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LIFESTYLE インタビュー

2025.02.28

ぼる塾の心温まる日常『酒寄さんのぼる塾晴天!』インタビュー

4人のぼる塾の日常を描いたエッセイ本『酒寄さんのぼる塾晴天!』。今作には、田辺さんと酒寄さん、そして酒寄さんの息子さんである“みたらしちゃん”との微笑ましい日常が描かれています。結婚、出産、育児を経ても変わらないだけでなく、深くなっていく関係について、おふたりにお話を聞いてきました。

――酒寄さんの息子、“みたらしちゃん”が生まれて、おふたりの関係はどう変化しましたか?

田辺:それが12年前に出会った時のまま、まったく変わらないんです。世の中的に、友だちに子どもが生まれると、自分が子どもを産んでいない場合は、関係が変わることも多いですよね。 

――生活リズムが変わりますしね。

田辺:そうなんですよね。私には高校生の時から〝同じアイドルが好き〟という理由で仲良くなった4人の友達がいるんですが、その中の1人が22歳で結婚して、出産をしたんです。でも、他の3人は高校生の時のまま変わらないからこそ、その子が「みんなが楽しそうでいいな」って呟いたことがあったんです。そこで私は、その子が出産して大変だろうと思い、変に気を遣い、あまり誘っていなかったことに気づいたんですよね。さらにそのひと言を聞いて、これまでと何も変わらず、誘った方がいいんだって思ったんです。それから20年以上が経ちましたが、あの時に“変わらない大切さ”に気づけたからこそ、今も仲良い友だちなんですよ。なので、ぼる塾のメンバーとも、酒寄さんが出産したとて、関係性は変わらず、最近も4人で一緒にディズニーランドに誘って行ったりしていて。

酒寄:きっと、田辺さんにそういった経験があったからこそ、私にも変わらずに接してくれたんですよね。

田辺:関係があまりに変わらな過ぎて、酒寄さんが出産した日に、「今日のライブのコーナーはどうやってボケたらいい⁉」って連絡したんですよ。

酒寄:出産した直後に「一緒にボケを考えてくれ」と言われて、こんなにも変わらないものかと思いました(笑)。

田辺:まぁ、気を遣ってもしょうがないなって思ったんですよね。いや、気を遣えよって感じですけど(笑)。

――あはは。でも、ありがたいですよね。

酒寄:本当にありがたかったです。出産後の世界は全く分からなかったからこそ、田辺さんがまったく変わらないまま接してくれていたことにすごく救われたんです。もちろん、息子が生まれたことで、行動範囲が変わったりすることはありましたが、そこに関して変な気の遣われ方をしていなかったので、私は産後、こじらせることがなかったんです。もちろん、子どもがいるから断らないといけないこともあるんですが、そうやっていつも通り接してくれる田辺さんがいてくれたおかげで、「今は仕方がないな」って割り切ることができたんです。

――エッセイ本を読んでいると、もはやふたりで子育てをしている感じがありますよね。

田辺:あはは。この前、みたらしが「なんで雨が止むの?」という質問をしたんですよ。酒寄さんはそれに対して「神様が止めているんだよ」と答えたら、みたらしが「そんなわけあるか~い」ってツッコんでいて(笑)。私もなにか答えたいと思い、Googleで調べたら、「スズメが泣くと雨が止む」という言い伝えを見つけたんです。それをさも私が知っているように伝えたら、なぜかみたらしが納得したんです(笑)。

――みたらしちゃんにとって、田辺さんはどんな存在なのでしょうか。

酒寄:私も少し前に田辺さんってみたらしにとってどんな存在なんだろうって考えていたんですよ。そのタイミングでみたらしが神社でおみくじを引いたんです。そこに「髪の毛の長い友達が幸せを運んできてくれる」と書いてあったので、「これって田辺さんのことじゃない⁉」って言ったら、みたらしが「そうだそうだ!」って目を輝かせたんですよね。きっと、いまは幸せを運んでくれる人だと思っていると思います(笑)。

――そのプレッシャーはないですか?

