乙葉さん「子どもの成長とともに仕事や自分自身の成長を見つめ直しています」

女には3つの顔、3つの時間がある…。今回の「女の時間割。」は、子育てや家庭に重心を置きながら自分のペースでじっくり仕事を続ける、乙葉さんにお話をうかがいました。

乙葉さんの「女の時間割。」
Vol.1「女」時間〜ひとりの女性として仕事に向き合う時間〜　←この記事
Vol.2「妻」時間〜妻として夫に向き合う時間〜  
Vol.3「母」時間〜母として子どもに向き合う時間〜　
スピンオフトーク 

タレント・41歳
乙葉さん

乙葉さんの「女」時間をClose up　9:00＠TV station
テレビでは、等身大の自分らしさが伝わるように心がけています

「テレビの情報番組やバラエティはさまざまな方がご覧になるので、もちろん言葉に気をつけたり緊張する部分もあります。でもそのなかで心がけているのは、“できるだけ自分らしくいること”です。気負い過ぎて逆に空回りしてしまわないように、今の自分の等身大の姿が伝わればと思っています」

「女」時間 乙葉さんのとある月曜日

この連載では“ある日の時間割”についてアンケートに回答してもらい、撮影シーンを構成しています。乙葉さんの「女」時間を紹介します。

 6:00 起床、夫と協力しながら朝食や子どものお弁当の準備
 7:00 子どもの登校準備、掃除、洗濯など
 8:00 洗濯物干し、トイレ掃除、玄関掃除
　　  朝食
 9:00 収録でテレビ局へ
15:00 仕事終了、帰宅前にスーパーや薬局で買い物
16:00 帰宅
        洗濯物畳み、アイロン、夕飯の用意
17:00 娘帰宅、お話タイム
18:00 夕食
19:00 夕食の片付け、次の日のお弁当の下準備
20:00 自分の入浴
　　  夫帰宅、夕食やのんびりタイム
　　  次の日が忙しいときは、夜のうちに掃除などを終えておく
23:00 就寝

娘の成長を機に、自分の仕事や生活を再確認

いつ見てもほっこりと癒し系の笑顔が魅力の乙葉さん。ドラマ、バラエティ、声優に企業のアンバサダーと、家庭や育児に軸足を置きながらも幅広いジャンルで人気を博している。ひとつの枠にこだわることなく、ふだんの生活をSNSで積極的に発信するタイプでもない。それでも広告に起用され続ける好感度の高さは、おしどり夫婦と呼ばれるイメージとも重なって、変わらぬ柔らかなパブリックイメージを保ち続ける不思議な魅力を放っている。

そんな彼女はこれまで、子どもの学校や行事まわりのことは自分でこなすというスタンスを通してきた。困ったときには家族が連携して、ワークとライフのバランスがくずれないようにと、ゆるやかなペースで仕事を続けてきた。ところが最近、いつまでも永遠に続くかのように思えていた子育ての日々に、ひとつの区切りが見えてきたのを感じていると話す。

「20代後半で子どもが生まれてからは、少しづつ仕事をしながら子育てをしてきました。その娘も14歳になり、最近では彼女の成長をひしひしと感じる場面も増えてきました。すごくうれしいのと同時に、手が離れる時期が見えてきた寂しさも感じています。“娘は成長して、いずれ自分からは離れていく。でも私はそれをきちんと見守ってあげなければいけない”と、自分で自分に言い聞かせているところなんです（笑）。娘の成長を実感して、今後の仕事や自分自身の生活を改めて考え、見つめ直すようになってきました。私自身の生活は子育てに重心を置いてきたので、子どもがもっと成長したときに子育てから手を離せなくなるのではという予感がしました（笑）。ここで自分自身の仕事や成長も含めて、改めて認識しておくことが、次のステップにつながると考えたのです」

芸能界で生きる人であってもそうでなくとも、多くの人は“自分がやりたい仕事”や“やりがいのある仕事”を基盤にキャリアを築いていこうとする。しかし乙葉さんは“置かれた場所できれいに咲こう”とする観点で自分と仕事を冷静に見つめている。

