似た表現との違いと選び方
似たような意味を持つ言葉でも、ニュアンスは少しずつ異なります。その違いを理解し、的確に選び取ることが大切です。
【主な似た表現とその違い】
・主旨を伝える:全体的な方向性や考え方を伝える
・要旨を伝える:要点を簡潔にまとめて伝える
シーン別・相手別の言い換え例
誰に、どのような状況で伝えるかによって、最適な言葉は変わります。
【上司・目上の人へ】
敬意を最大限に払い、謙譲語や丁寧語を正しく使いましょう。
・「〇〇様よりお電話があり、本日中に資料をご確認いただきたいとの旨、伺っております」
・「先方のご意向としましては、価格の見直しをご検討いただきたい、という趣旨でございました」
【同僚・チームメンバーへ】
丁寧さを保ちつつも、簡潔で分かりやすい表現を心がけましょう。
・「Aチームから、例の件で協力依頼があったので、その旨共有します」
・「今朝の会議の要旨をチャットで送りますね」
【取引先・社外の方へ】
会社の代表としての立場を意識し、丁寧かつ明確な言葉を選びます。
・「弊社の担当〇〇が、ただいま席を外しております。戻り次第、折り返しお電話を差し上げる旨、申し伝えます」
・「本メールは、弊社プライバシーポリシー改定の趣旨をご説明するものでございます」
ビジネスシーンでの「旨を伝える」応用例と実践ポイント
実際の業務で効果的に使うには、簡潔さと明確さが不可欠です。
組織内連絡・会議での活用
・朝礼での共有: 「人事部より、クールビズ期間が来月末まで延長される旨、通達がありましたので、周知いたします」
・会議での報告: 「営業第一部からは、新規契約数が目標を達成した旨、報告がありました」
取引先や顧客対応での使い方
社外の方とのやり取りでは、丁寧さと正確さが信頼に直結します。
・アポイントの再確認: 「明日の14時に貴社へお伺いする旨、念のためご連絡いたしました」
・納期遅延のお詫び: 「製造ラインのトラブルにより、納品が3日ほど遅延いたします旨、ご連絡いたしました。多大なるご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません」

誤解を防ぐポイントと注意すべき表現
言葉足らずや不適切な表現は、思わぬ誤解やトラブルの原因になります。
【誤解を防ぐポイント】
・具体的な文脈の提供
「その旨」だけでは分かりにくい場合は、「○○の件について、その旨を」のように、具体的な内容を併記する。
・ 相手の理解度の確認
重要な内容の場合は、「○○についてお伝えしたその件についてですが」など、念押しの表現を加える。
・ 期限や条件の明示
「来週までに」「条件が整い次第」など、時期や条件を明確に。
【注意すべき表現】
・曖昧な表現
「~の件、いい感じに進んでいる旨、お伝えください」といった曖昧な伝え方はNGです。「~の件、A案で進める方向で合意した旨、お伝えください」のように具体的に表現しましょう。
・責任転嫁に聞こえる表現
「私は反対だったのですが、部長がやれとおっしゃった旨、ご報告します」のような言い方は、責任逃れと捉えられかねません。あくまで客観的な事実として「部長の指示により、〇〇を進行する旨、ご報告いたします」と伝えましょう。
「旨を伝える」のよくある疑問と対策
ここでは、多くの方が疑問に思ったり、間違えやすかったりする点について、具体的にお答えします。日々のコミュニケーションでの迷いを解消しましょう。
間違いやすい使い方・NG例
・自分の意見に使う
NG: 「この企画は素晴らしい旨、申し上げます」
OK: 「この企画は素晴らしいと、私は考えております」
「旨」は客観的な内容を伝える言葉です。自分の意見や感想を述べるときは、「~と思います」「~と感じております」といった表現が適切です。
・複雑な内容の要約を怠る
NG: 「先ほどの1時間にわたる会議の旨、部長にお伝えください」
OK: 「先ほどの会議の結果、A案の採用が決定し、来週から具体的な準備に入る旨、部長にお伝えください」
「旨」を使う際は、伝える側がきちんと要点をまとめる責任があります。内容を丸投げするような使い方は避けましょう。
最後に
POINT
- 「旨」は「要点」。感想ではなく客観事項に使う。
- 「その旨」を軸に、必要情報を短く補足。
- 「旨」は客観的な内容を伝える言葉。自分の意見には、使わない。
「旨を伝える」は、単なる言い回しではなく、ビジネスの信頼関係を築くための有用な表現です。正しく理解し、状況に応じた使い方を心がけることで、あなたの発言や文章はより明快で説得力のあるものになります。今日からメールや会話に取り入れて、伝達力を一段と高めていきましょう。
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執筆
武田さゆり
国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
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