田辺:ないです(笑)。

――その確固たる関係性はどうやって築いているのでしょうか。

田辺:好きなパンやお菓子など、物で釣っていますからね(笑)。前にあんりとはるちゃんと3人でみたらしに会いに行った時に、「気を遣うからおみやげはなしにしよう」と話していたんです。でも、その道中でアンパンマンのかりんとうを見つけて、「これはみたらしが好きなはず」と思い、みんなに抜け駆けして買っていったんです。

酒寄:それをあげる姿をみたあんりちゃんが「お土産はあげないっていったでしょ!」と怒って、揉めだしたんです(笑)。それをみて、みたらしは田辺さんのせいで揉めていると思ったらしく、田辺さんにまわしげりをしたんですよ。

田辺:まだ2才くらいだったよね? ビックリしちゃった! でも、結果的に美味しそうに食べていて嬉しかったですね(笑)。

――みたらしちゃんも、田辺さんに会うことをすごく楽しみにしていることが伝わってきます。

酒寄:生まれた時からずっと近くにいるから、「田辺さんと会うよ」と言うと、すごく喜ぶんですよ。

田辺:いつも会うまでは、「田辺さんにありがとうって言う!」とか「田辺さんに会いたい!」って動画を撮って送ってくれるのに、いざ会ったら全然嬉しそうじゃないんですよ! 何でなの⁉

酒寄:照れちゃっているんですよね。あとは、田辺さんが「坊ちゃん」って呼ぶから「坊ちゃんって呼ばないで!」って言っていて(笑)。

田辺:私はみたらしの“ヒデじい”(『ちびまるこちゃん』に出てくる花輪くんの執事)になりたいんですよ。だから「坊ちゃん」って呼んでいるのに「言わないで!」ってすごい怒ってくるんです(笑)。

――同じ目線で遊んでくれるところがいいのかもしれないですね。

酒寄:それはすごくあると思います。まったく子ども扱いをしないんですよ。

田辺:私はみたらしを同等だと思っていますからね。子どもだと思うと、繊細に扱わないといけない感覚がありますが、同等だと思えば対等ですから。ただ気を遣いたくないからだけかもしれないですけどね(笑)。

酒寄:田辺さんは、自分を1人の人間として扱ってくれるから、みたらしは友達だと思って接しているんです。

田辺:この関係性がすごく良いんです。この前もレゴランドに行った時に、その前にあるアスレチック場に興味を持ってしまって、全然動かなくなっちゃったときがあったんですよ。そこで私が追いかけまわしていたら、あんりが「どうせ大人が全員行ったら行くんだから! 子どもひとりじゃどうにもならない!」と言ってずんずん進んでいったんです。みたらしはそれでも抵抗して、「レゴなんて嫌い!」とまで言っていて。でもいざレゴランドに入って、係員のお兄さんに「レゴが好きな人!」と聞かれたら、誰よりも元気に「はーい!」って手をあげていて! 「なんて調子のいい子なんだ!」ってあきれていました(笑)。

――あんりさん、はるかさんと田辺さんがみたらしちゃんに対しての対応もまた違いますよね。

酒寄:そうですね。あんりちゃんは大人と子ども、田辺さんは友達、はるちゃんは、とっても優しいお姉さんになるんです。

田辺:そのせいで、私が差し入れをしても、絶対に「はるちゃんにもらった」って言うんですよ! 私があげたのに! なので「これは田辺さんがくれたの。繰り返して!」と言って「田辺さんにもらった」と言わせています(笑)。「はるちゃんは何もくれない!」とうその情報も仕込みました(笑)。

酒寄:前にあんりちゃんがものすごくスベッたことも、田辺さんがスベったことになっていたよね?

田辺:そう! 前にあんりが『マツケンサンバⅡ』を踊ってみたらしに近づいて行ったことがあって。みたらしはそれをものすごく嫌がっていたんです。後日、私に「田辺さん、あれはやめた方がいいよ」って言ってきて!

酒寄:なぜかネガティブなものは田辺さんなんですよね(笑)。それに、みたらしはどこかあんりちゃんに憧れているんですよ。ツッコミの仕方があんりちゃんそのまんまなんです!

田辺:でも、ボケもできるんですよ。どうしよう…将来芸人になりたいって言い出したら…。

酒寄:今、みたらしはさや香さんが大好きなんです。

――大人っぽいセンスですね!

田辺:これは芸人コース、ありますね。そしたら酒寄さんにネタを書いてもらって、私とみたらしでやりますわ!

酒寄:その時はぼる塾と掛け持ちにしてね(笑)。

――日常の愛おしい瞬間をアウトプットしながら書く作業は、大変でありながらも、楽しんでいることが伝わってきます。

酒寄 ありがとうございます。本を書いている時は本当に楽しいですし、書き上げた後に田辺さん、あんりちゃん、はるちゃんが読んで、「私たちおもしろいね」と言っているのを見て、あらためてこの人達っておもしろいなって思うんです。

――田辺さんは登場人物として存在しますが、どのような心境で本を読んでいるのでしょうか。

田辺 「自分ってこんなにおもしろいんだ」って思いますね(笑)。それに、プロローグを読んでいると、自分のことながら、ちょっと泣いてしまうくらいなんですよ。それくらい私たちの生活がしっかりと綴られているんです。ただ、私が人との別れのあとにこんなにもフードコートで喜んでいたんだとか、変なことをしていたことをすっかり忘れていて、「こんなことあったんだ」と驚くことも多いんです。