「仕事は“出会い”や“ご縁”の場でもあると思います。だからこそ、こちらからあえてジャンルを決めたり、絞りたいとは思わないんです。声をかけてくださったということは、私に何かイメージをもってくださったということですよね。その期待に精一杯お応えしたい。仕事のオファーをいただくこともひとつひとつ、楽しみだったりするのです」

つらかった仕事の中にも、楽しい瞬間はあったことを忘れずにいたい

乙葉さんのキャリアのスタートは、学生時代のスカウトがきっかけだった。“当時は、芸能と呼ばれる職業に就くとは思ってなくて、初めはアルバイト感覚でした”と振り返る。その理由は堅実なリアリストそのもの。

「学生でしたし、正直なところ、この仕事を続けていける能力が自分にあるとは思っていませんでした（苦笑）。自分がずっと仕事をいただけるとも思ってなかったですし、大学生のときは就職活動をしなくてはと考えていました。この仕事を続けていこうと思えたいちばんのきっかけは、自信がもてなくて“自分なんか”と思っていた私を、認めて起用してくださった方たちへの感謝の気持ちがわいたことでした。いつか恩返しをしたい。次は“お願いして良かった！”と思っていただけるような仕事をしたいという気持ちが芽生えて、続けたいと考えるモチベーションにつながりました。

この仕事をする中で遭遇する“出会い”や“再会”は貴重なものだと感じている理由も、実は同じところにあるんです。今年で仕事を始めて22年になりますが、最近になってデビュー当時にお世話になった方とほかの仕事で再会したり、ご縁を結び直せたうれしさを体感しているんです。

たとえば、初出演した舞台『鈍獣』での苦しかった思い出が、あとでうれしい再会につながったことがありました。当時の私には初めての舞台は難しいことばかりで、稽古中から葛藤がありました。未熟すぎて泣いてしまうなど迷惑をかけた後悔が残っていて、いつか謝りたいと思っていたのです。それが10年以上たってドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の最終回にゲスト出演することになり、そのとき呼んでくださったのが、舞台で共演した古田新太さんでした。当時は話せなかった思いを時を経て伝えられたり、あのときの先輩の気持ちを教えていただいたり、絆がよりいっそう深まるような時間でした。年を重ねたからこそ、悲しかったで終わらせずに“こんな考え方もあったか”などと過去の出来事を別の視点から捉え直すことも必要で、そのことに気づかせていただいて本当にありがたかったです。

私たちの仕事は、こうしたひとつひとつのご縁やつながりから、また新しいものが生み出されるようなところがあります。大人になるほど、好意の感情や愛情ってきっと自然に相手にも伝わってしまうものだから、出会って共演させていただく間はその方の素敵なところをひとつでも多くみつけたいし、“好き”をたくさん積み重ねていきたいと常に思ってのぞんでいます。レギュラーのお仕事で毎回お会いするスタッフの方が私を笑顔で迎えてくださると、こちらも自然に感謝の気持ちがわきますし、そのことが活力となって自分もがんばれているのだと思います」

仕事では自分が求める場所ではなく、求められる場所で咲くことをスタンスとしている乙葉さん。出会いや再会、一緒にお仕事をする方への感謝が活力となって、それをお仕事に還元していくあたたかなサイクルが見えたような気がしました。娘さんとのユニークなエピソードはVol.2「妻」時間でも冒頭に登場しますので、お楽しみに！

撮影／眞板由起　スタイリスト／亀 恭子 　ヘア＆メーク／板倉タクマ（ヌーデ）構成／谷畑まゆみ

ジャケット¥93,500(ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店〈ユナイテッドアローズ〉)、ワンピース¥29,700(ELENDEEK)、〝ドレステリア〟のバッグ¥22,000〝カミナンド〟の靴¥28,600(ドレステリア 渋谷スクランブルスクエア店)、〝ココシュニック オンキッチュ〟のイヤーカフ¥14,850・リング[左手]¥11,550〝ココシュニック〟のリング[右手]¥74,800(ココシュニック)

協力社リスト
ELENDEEK　03-6853-0100
ココシュニック　03-5413-5140
ドレステリア 渋谷スクランブルスクエア店　03-6419-7115
ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店　03-5786-0555