(取材データ)美智花さん(仮名)、38歳。仕事は医療関係。都内のすごい資産家の息子と結婚し、友人たちには羨ましがられるが、実は彼は重度のギャンブル依存症で多額の借金があることが判明。命からがら逃げ出して離婚したバツイチさん。
【目次】
結婚相手は誰もが羨む資産家の息子
長年この連載の取材をしていると、バツイチになってしまう結婚の傾向というのがいくつかあることに気づきます。
まとめるとだいたいこんな感じ。
・そこまで好きではないけど適齢期だったから何となく結婚した
・交際当時から相手の家族に「ん?」と違和感を覚える出来事があった
このふたつは鉄板。
今回の美智花さんは、その地雷ポイントふたつをコンプリートしてしまって離婚したお方。
医療関係のお仕事をされている彼女は、仕事で出会った同い年のAさんと交際し、付き合って3か月後には彼から結婚を提案されます。
Aさんは都内の資産家の息子で、本家の次男坊。実家は大きな医院を経営しており、一族は全員医療従事者という家系。アラサーの婚活女子からしたら垂涎のスペックだと思うのですが、美智花さんは結婚の話をされても特にうれしい気持ちにもならず、「私ってこんな風に結婚するのか〜」と、どこか冷めた目で見ていたそう。
向こうの両親に釣り書きを要求されて破局!
いざお互いの実家に挨拶、となったときに問題にぶち当たります。それは、向こうの両親からの「身上書を持ってこい」という要求。
身上書とはいわゆる釣り書きのことで、お互いの学歴や健康状態、家族構成などを書いた、結婚のためのプロフィールみたいなもの。良家同士の結婚だと、提出しあうことがあるみたいです。いいおうちの人と結婚するのも大変なんですね。
美智花さん:最初に彼がうちの実家に挨拶に来たんですが、そのときに身上書を持っていくと聞かなくて。私は「そんなの必要ないよ」と言ったんですが、「うちの親が持っていけと言っているから」って。そのときから嫌な予感はしてたんですよね。これは絶対、私にも持ってこいって言われるだろうなと。
嫌な予感は的中したのですが、プライドの高い美智花さんからすれば、「プロポーズしてきたのはそっちなのに、なんでこっちがそんなものを書かなきゃいけないの?」とカチンと来て大ゲンカに。
美智花さん:こっちからすると、今まで家族の話も全部しているし、「やましいところは何もないのに、なんで今さらそんなものを提出しなくちゃいけないの?」という反発しかなかった。でも向こうの両親は向こうの両親で、「書かない意味がわからない」と言っているみたいで。
彼の父親から衝撃のひと言が…
結局、「そんなことまでして結婚したくない!」と美智花さんがキレて一度は破断になったのですが、美智花さんの知らないところで彼が実家の両親に謝りに来たのです。
その事実を両親にあとから知らされて、「あそこまで言ってくれるなら誠意があるんだと思うから、あなたも意地を張らずに身上書を書いてあげれば?」と説得されたので、美智花さんは渋々彼と仲直り。
美智花さん:彼には「今回は書くけど、私が折れるのは今回だけだよ?」って念を押して、下手に出てるんじゃないってことを強調しました。私は今まで何でも自分の思い通りになって苦労したこともなかったので、この時点で初めて壁にぶち当たった感じでした。
―30歳で結婚に全然焦ってないし、その年齢まで挫折を知らない、この強気な言動。コロナ感染拡大予防の観点から、電話取材だったのですが、私は美智花さんは絶対に美人だと確信しました(笑)。
さて、向こうの実家に身上書を持って行くと、そこで彼の父親から衝撃のひと言を言われたのです。
「うちに入ったら、美智花さんはうちでいちばん下の人間になる。何か思うことや嫌なことがあっても我慢してもらいますよ」
ひぃい〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!
この時代に、こんな時代錯誤な「嫁」意識を持っている両親が生存していることにもびっくりですが、普通ならここで「この義実家はヤバい」と感じて逃げ出す案件ですよね?プライドも自己肯定感も高そうな美智花さんがなぜここで逃げずに結婚してしまったのか。
その後のお話は次回に続きます。
インタビュー・文
さかい もゆる
出版社勤務を経て独立。と思った矢先、離婚してアラフォーでバツイチに。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛けるフリーランスエディター。Web Domaniで離婚予備軍の法律相談に答える「教えて! 離婚駆け込み寺」連載も担当。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。