エアコンや扇風機などの冷房対策無しでは過ごせない季節だからこそ、水道光熱費は節約しておきたいですよね。そこで、毎日のお洗濯にまつわる疑問や得する情報などをお洗濯マイスター 大貫和泉さんに教えていただきました。
まとめ洗いの注意点
「着用した衣類には多くの菌類が付着しているので、湿ったまま放置すると菌が増殖し、嫌なニオイの発生につながります。まとめ洗いをする場合は、脱いだ洋服は通気性の良いカゴに入れてまとめておきましょう。
洗濯の時に仕分けるのが手間であれば、衣類を脱いだら直接洗濯ネットに入れると時短にもなって便利です。バスタオルなどは、洗濯するまで吊るして乾かしておくとニオイが発生しにくくなります。」（大貫さん／以下「」内は全て同様）
1：洗濯機の容量は“7割”を目安に
「また、洗濯機に洗濯物を詰め込みすぎると、水の中での洗濯物の動きが悪くなり、汚れが落ちにくくなります。洗濯機に入れる量は、容量の7割程度（洗濯槽の銀色の部分が5cm程度見える）を目安にしてください。洗浄力をキープしながら効率よく洗い上げるための基本です」
2：前処理でニオイ＆汚れ対策
「襟や袖口など汚れが気になる部分には、あらかじめ液体洗剤を直接塗っておくことで、洗浄力が高まります。※使用した分の洗剤は、洗濯機に入れる量から差し引いてください」
液体洗剤よりも粉末洗剤の方がいいの？
1：汗や皮脂など汚れをすっきり落としたいなら液体洗剤
「液体洗剤は『汗や皮脂汚れ、ニオイをすっきり落とす』『抗菌性能に優れている』『洗剤によっては柔軟剤入りで香りがいい』など、洗浄力とプラスアルファの機能が備わっています。濃縮タイプの洗剤なら、使用量が少量で済むだけでなく、ボトルがコンパクトなため収納に場所を取らないのもメリットです。
また、液体洗剤は 『部分洗い剤』 にもなるので、ワイシャツの襟や袖口などの皮脂汚れや食べこぼしのシミ汚れ、黄ばみ汚れなど、部分的なガンコ汚れには、洗濯前に液体洗剤を『部分洗い剤』のように塗っておきましょう。汚れが落ちやすくなります。頻繁に部分洗いをする方は、専用の『部分洗い剤』を持っていると便利です」
2：より白く仕上げたいなら粉末洗剤
「粉末洗剤は、泥や食べこぼし、シミなど色々な種類の汚れに対して高い洗浄力を発揮してくれます。食べこぼしや、ユニフォーム、作業着などの汚れが多い衣類を洗うご家庭は、粉末洗剤がおすすめです」
3：時短＆節約したいならすすぎ１回の洗剤を
「通常の洗濯洗剤はすすぎが2回以上になっているものが多いのですが、1回もしくは、0回でお洗濯できる洗剤もあるんです。すすぎの工程が減るので使う水の量も抑えるだけでなく、洗濯時間を短縮することができるので、購入前に洗剤の表示を確認してみましょう」
4：部屋干しが多く、とにかくニオイが気になる！
「衣類のニオイが気になる方は、“抗菌効果や除菌効果のある洗剤“がおすすめです。夜に洗濯をすることが多い方や、外干しできる環境が整っていないなど、部屋干しすることが多い方は抗菌や除菌効果のあるものを選んでください。汚れだけでなく、繊維の中に発生する菌に作用するので、生乾き特有のイヤなニオイが抑制されます」
すすぎって何回すればいいの？
「洗剤容器の裏面などを見て、適切なすすぎ回数を確認してください。洗剤によっておすすめのすすぎの回数が違います。洗濯機に搭載されている「標準コース」では、すすぎが2回で設定されていることがほとんどです。しかし、洗剤によってはすすぎ1回や0回でお洗濯できるものもあります。
すすぎの回数を減らすことは、洗濯時の水流や衣類同士の摩擦によるダメージも少なくなるため、衣類を長持ちすることにも繋がります」
※必ずしもすすぎを１回にしなければならないわけではなく、もちろんすすぎを２回しても問題ありません。
すすぎ2回以上はこんな時におすすめ！
・すすぎ2回以上で使用する洗剤を使う場合
