炊いたご飯は冷蔵庫でどのくらい保存できる?

ご飯を炊きすぎたり夕食の予定が変更になったりして、ご飯を冷蔵庫に入れて保存することってありますよね。ただ、炊いたご飯を冷蔵する上で気になるのが「保存期限」。まずは、どの程度冷蔵庫で保存できるのか、理由とともに解説します。
おいしく食べられる目安は1日
冷蔵庫でご飯を保存すると「でんぷんのベータ化」という現象が起き、炊く前と同じように消化しにくく、そして硬くなってしまいます。長く置くほどベータ化が進むので、消化や味を考えると、冷蔵ご飯をおいしく食べられるのは1日が限度でしょう。
厄介なのが、再加熱しても炊きたての状態には戻らないことです。また、基本的に水分が残ったまま冷蔵することになるので、しっかりラップにくるんだり保存容器に入れたりしても、べちゃっとした食感になりがちに…。
2020年にはTwitter(現X)でJA全農広報部のアカウントが「炊いたごはん冷蔵禁止令を発出します。」と投稿し、4万件ものいいねを集めました。衛生的に食べられなくなるという意味の「禁止令」ではありませんが、ご飯を冷蔵するとでんぷんが劣化することを警告しています。
消費期限も1日と考えた方が安全
米には「バチルス・セレウス(セレウス菌)」という細菌の胞子が潜んでいることがあり、加熱しても死滅しません。しかも炊いた状態のご飯を放置しておくと、菌にとって増殖しやすい温度になってしまいます。これが悪くなったご飯を食べて、食中毒を引き起こす原因となるのです。
厚生労働省が発表している資料によると、日本でセレウス菌食中毒の原因となっている食べ物は、「穀類及びその加工品」が最も多いとされています。無論、炊いたご飯もこの中に含まれるため、保存には十分な注意が必要です。
意外なところでは、スコットランド食品基準局のホームページでも調理済みの米を24時間以上冷蔵保存しないように注意喚起されています。Web上には「2〜3日食べられる」との情報もありますが、特に暑い季節は万全を期して、冷蔵庫で保存したご飯であっても消費期限は1日と考えましょう。
ご飯を冷蔵庫以外で保存する方法

炊いたご飯を保存する方法は、冷蔵庫に入れる以外にもあります。食べるまでの時間によって異なる、2つの方法をチェックしておきましょう。いずれもでんぷんの劣化を抑え、おいしく食べられる保存法です。
すぐ食べるときは炊飯器で保温
午後に炊いて夕飯に食べる程度なら、炊き上がったご飯は炊飯器で保温しておきましょう。ただし炊飯器での保温は6時間以内が目安です。長時間保温すると食感や味が落ちるほか、衛生面にも不安が出てきます。
近年は長時間の保温機能を備えた炊飯器も登場していますので、買い替えの際に導入を検討してみるのもいいでしょう。自分の家庭の炊飯器がどうなのかわからなければ、取扱説明書を読んでみてください。
また、何度も炊飯器のふたを開け閉めすると、ご飯の保温に適した温度を保てなくなることにも注意しなければなりません。開閉は必要最低限にしてくださいね。
おいしく長持ちさせたいときは冷凍保存
炊いたご飯の保存場所は、冷蔵庫より冷凍庫がおすすめです。冷凍保存ならばでんぷんの劣化が抑えられるため、冷蔵保存よりパサパサになりにくいという大きなメリットがあります。
日持ちも最大で1カ月程度と、冷蔵保存より格段に長くなるのもこの方法の強みです。ただし冷凍保存であっても1週間を目安に食べきったほうが、味も落ちずおいしく食べられるでしょう。以下の手順で冷凍すると、効率よく冷凍できます。
1.炊きたてのご飯の粗熱を取る
2.ラップやフリーザーバッグでご飯を包む
3.平らにして金属トレーに載せる
4.冷凍庫に入れる
なお、「粗熱を取る」段階で完全に冷ます必要はありません。手で触れる温度(40℃程度)まで冷めていれば、粗熱は取れたといえます。
冷蔵庫で保存したご飯をおいしく食べるには

先述のとおり、ご飯の保存には冷蔵庫より冷凍庫が向いています。とはいえ、冷凍庫に空きがない・すでに大量のご飯を冷蔵してしまったというケースもあるでしょう。
冷蔵庫に保存してでんぷんが劣化してしまったご飯も、工夫次第ではおいしく食べられます。おすすめの方法を2つ紹介しますので、冷蔵ご飯の食べ方に迷っているなら参考にしてみてください。
保存容器に水を少量入れてからレンジで温める
冷蔵庫で保存したご飯は、でんぷんのベータ化が起きておりパサパサした状態です。レンジで温めることである程度は戻りますが、水分も足したほうがおいしくなります。ご飯約1膳分なら、水の量は大さじ1杯強が目安です。以下の手順を参考に温め直してみましょう。
1.保存容器に入ったご飯に、水を満遍なく振りかける
2.ふたをして容器を揺らし、ご飯全体に水を行き渡らせる
3.ふたをずらして余分な水を切る
4.レンジで温める(600Wで2分程度)
少しの手間で、パサパサしがちな冷蔵ご飯もおいしく温め直せます。
パサパサ感が気にならない料理にリメイクする
温め直す際に工夫しても、でんぷんがベータ化したご飯は完全に炊きたてと同じ状態に戻るわけではありません。どうしてもパサパサ感が気になる人も多いはずです。そんなときは、食感が気にならない料理にリメイクするのも一つの手。
ご飯そのものがパサパサしていても気にならない料理には、次のようなものがあります。
・リゾット
・ドリア
・チャーハン
・ピラフ
クリーム状のソースでカモフラージュできるドリアや、パラっとして味付けの濃いチャーハンといったメニューがおすすめです。自分や家族の好みに合わせて、リメイク方法を考えてみてください。
まとめ

ご飯を冷蔵庫で保存したとき、おいしく安全に食べられる目安は1日程度です。JA全農広報部の発信からもわかるように、ご飯を冷蔵してしまうとでんぷんがベータ化を起こして劣化し、食感が悪くなってしまいます。
おいしく長期間保存したい場合は、冷蔵庫ではなく冷凍庫で保存しましょう。6時間以内に食べるのであれば、炊飯器で保温するのも一つの選択肢です。
もし冷蔵したご飯が余っていて食感が悪いと感じるなら、温め直し方を工夫する、食感の悪さが目立たない料理にリメイクするなどの工夫でおいしくいただきましょう。
メイン・アイキャッチ画像/(c)Adobe Stock
TEXT
Domani編集部
Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けた「明日」も楽しむライフスタイルをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれも美容も仕事も楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッションのみならずライフスタイルやビジネス・デジタルスキルにも関心が高いエディターたちを通して発信中。
https://domani.shogakukan.co.jp/
あわせて読みたい


