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LIFESTYLE 私の生き方

2023.06.12

伊東美咲さん「子育ての時間も心理の学びも、いつか仕事に活きると思っています」

1日のもち時間は誰でも等しく24時間。時間の使い方や過ごし方にはその人の価値観や美意識が現れます。この連載では子どもをもち働く女性の“1日の時間割”を軸に、ひとりの女性の中の女・妻・母の3つの顔に迫ります。

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女には3つの顔、3つの時間がある…。今回の「女の時間割。」は、3児の母として5年前からハワイでお子さんたちと“教育移住”生活を送っている伊東美咲さんにお話をうかがいました。

伊東さんの「女の時間割。」
Vol.1「女」時間〜ひとりの女性として仕事に向き合う時間〜 ←この記事
Vol.2「妻」時間〜妻として夫に向き合う時間〜 
Vol.3「母」時間〜母として子どもに向き合う時間〜 
スピンオフトーク 

伊東美咲さん
タレント、モデル、女優・45歳

伊東さんの「女」時間をClose up 10:00@studio
スタジオに向かう車中で打ち合わせをしながら仕事モードへ

「生活の拠点をハワイに置いているため、日本で仕事をするときには稼動しやすい雑誌の仕事が中心になっています。多いのはファッションの撮影でしょうか。帰国したら撮影の数日前から体調管理やお肌を整え始めます。当日仕事先へ向かう車の中では、マネージャーさんと打ち合わせをしながら“ここからは仕事時間!”とスイッチを入れることも大切にしています」

伊東美咲さん 座って腕を前に伸ばしている様子

「女」時間 伊東さんのとある平日

この連載では“ある日の時間割”についてアンケートに回答してもらい、撮影シーンを構成しています。伊東さんの「女」時間を紹介します。

6:00 起床
9:30 マネージャーさんと合流、車内で簡単な打ち合わせ
10:00 スタジオに到着、ヘア&メーク開始
11:00 撮影開始
13:00 ランチ
14:00 撮影再開
15:00 終了
16:00 帰宅、夕食準備
17:00 夕食、入浴
20:00 リラックスの時間
23:00 就寝

仕事に対してひとつの“自己達成感”を感じたので一度お休みしました

女優として人気絶頂のタイミングで、人生の軸足をスパッと家庭に置き換える道を選んだ伊東美咲さん。5年前からは3人のお子さんたちと“教育移住”目的のハワイ暮らしをスタート。2年前に12年ぶりのテレビ出演を果たして、その変わらぬ美しさが話題となった。現在はハワイと日本のふたつに拠点をもちながら年に何度か帰国して、短期集中的に日本での仕事も続けている。

「30代はずっと母業に専念してきました。子どもたちは長女が13歳、長男8歳、次女が5歳になり、子育てが次のフェーズに移ってきたのを感じて自分のペースで仕事をしています。ハワイではアンバサダーを務めたり、日本では雑誌の仕事をお受けしたり。帰国しても滞在中はもちろん家のこともしているので、仕事先に向かいながらモードの切り替えをしています。“表現”することが好きなので、カメラの前に立つのはやりがいを感じる瞬間です」

20代は打ち込んできた女優業が評価され、手応えを感じていたタイミングで一度仕事をストップさせた。30代の入り口で選択した人生の分岐点でこの先のキャリアプランや自身の将来をどのように考えていたのか伊東さんにたずねてみると、こんな言葉が返ってきた。

「32歳の結婚を機に仕事を休業したのは、自分の中でひとつの自己達成といいますか、やりきった感があったからです。当時は連続ドラマの出演が何本も続いて稼動時間もハードでした。さまざまな壁や課題を乗り越えながら、20代はとにかく若さと体力にまかせて文字通り自分の時間をすべて仕事に捧げたような時代でしたね。でも長い人生を考えたら、いくつになっても新たな立ち位置からまた自分を磨きあげることができる。引退するのではなく、一時的に仕事をお休みしようと考えることに特に迷いはありませんでした。30代での子育てはきっと次につながる時間になる。40代になっても、きっかけがあればステージに立てることもあるでしょう。答えはひとつではなく、いろいろな選択肢があると考えていたのです」

椅子に座った伊東美咲さん

将来は人をサポートする場でも貢献できたら…

伊東さんのプロフィールを学生時代までさかのぼると、短大で幼児教育を専攻し、幼稚園の教諭二種免許や社会福祉主事任用資格を取得している。表舞台に立つ伊東さんの姿とは一見、対照的に見えるが、もし女優をしていなかったら人をサポートする職業に就きたかったのだという。そして人を支える仕事にまつわる学びは、40代になってからの再就学という形で実現させている。

