あんさん？
【登場人物】
あん（私）…シングルマザー8年目にして5歳年下の男性と結婚。夫の会社の経理担当。40歳。
蓮…6年生から中受を始め、第３志望の共学校へ入学。12歳。
臣斗くん…あんの会社の後輩・海斗くんの大学の同級生で再婚相手。35歳。
結衣…蓮の彼女。4年生からS塾に通い中受するも蓮とは別の女子校へ入学。
お母様…臣斗の母。英語教師で蓮の中学受験を強力プッシュ。
【前回までの話】
関係性が最悪になっていた義母と母の葬儀で再会し、義母の優しい言葉で仲を修復。蓮の入学式には臣斗と一緒に参列し、蓮は成績クラス1位宣言をするも早々にいじめにあってしまう。そのイジメをオプチャで知り合った見ず知らずの人に相談していたことが発覚。早期発見で危ない目には合わなかったが、そんな成長過程にいる息子と、父の世話、母が担っていた家事と新たな生活に徐々にストレスが溜まり始める。家庭教師へお礼の食事会をした際、先生から義母の罠を聞いてしまう。一方、父がボヤ騒ぎを起こし意気消沈している中、祖母の訃報が入り家を訪ねると伯母から相続全取りの話が。法定相続を提案するも一向に聞く耳を持たない伯母。その後何度も話し合いを重ね、第三者の介入でなんとか方がつく。しかし、夏休みに入り連が不調を訴えていた足と耳の病院へ。足は大事に至らなかったが、耳は「聴覚情報処理障害」の疑いとなってしまう。夫・臣斗から突然ひとりで考える時間が欲しいと言われ連絡が取れない日々が続いたが、その正体は義父の病気にあった。手術のため入院をするがその間のお世話を誰がするかで揉め、紆余曲折あり結果あんが見ることに。
前回の話▶︎ありえない!!義父の手術当日に義母が驚きの行動に!?【中学生ママ（40歳、子連れ再婚）のぶっちゃけ365日vol.35】
Season1▶︎『シングルマザーの恋愛』はコチラから
Season2▶︎『39歳、子連れ再婚の365日』はコチラから
夫の親で、ましてや異性。わかってはいたけど看病の難しさにへこたれそう。
こんにちは。シングルマザー歴8年目にして子連れ再婚をしたあおいあんです。
前回は夫・臣斗くんのお父様が手術をし、主治医から癌の転移があるかもしれないと言われたところまでお伝えしました。
手術日の翌日は朝から病院へ行った。病室に着くとお父様は寝ていた。起こさないよう静かに椅子に座ると
お父様
目は瞑っていたがどうやら寝てはいなかったようだ。
私
はい。おはようございます。お加減はいかがですか？
お父様
痛い
いつもなら陽気に話すお父様も、さすがに口数が少なかった。
私
痛み止め追加できないか看護師さんに聞いてきますね
ナースステーションへ行き看護師に痛み止めの追加ができないか聞いてみると、夜中からずっと「痛い」を繰り返し訴えてくるので痛み止めを追加し続けていて今はこれ以上無理だと言われた。病室へ戻りお父様にそのことを伝えてみるも「痛い」しか言わなかった。しょうがないので少しでもリラックスできるよう、手や腕をマッサージをした。母の時もやってあげたなと思い出し少し寂しくなった。
お昼になると看護師が重湯を持ってきてくれた。
私
お昼ご飯がきましたよ。ちょっと起こしますね
ベッドをほんの少し立てるとお父様は顔を歪ませた。タオルをエプロンにし重湯を口に持っていくとお父様は首を横に振り拒否をした。
私
食べないと元気にならないから食べましょ
再度やってみるも口は開かず。飲み物と交互で口に運ぶも食べてはくれなかった。自分の父親なら無理やり口の中に流し込めるが義父となるとそうもいかず、看護師へ伝えると水分も栄養も点滴で入れているので無理せずもう少し様子を見ましょうと言ってくれた。
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お父様
トイレ
まだ傷が痛むためトイレまでは車椅子で行くと看護師に伝えられてたので車椅子を持ってくると
お父様
看護師
