他人行儀(たにんぎょうぎ)
「他人行儀」の「他人」には、自分以外の人という意味のほか、事柄に関係のない第三者という意味合いがあります。また、「行儀」とは礼儀の面から見た立ち振る舞いのことです。
「他人行儀」とすることで、他人に接するように打ち解けない様子を言い表せます。主に、本当はある程度仲が良いにも関わらず、あえて遠慮したり、落ち着いた態度をとったりする際に用いられる表現です。
・知らない人が来たとたん、彼は急に他人行儀な態度をとった。
・妻の実家に出向き「ゆっくりくつろいで」と言われたものの、緊張でつい他人行儀な態度になってしまう。
・こちらは仲が良いと思っていたのに、彼女の他人行儀な態度に少しさみしさを感じた。
たにん‐ぎょうぎ〔‐ギヤウギ〕【他人行儀】
[名・形動]他人に対するように、うちとけないこと。また、そのさま。「仲間内なのに他人行儀なあいさつ」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
余所余所しい(よそよそしい)
「余所余所しい」は、他人行儀な様子を表す言葉です。また、冷淡で親しみがないことや、無関係であることも意味します。
そもそも「余所(よそ)」には、自分には直接関係のないことや、関心のないことといった意味合いがあります。類義語に「そっけない」があることからも、「余所余所しい」は温かみが感じられない態度に対して用いる言葉といえるでしょう。
・彼は私の友人に対して余所余所しい態度をとった。
・今さら敬語を使うなんて、余所余所しい態度はやめてくれよ。
・彼女はいつも丁寧だが、どこか余所余所しい態度が気になる。
よそよそ‐し・い【余▽所余▽所しい】
[形][文]よそよそ・し[シク]
1 隔てがましく冷淡である。親しみがない。他人行儀である。「―・い態度をとる」「わざと―・くする」
2 無関係である。
「あなうたて、いと―・しきことをも知らせ給ひにけるかな」〈狭衣・三〉
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
水臭い(みずくさい)
「水臭い」は、前述した他人行儀なことと余所余所しいこと、両方の意味を持つ言葉です。
食べ物や飲み物が水っぽく、おいしくないという意味が転じて、愛情の薄さや他人行儀な様子を表す言葉になったといわれています。
以下のように他人同士ではなく、親しい関係にあるもの同士の間で用いられる表現です。
・僕と君との仲で隠し事をするなんて、水臭いじゃないか。
・長年の付き合いなのだから、水臭いことを言わず何でも相談してほしい。
・数年ぶりに会った友人に、思わず水臭い態度をとってしまった。
みず‐くさ・い〔みづ‐〕【水臭い】
[形][文]みづくさ・し[ク]
1 水分が多くて味が薄い。水っぽい。「―・い酒」
2 よそよそしい。他人行儀である。「婚約を隠すような―・いまねはよせ」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
親しい気持ちを表す言葉「親近感」を正しく使おう
「親近感」は、相手に対する親しみの気持ちを表す言葉です。親近感を「感じる」「持つ」「抱く」のようにさまざまな形で活用できます。
また、「親近感」には「親和性」や「相性」のような言い換え表現があります。いずれも「親近感」と似たニュアンスを持つものの、使用するシーンは異なる言葉です。
「親近感」を感じない相手や態度は、「他人行儀」「余所余所しい」「水臭い」などと表現できます。
それぞれの意味や使用例を参考に、「親近感」という言葉への理解を深め、日常生活やビジネスで正しく使用していきましょう。
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