「自分が40代に入ったとき、次に目指したい成長と達成はなんだろうと考えてみたのです。出てきた答えは“大学に編入して心理学を専攻すること”でした。せっかく勉強するのなら趣味ではなく、教育機関で専門知識を深めたいと考え、それを40代で達成したい目標に定めたのです。子育ての延長としての感覚ではありますが、ずっと“教育改革”というものに取り組んでみたいと考えていたこともあります。自分の子どもだけでなく、世の中の子どもたちがどうしたらより良い成長過程を築くことができるのか、大きな関心をもっています。

心理学を学ぶきっかけはコロナ禍だったことにもありました。リモートワークの普及により、大学でもオンライン授業を導入する学校が増えたのです。一方で人々は自宅で過ごす時間が多くなり、大人だけではなく、子どもでもメンタルが落ちる子が増えてきた。実際、私も知人の悩みを受け止める経験を通じて、もっと専門的な知識を得たいと考えました。

こうした局面で自分にも何かサポートできることはないものか、子どもたちのために役に立てることはないだろうかと模索するうちに、メンタルを強化するための心理学に行きつきました。アメリカではオンラインスクールがごく普通の選択肢のひとつになっています。編入した大学のオンライン授業のカリキュラムでは、知覚・認知心理学や福祉法学、人体構造と機能疾患など一般医学の授業も履修しています。よく、なぜ心理の学生が脳医学を勉強するのかと聞かれるのですが、心理学で一般医学を修学する理由として、人の思考や言動は脳によってつくられているからです。思考や感情、意思や認知などはすべて、大脳にある大脳皮質が司っています。人がものごとを捉える認知の枠組みはとても重要で、認知行動療法などはそのメカニズムをふまえたものとなっています。

卒業後の進路としては、臨床心理士やカウンセラーの資格だったり、日本の国家資格の公認心理師、コーチングの民間資格もあります。私はこの学びはきっと女優業にも役立つ場面があるんじゃないかと考えているんです。たとえばスポーツにおけるメンタルトレーニングのように、演じる仕事に従事する人たちにもメンタルコーチングが必要です。メンタルの強さで乗り越えていけることってすごく多いじゃないですか。コーチングの知識や技術を基盤として、人生のトータルプロデュースのお手伝いができたらと考えています。

今はもう学ぶことが本当にたくさんあって、毎日頭をフル回転させています。“20代だったらもっと記憶力もよかったのに…”なんて思いながら(笑)課題に取り組んだり。その一方で、自分の経験の中から学問を追求していけるのは今の年齢だからこそであり、30代でも40代でもどの世代でも、まだまだ自分を磨いていけるんだということをみなさんにお伝えしたいですね。今は“この学びを極めたい”思いで日々奮闘しています」


この日、撮影スタジオに予定よりも少し早く登場した伊東さん。すらりとした長身とキュッと小さな顔が印象的で、話す言葉はロジカルかつスピーディ。何かを学ぶことはいくつになっても決して遅くはないのだと、ポジティブなパワーをいただきました。Vol.2「妻」時間もお楽しみに!

Profile

伊東美咲

いとう・みさき/1977年、福島県生まれ。学生時代は大阪で過ごし、在学中に幼稚園教諭二種免許や社会福祉主事任用資格などを取得する。スカウトがきっかけで芸能の仕事を始め、女性誌『CanCam』専属モデルを経て、2000年に女優としてドラマデビュー。『ごくせん』(日本テレビ系)や『電車男』(フジテレビ系)など数々の話題作に出演。2004年に初主演した映画『海猫』で第28回日本アカデミー賞新人俳優賞に輝く。32歳で結婚。33歳で長女、38歳で長男、40歳で次女を出産してハワイへの“教育移住”を選択。子育てに専念する30代を経て自分のペースで仕事に復帰。昨年から心理学の勉強も開始する。趣味は着付け、茶道、料理。着付けは準師範の資格ももっている。
インスタグラム : @misaki_ito_official 

撮影/髙木亜麗 スタイリスト/大沼こずえ ヘア&メーク/杉田和人(POOL) 構成/谷畑まゆみ

衣装協力/ネイビーワンピース¥97,900(3.1 フィリップ リム ジャパン〈3.1 フィリップ リム〉)、リング【ブラウンダイヤ】¥242,000・ブレスレット¥275,000(Sサイズ)(ハルミ ショールーム〈オー〉)

3.1 フィリップ リム ジャパン customercare@31philliplim.co.jp
ハルミ ショールーム 03-6433-5395

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