起きて！ 夏休み最終日だけで終わる量じゃないんだから、課題少しでもやったら？
【登場人物】
あん（私）…シングルマザー8年目にして5歳年下の男性と結婚。夫の会社の経理担当。41歳。
蓮…6年生から中受を始め、第３志望の共学校へ入学。13歳。
臣斗くん…あんの会社の後輩・海斗くんの大学の同級生で再婚相手。35歳。
結衣…蓮の彼女。4年生からS塾に通い中受するも蓮とは別の女子校へ入学。
お母様…臣斗の母。英語教師で先日熟年離婚をする。
【前回までの話】
険悪ムードだった義母との関係性は、母の葬儀で一旦修復。蓮は中学へ入学し、勉強への意欲が高まるもいじめに遭ってしまう。その悩みをオプチャで見ず知らずの人へ相談していたことが発覚し大事には至らずも、中学生となり行動範囲が広がりまだまだ親の注意が必要と実感。そんな中、中受をサポートしてくれた家庭教師へお礼の食事会をすると、先生から義母の罠を聞き再度、義母トラブルが勃発。しかし義母へ反撃をしスッキリしたのも束の間、父がボヤ騒ぎを起こしたり、祖母の訃報と心休まらない時間が続く。さらに輪をかけるように伯母が祖母の遺産相続で譲らない姿勢を示す。揉めに揉めた末、第三者の介入でなんとか法定相続の形に収まる。夏休みには蓮が不調を訴えていた足と耳の病院へ。足は大事に至らなかったが、耳は「聴覚情報処理障害」の疑いが。不安な気持ちの中、夫・臣斗から考える時間が欲しいと連絡の取れない日々が続いたが、その原因は義父の病気であることが分かった。義母が入院のサポートを拒否するなど紆余曲折あり結果、義父の入院にはあんが付き添うことに。入院中も義父のワガママや義母の面会拒絶などトラブルがありつつも手術は無事終了し、疑われた転移もなく胸を撫で下ろす。年明け結衣ちゃんママからのお誘いで新年会を開催すると。夫の浮気を打ち明けられる。一方、あんは歯科医院での受付業務に就くも、厄介な年下の先輩に振り回されることに。
前回の話▶︎えっ!?泊まってた？返信のない夫からやっと電話が。【中学生ママ（40歳、子連れ再婚）のぶっちゃけ365日vol.71】
Season1▶︎『シングルマザーの恋愛』はコチラから
Season2▶︎『39歳、子連れ再婚の365日』はコチラから
ガッカリするほど協調性のない家族に対し、夫は余裕の神対応！
こんにちは。シングルマザー歴8年目にして子連れ再婚をしたあおいあんです。
前回は、息子・蓮が後輩の女の子と一緒にいるところを目撃したり、夫・臣斗くんに大人気ない態度をとってしまったところまでお伝えしました。
夏休みも中盤になり、部活動もほとんどなくなった蓮は毎日ヒマを持て余した。夏休みの課題はたっぷり出ているのだが、なかなか手をつけられないらしい。
私
蓮
んー
まだ寝ている蓮はベッドで寝ぼけながら返事をした。
私
仕事行ってくるからね
朝、私が仕事へ出てしまうと、蓮はそのままお昼まで寝続けているようだった。その後もベッドで動画を見て、ただただゴロゴロと過ごしていた。
蓮は夏休みにニューヨークへ行ってみたいと言っていたが、臣斗くんとの一件があり3人での旅行はタイミングじゃないなと思い、今年の夏はどこにも行かないことにした。ただ長い休みに何もイベントがないとメリハリがなく、ひたすらダラダラとした毎日が過ぎていく。
私と蓮で、一泊でもいいからどこか行くべきなのかもしれない。そんなことを思いながら会社に着くと臣斗くんからLINEが。実は、あの電話から気まずくて連絡をするのをためらっていた。
…というか、逃げていた。
臣斗
明日の夜、家に行っていい？ 久しぶりにお父さんも誘って、できれば蓮も一緒に晩御飯食べないかなと思って
この間の電話はなかったかのように、サラッと聞いてきた。
私
わかった。みんなに聞いて連絡するね
多分、父は乗り気だろうけど、蓮は嫌がるだろうな…。帰宅してそれぞれに聞いてみると、意外な答えが返ってきた。
蓮
別にいいよ
NGを出すと思っていたから一瞬戸惑ってしまったが、何か心境の変化があったのかもしれない。父からは「あぁ構わないよ」とそっけない返事が返ってきた。
臣斗くんと話し合った結果、家ではなく近所で外食することになった。父、私、蓮は家から一緒に行く予定だったが、父は先に出発してしまい、蓮はダラダラ動画を見続けたせいで時間になっても家を出られず。結局、3人バラバラで目的地へ向かうことに。この協調性のなさ、食事の前からぐったりする。
私
パパ、そんなに早く行ったって予約の時間があるんだから