私ではなく看護師を呼べと言ってきた。なんだかショックだったけど、漏らされても困るのナースコールを押し看護師にお願いした。トイレから戻ってきた看護師に「ありがとうございます」と伝えると、「娘さんやお嫁さんだとトイレの介助を嫌がる男性多いんです。気にせずナースコールしてくださいね」と優しい言葉をかけられ少しホッとした。母の時は女同士だからお互い気にならなかったんだ。そう考えるとやっぱりこの先、お父様が闘病生活を続けるなら私ではないと改めて認識した。
その後もお父様はほとんど喋らず、私はたまった洗濯物をコインランドリーで洗濯したり、ひたすらマッサージをして過ごした。面会時間の終了がアナウンスされ「また明日来ますね」と伝え、ナースコールボタンを枕元に置くと「ありがとう」と手を伸ばしてきた。その手を握り優しく撫でてあげた。この姿をお母様にも見て欲しいと思った。
帰り道、臣斗くんへ電話をしてお父様の状態を伝えた。
臣斗
昨日の今日だ、まだ傷口が痛むんだね
私
ご飯も食べられなかったし、トイレの介助も拒否されたから私じゃ役不足なのかも。お母様はどうだった？
臣斗
転移してるかもって話しても、検査しなきゃわからないでしょって
私
週末はお見舞いに来れるのかな？お母様仕事休みでしょ
臣斗
それは念を押しておいたよ。逃げるなって釘を刺した。俺も行くし、明日金曜日だろ。とりあえず明日までお願いします
私は「わかった」と電話を切った。土日は蓮が休みだし、臣斗くんとお母様が面会に来る約束になっていた。
次の日、口数が少なかったお父様が心配で朝から病院へ行った。病室へ入ると昨日は少しでもベッドの背もたれを起こすと痛がっていたのに、テレビが見れるくらい立てた状態で座っていた。
私
おはようございます。顔色いいですね
お父様
おはよう。昨日はごめんね。傷が痛くて痛くてさ
昨日とは別人のように明るく話すお父様。
私
全然大丈夫ですよ。傷がつったりしてませんか？
お父様
つってる感じはまだするし、まだ痛いんだけど昨日よりはだいぶマシになったよ
看護師によると痛み止めの種類を変えたら「痛い」と言わなくなったそう。そんなこんなでトイレも車椅子なく行けるようになり快適になった話や、明日から始まるリハビリを兼ねたお散歩が面倒など手術前と変わらない調子で会話ができた。お昼になると七部粥くらいの食事が配られた。
お父様
またこれか。味もしないし、この米とも汁とも言えない感じが泥水飲んでいるみたいで嫌なんだよ
私
わかりますよ。でも明後日からは普通食になるって言ってましたから
お父様
せめてごま塩さえあれば美味しく食べられるんだけどな
そう言うと私の方をチラッと見てきた。私は黙って首を振った。
お父様
じゃあいらないから下げちゃって
私
食べないのはダメですよ。徐々に胃や腸を慣らしていかないと
お父様
じゃあごま塩じゃなくてもいいからふりかけ買ってきてくれよ、あんさん
困り果てた私は看護師に相談するためナースステーションへ。看護師によると昨晩と今日の朝食も駄々をこねお粥は食べなかったという。明日転移の検査があるので今日まではふりかけなしでお願いしたいと、点滴しているので最悪食べなくても構わないと少し冷たくあしらわれた。病室へ戻ると一緒にお盆に乗っていたゼリーは食べお粥だけ綺麗に残っていた。
私
明日検査があるから今日はダメだって言われました。明日検査終わったらもう一度聞いてみましょう。ね、お父様
励ますようにお父様へと伝えたつもりだったが、お父様から耳を疑うような一言が……。
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あおいあん
８年間シングルマザーで、40歳を迎える前に「もう一度、女としての人生を！」と一念発起し、5歳年下の男性と再婚（事実婚）。中学生になった息子と、伴侶を亡くした父親と実家暮らし中。
▶︎インスタグラム：@shinmama_aoian
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