんの言葉の数々。現役時代のアイドル的な人気についてどう感じていたかもお聞きしたくて、アスリートをアイドル視する傾向についてたずねてみました。すると、「特定の選手だけが取り上げられるのはいかがなものかなとは思います。でもやっぱり、たくさんの人に応援してもらうこと、見てもらうことが幸せなことなので、そのためにある程度は、注目選手を取り上げてもらうことは必要なのかなと思います。この選手カワイイとか、あの選手カッコいいとか、スゴイ!というところから入ってもらうことも大切で。入り口はやっぱりそこですね(笑)」とおっしゃっていて、少しほっとしました。Vol.2「妻」時間もお楽しみに!

Profile

大山加奈

おおやま・かな/1984年、東京都生まれ。小学2年生からバレーボールを始め、小中高すべての年代で日本代表となり全国制覇を経験する。高校在学中に17歳で全日本代表に初選出。卒業後はVリーグの名門チーム、東レ・アローズ女子バレーボール部に入部する。18歳で世界選手権、19歳でワールドカップ、20歳で2004年アテネ五輪に日本代表のエースアタッカーとして初出場。その後、持病の腰痛の悪化で休養と復帰を繰り返し、26歳で現役を引退。現在は全国で講演活動やバレーボール教室での指導、メディア出演や大会解説など、多方面で活躍しながらバレーボールの普及に力を注ぐ。プライベートでは、31歳でメディカルトレーナーである男性と入籍。3年間の不妊治療ののち、2年のお休みをはさんでコロナ渦中に治療再開。体外受精で子どもを授かる。今年、36歳で双子を出産。つらい時期を支えてくれた愛犬だいずを含めた“5人家族”で奮闘中。
インスタグラム : @kanaoyama0619

撮影/眞板由起氏 スタイリスト/中村さよこ氏  ヘア&メーク/石黒恵理氏 構成/谷畑まゆみ

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