・風呂水をすすぎ1回まで使用した時
・香りが苦手な方
・ひどい泥汚れ、便や尿などの汚物や嘔吐物で汚れた衣類の洗濯をする時
洗濯物が早く乾く干し方の”裏技”
「洗濯物が早く乾かすためには、干し方を工夫することも必要です。
おすすめは、「ずらし干し」と「アーチ干し」！
バスタオルの乾く時間を基本形（真っ二つに折った干し方）とずらし干し（前後をずらした干し方）の2つの干し方で比較すると(東京における1月の昼間の気温・相対湿度の平年値に近い状態で実験)、基本形は410分だった一方で、ずらし干しは375分と、35分の違いがありました。
また、少しでも早く乾かすために実践したいのが、角ハンガーの「アーチ干し」です」
「アーチ干し」3つのコツ
①外側に長い衣類、内側に向かって短い衣類を干す
②乾きにくい素材（綿など）を外側に、乾きやすい素材（化繊など）を内側に干す
③厚手の衣類を外側に、薄手の衣類を内側に干す
湿度・温度などの条件によっても乾燥速度は変わりますが、長短干しに比べて約30
分程度早く乾きます。
シーツは意外と汚れているって本当？
「シーツの汚れは見た目ではなかなかわかりませんが、1週間使用したシーツを特殊な試薬を用いて汚れを可視化してみたのがこちらです。
特に足の部分の汚れが目立っていますよね。洗濯頻度が少ない場合や汗をかくことが多くなる夏場にはもっと多くの汚れがつくことが考えられます。
※ただし、汚れの量は、使用する寝具やパジャマ、個人差、及び就寝する場所の環境等によっても変わります。
シーツの汚れは放っておくと黄ばみやニオイの元となったり、ダニを引き寄せたりするといわれています。睡眠の質向上のためにもこまめに洗って清潔な状態を保ちましょう」
シーツ洗いのポイント
・部分的に目立つ汚れがある場合
部分的に目立つ汚れには、液体洗剤や液体酸素系漂白剤などを塗布します。
・黄ばみなど、広範囲に汚れている場合
皮脂による黄ばみなど、広い範囲に汚れがついている場合は、濃い目の洗剤液と液体酸素系漂白剤で30分～2時間程度「つけおき洗い」すると汚れが落ちやすくなります。
「シーツの洗濯表示タグに『洗濯ネット使用』の注意書きがある場合や、シーツのしわが気になる場合には、たたんで洗濯ネットに入れて洗ってください。
洗濯ネットに入れて洗う場合には、汚れている面が表に出るように畳んで入れてください。
洗濯機は、パルセーター（回転板）に近い位置のほうが洗浄力もより高くなりますので、右の
イラストのように、汚れている部分を下にして入れます。
適切な洗濯機のコースを選んで洗います。汚れが気になる場合には、液体酸素系漂白剤を入れましょう。
柔軟剤を使うとやわらかくなめらかに仕上がるので、シーツの肌触りがよくなります」
シーツの干し方のポイント
洗濯が終わったら、すぐに洗濯機から取り出して干してください。シーツは、大きくて乾きにくいですが、干し方の一工夫で乾くスピードを早められます。
屋外干しの場合
物干し竿を2本使って「M字干し」すると、早く乾きます。
部屋干しの場合
角ハンガーや数個のハンガーを並べた上からシーツを覆うようにかけると、真ん中に空洞ができて風の通りが良くなり、早く乾きます。
洗濯の仕方や干し方の工夫が大切！
なるべく節約してお洗濯はしたいけど、衣類のニオイや汚れ落ちが心配ですよね。洗うものによって洗剤の種類を変えたり、まとめておく場所や干し方の工夫で、節約だけでなく衣類の傷みまで軽減できるんですね。各ご家庭ごとのライフスタイルに併せて、洗濯の仕方や干し方を工夫してみてくださいね。
お話を伺ったのは
大貫 和泉さん
おおぬき いずみ／ライオン株式会社のお洗濯マイスター、消費生活アドバイザー、繊維製品、品質管理士 健康予防管理専門士
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