店の前に着くと父がひとりで店内を覗いていた。
父親
こんな店が近所にあったんだな
全然人の話を聞いてない。
臣斗
遅れてすみません
私
全然遅れてないよ。大丈夫。パパが早く来過ぎただけだから
臣斗
蓮は？
私
家出る直前まで動画見てたから遅刻
お店のスタッフから呼ばれ店内に。飲み物をオーダーし、メニューを見ていると父が突然話し始めた。
父親
臣斗くんは会社の方はうまくいってるのか？
私
食事決めてからにして
父親
メニュー見てもわからないから、俺はみんなが頼んだもの少しずつもらえればいいし
じゃあ選んでるから黙ってろ！ と言いたかったが、臣斗くんがすでにいくつか決めており、あとは自分が食べたいものを頼むようにと言ってきた。
臣斗
仕事はそこそこですかね。可もなく不可もなしって感じです
父親
お父さんの具合はどうだい？
えっ!? もう仕事の話は終わり？
臣斗
父も母も今のところ大丈夫そうです。お父さんは具合どうですか？
父親
筋肉がどんどん落ちてきてね。仕事もいつまで続けられるか
臣斗
長い間忙しく働いてこられたから、これからはペースを緩めて働き続けられるといいですね
ビールが来ると、父は満足げにどんどん流し込んでいった。臣斗くんは父のことを上手に持ち上げ、さらに食事をサーブし、私にも気を使っていた。
(c)Adobe Stock
臣斗
蓮は大丈夫かな？
私は蓮に「まだ？」とLINEを送った。
父親
あん、ビール頼んで
偉そうに、もうすぐ空になりそうなグラスを片手で上げつつ、顎をクイっと上げた。ピキッときたが…臣斗くんもいることだし、じっと堪えた。最後の料理も運ばれてきたのに、まだ蓮は来ない。
父親
蓮はどうしたんだ。電話してこい
また偉そうな口ぶりに、今度は父にわかるよう大きなため息をついて席を離れた。店を出て蓮に電話をすると「はいはいはい」と言って切られた。
臣斗
どうだった？
私
はいはいって言って切られちゃったからわからない。さすがにもう家は出たんじゃないかな
父のお酒は進み、食事もそろそろ終わりという頃に蓮はやってきた。
父親
蓮、遅かったじゃないか。みんな待ってたんだぞ
蓮は父の言葉を無視し、無言で席についた。
臣斗
みんな好きなもの頼んで食べてるから、蓮も食べたいもの頼みなね
蓮
サラダだけでいい
臣斗くんは少しびっくりした顔で私のほうを見てきたが、首を振った。オーダーしたサラダが届くまで蓮はスマホをずっといじっていた。
父親
みんなでご飯のときくらい、携帯を触るのやめなさい
蓮は大きなため息をついてスマホをポケットにしまった。酔った父は目がすわり、じとーっと蓮を見ていた。それに気づいた臣斗くんが父に話しかけ気を逸らした。サラダが届くと蓮はがっつき、秒で食べ終えた。
蓮
ごちそうさまでした。もう帰っていい？
私は父が余計なひと言を言う前に「いいよ」と言った。父は「なんでだ」と言いたそうな顔でこちらを見てきた。すかさず臣斗くんが
臣斗
僕もあんな時期がありました。周りにいる大人は全員うざったくて、同じ空間に居たくないんですよね。一瞬でも来た蓮は偉いですよ
と、父を宥めるように言った。
私
もうパパも飲み過ぎだから帰ろっか
父親
あん、これで払って
財布を渡してきた父。
臣斗
もうお会計終わってるんで大丈夫です。今日は僕から誘ったんで、払わせてください
父を立て頭を下げる臣斗くん。
父は大きな声で「じゃあ今回だけな。次からはそんなことしなくていいからな」と言い店を出た。お酒を飲むとさらに耳が聞こえづらくなるようで、店内に響く大きな声が恥ずかしかった。
父親
臣斗くん、家でもう一杯やるか？
臣斗くんが一瞬こっちを見たが、小さく頷いた。
臣斗
せっかくなので、じゃあ1時間だけ
父と私、両方に気を使ったベターな選択だった。私たちはお酒を買いに行き、父には先に帰ってもらった。その買い出し中、臣斗くんから今までとは違った家族への思いを聞くことに…。
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画像：(c)Adobe Stock
あおいあん
８年間シングルマザーで、40歳を迎える前に「もう一度、女としての人生を！」と一念発起し、5歳年下の男性と再婚（事実婚）。中学生になった息子と、伴侶を亡くした父親と実家暮らし中。
▶︎インスタグラム：@shinmama_aoian
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