「引き続きよろしくお願い申し上げます。」
プロジェクトが進行中である場合や、一度のやり取りで終わらず今後も関係が続く場合に適しています。「これからも変わらずお願いします」という継続のニュアンスが含まれます。
使用例:進捗につきましては追ってご報告いたします。引き続きよろしくお願い申し上げます。
感謝の意を含めた表現
単にお願いするだけでなく、感謝の気持ちをセットにすることで、相手はより快く依頼を受け入れてくれるものです。クッション言葉と組み合わせるのもテクニックの一つです。
使用例:お忙しい中ご対応いただき、誠にありがとうございます。今後ともよろしくお願い申し上げます。
使用例:いつも温かいお心遣いをいただき、感謝申し上げます。
(あえて「よろしく」を使わず、感謝で結ぶのも高等テクニックです)
「よろしくお願い申し上げます」は二重敬語になる?
「よろしくお願い申し上げます」を使う際、「これは二重敬語ではないか?」という疑問を持たれる人がいらっしゃいます。確かに、「お願い」の「お」と「申し上げる」という謙譲語が組み合わさっているため、一見すると二重敬語のように感じられるかもしれません。
「よろしくお願い申し上げます」は正しい敬語なのでしょうか?
「よろしくお願い申し上げます」は二重敬語にあたるのか?
「よろしくお願い申し上げます」は二重敬語ではなく、正しい敬語表現です。二重敬語とは、一つの語に対して同じ種類の敬語を二重に使ってしまうこと(例:「おっしゃられる」=「おっしゃる(尊敬語)」+「れる(尊敬語)」)を指します。
「お願い申し上げます」の構造を見てみましょう。
・「お」は美化語(または接頭語)として「願い」を丁寧にしている
・「申し上げる」は「言う」の謙譲語であり、「願う」に対する敬語ではない
・「ます」は丁寧語
つまり、「お願い申し上げます」は「お願いを申し上げる」という構造であり、「願い」という名詞に美化語の「お」が付き、それを「申し上げる」という動詞で表現しているのです。同じ語に対して同じ種類の敬語を重ねているわけではないため、二重敬語には該当しません。
ただし、「よろしくお願いいたします」の場合、「いたします」自体が「する」の謙譲語ですので、さらに「お~する」を重ねて「よろしくお願いいたします」とするのは厳密には二重敬語の構造に近いですが、これも現在では「定着した正しい敬語」として広く認められています。
言葉は生き物ですので、慣習も大切な要素です。

「よろしくお願い申し上げます」の英語表現
グローバルなビジネスシーンでは、日本語のような「定型的な結びの言葉」という概念は薄いですが、メールの最後を締める定番フレーズは存在します。
もっとも一般的で、日本語の「よろしくお願い申し上げます」に近いニュアンスを持つのは以下の表現です。
Thank you in advance. (事前に感謝を述べる定番)
Thank you for your cooperation.
(ご協力よろしくお願いいたします。/何かを依頼した場合)
I look forward to working with you.
(これから一緒にお仕事ができることを楽しみにしています。/「今後ともよろしく」のニュアンス)
I would appreciate your kind consideration.
(ご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。/少し改まった依頼の場合)
英語では、日本語のように「万能な一つのフレーズ」ですべてを済ませるのではなく、「何に対して感謝しているのか」「次にどうしてほしいのか」を具体的に伝える文化があることを覚えておくといいでしょう。
最後に
POINT
- 「よろしくお願い申し上げます」は書き言葉・儀礼性が高く、重要なメール向き。
- 日常の社内メールは「お願いいたします」で十分なことが多い。
- 二重敬語ではない(同じ敬語を同一語に重ねていないため)。
「よろしくお願い申し上げます」という言葉一つをとっても、そこには相手への敬意、感謝、そして信頼関係を築きたいという願いが込められています。
言葉は単なる記号ではありません。あなたが選ぶ言葉が、あなたのビジネスパーソンとしての品格を作り、相手の心に届くメッセージとなります。
形式的なマナーにとらわれすぎる必要はありませんが、基本を知った上で、相手の顔を思い浮かべながら言葉を選ぶ。その「一瞬の配慮」こそが、AIには真似できない、人間らしい温かなコミュニケーションの神髄なのです。
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執筆
武田さゆり
国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。