酒寄 みんなは毎日本当におもしろいのに、どうしても日常って忘れてしまうんですよね。なので、こうやってちゃんと残しておいてよかったなと思っています。

――自身で読んで面白いなと思ったエピソードを教えてください。

田辺 いっぱいありますね。『女芸人No.1決定戦THE W 2024』で差し入れであった千疋屋のバナナのお話や、みたらしが家にくるのが私をラッピーと勘違いしていて、いざ私が出向いたらショックを受けた話だったり…(笑)。

酒寄 私はあんりちゃんと田辺さんが架空の小学生になって田辺さんと戦うというボケを楽屋でやっていたお話などが忘れられないですね。

田辺 あとは、私が靴下を本当によくなくす話もオススメです(笑)。

酒寄 あまりにも靴下をなくすので、先輩芸人さんの名前をつけたらいいのではと、なすなかにしさんに許可を取って、左右それぞれに那須さんと中西さんの名前をつけたんですよ。そしたら、楽屋で「なすなかにしさんが消えた!」って叫び出して(笑)。

田辺 不思議なんですよね。絶対になくなっちゃう!

酒寄 でも杏里ちゃんが探してないだけだ、それは探しているようで見ているだけだと言ってちゃんと探させたら見つかったんですよ。

田辺 本当に良かった!(笑) いまはちゃんとなすなかさんが私の手元にあります!

――そこまで名づけが馴染んでいると履くのがもうしわけないですね(笑)。

田辺 そうなんですよ。でも、みんなが私が靴下をなくすことを知っているので、差し入れが靴下だらけになったんです。でもよくよく考えると、私が靴下をなくすことが分かった上でくれるって、どんな気持ちなんだろうって思っていて(笑)。

酒寄 あんりちゃんが嫌いな靴下だけ頑なになくならないんですよね。

田辺 そう! 黒とオレンジの模様なんですが、「大嫌いだから辞めて!」「気持ち悪い!」って言うのに、それだけはなぜかなくならないんです(笑)。いい店で買った靴下だからかな?

――あはは。では最後に、あらためておふたりが感じる今作の推しどころを教えてください。

酒寄 私たち4人って、読者の方と、そのご友人たちみなさんい誰かしら当てはまると思うんです。なので、そういった方たちを思い浮かべて読んでいただけたら嬉しいですね。

――この本を読んだら、みなさんのような友達が欲しくなります!

酒寄 本を開いたら私たちはもう友だちです!

田辺 そうそう! それに、私たちは自分なりに一生懸命生きているつもりではあったんですが、これを読んで、くだらないなとか楽しいなと思ってもらえたら嬉しいですし、なによりも力を抜いてラクに生きていいんだって思ってもらいたいですね。それに絶対にみなさんも日常で楽しいことは溢れていると思うので、小さなおもしろいことを見つけてみるのも大事な時間なんじゃないかなと思います。人間って、どうしてもネガティブなことに目が行ってしまいますが、バナナがないとか、弁当が美味しいとか、くだらないことを楽しめたら、さらに人生が楽しくなるのではと思っています。

――みたらしちゃんにはどんな大人になってほしいですか?

田辺 私はみたらしにジャズをやらせたいんですよ。

酒寄 ずっと言っているよね。

田辺 うん。まずピアノをやらせたいですね。なにより、私はみたらしをミッキーにさせたいんですよ。ミッキーはディズニーシーでドラムをたたき、その後にタップダンスをするんですが、そうさせたいんですよね。

酒寄 なれるかなぁ~!(笑) ちょっと難しいですが、成長が楽しみです!

温かいママと、友だちの田辺さん、優しいお姉ちゃんのはるちゃん、そして大人としてしっかり接するあんりさんにたっぷりの愛に包まれながら育っているみたらしちゃん。どんな大人になっていくのか、楽しみですね!

Profile

ぼる塾(ぼるじゅく)

きりやはるか、あんり、田辺智加、酒寄希望による4人組お笑いユニット。NSC東京校18期生の猫塾、20期生のしんぼるが2019年に合流し、カルテットとして。2023年には『女芸人No.1決定戦 THE W』にて3年ぶりの決勝進出を果たした。現在は様々なバラエティ番組で活躍中。現在、CanCam.jpにてメンバー4人によるリレーエッセイを連載中!

Information

『酒寄さんのぼる塾晴天!』(ヨシモトブックス/¥1595)

酒寄さんの育休が明け、目指したのは『女芸人No.1決定戦 THE W』の結晶。賞レースに挑戦する4人と、酒寄さんの息子であるみたらしちゃんの成長も描かれたエッセイ本。

撮影/熊谷直子 文/吉田可奈

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