「卑屈」は「ひくつ」と読み、「必要以上に自分を下げること」や「いじける様子」を表す言葉です。
Summary
- 「卑屈」とは、「必要以上に自分を下げること」や「いじける様子」を表す言葉
- 類語には「卑下」や「自虐」、対義語には「傲慢」や「横柄」などの表現がある
- 自分をさげすむ言動や性格は卑屈に見えてしまう可能性があるので注意しよう
Contents
卑屈の正しい意味とは?
まずは「卑屈」の意味を正しく理解していきましょう。
「卑屈」の意味と読み方
ひ‐くつ【卑屈】
読み方:ひくつ
[名・形動]いじけて、必要以上に自分をいやしめること。また、そのさま。「—な笑い」「—になる」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

「卑屈」の漢字の成り立ち
「軽蔑する」または「さげすむ」の意味がある「卑しめる」と、「くじける」や「折れ曲がる」の意味を持つ「屈」の漢字から成り立っている様子からも、「卑屈」の意味が感じ取れるでしょう。自分自身を軽蔑する様子や、くじけて気持ちが折れてしまった様を表しているとも言えます。

「卑屈になる」の意味はどういう状態?
「卑屈になる(ひくつになる)」とは、自分のことを価値のないものと思い込み、必要以上に自分をさげすんだり、劣ったものとして振る舞う状態を指します。
この状態にある人は自己肯定感が低く、過度な謙遜や自己非難といった態度を示す傾向にあるでしょう。また、他人に嫌われることを極度に恐れるあまり、自分の意見や感情を押し殺し、相手に尽くしすぎたり、媚びへつらうなどの傾向もみられます。
【実際の体験談】「卑屈」に関する成功談・失敗談
「卑屈」という言葉にまつわる体験談には、どのようなものがあるのでしょうか?ビジネスシーンにおいて、何か気づきや学びを得たエピソードを紹介していきます。
【episode1】卑屈を「内気」や「控えめ」という意味で使ってしまった失敗
Tさん(管理職、38)
メンバーのチーム編成をしていた際、あるチームリーダーが、自分のチームに入れたい社員を指して「彼女は少し卑屈なところがあるけど、仕事は丁寧だから」と私に推薦してきました。しかし、その社員は単に内気で口数が少ないだけで、自己評価が低いわけではありませんでした。私はすぐに「彼女は卑屈ではないよ。ただ表現が控えめなだけ。卑屈という言葉を使うと、彼女の性格全体を否定することになるから、今後は気をつけて」と注意しました。人格や性格を指す際は特に、卑屈という言葉の重みを理解して使うべきだと改めて感じました。
【episode2】ビジネスシーンでは卑屈な発言が信用を失うケースもある
Hさん(管理職、45)
若手時代、上司と訪問したクライアント企業の担当者が、「卑屈に聞こえるかもしれませんが、弊社のような小さな会社が、御社のような大手の企業に提案するなど初めてのことなので…」と切り出しました。商談中、その担当者は終始自信なさげで、結局提案内容は響きませんでした。帰りの車中、上司は「あの『卑屈に聞こえるかもしれませんが』という一言で、彼の自信のなさが伝わり、提案の価値まで低く見えた。どんな立場でも、サービスに誇りを持つべきだ」とコメント。この経験から、必要以上に自分をさげすむ言動は相手に不安を与え、ビジネス上の信用を失う毒になることを学びました。
卑屈の使い方を例文からご紹介
次に「卑屈」の使い方について解説していきましょう。「卑屈」の用法はそのまま名詞として使う以外に、「卑屈な」という形容動詞、「卑屈になる」という動詞で使う方法があります。

使う場面は言動に対して使う場合と、思考や性格を表す場合の2パターン。それぞれの例文をご紹介しますので、使い方の参考にしてみてください。
言動に対して使う場合
まずは、行動や振る舞いなどに対して使う場合です。対象者の言動に、自分を必要以上に下げる様子やいじける様が見られたときに使えます。
例文
・そんなに卑屈なことばかり言ってはいけない
・彼は卑屈な笑みを浮かべた
・彼女の態度には卑屈さがにじみ出ている
思考や性格などに対して使う場合
「卑屈」は人の言動だけでなく、性格や考え方など対象者の性質を表す場合にも使えます。以下の例文を参考にしてみましょう。
例文
・昔の自分はあまりに卑屈だった
・失敗続きで彼女はすっかり卑屈な性格になってしまった
・そんなに卑屈な考え方では、周りに呆れられてしまうよ
卑屈の類語や対義語をチェック
「卑屈」を辞書や漢字の成り立ちから解説しましたが、あまりよい意味では使われないことがわかりましたね。さらに理解を深めるため、ここでは似た表現や反対語表現から「卑屈」の意味を掘り下げていきます。
また、「卑屈」は「謙虚」や「ネガティブ」などとも混同されますがそれぞれに別のニュアンスを含んだ言葉です。違いをしっかりと理解して、誤用を避けましょう。
卑屈に似た言葉や言い換え表現
「卑屈」の類語としては「卑下」や「自虐」などの熟語があります。
「卑下(ひげ)」
「卑下」は「自分を劣った存在としてへりくだること」などの意味を持つ言葉です。
「自虐(じぎゃく)」
一方、「自虐」の意味は「自らをいじめて苦しめること」。いずれも自分自身をさげすむ様や自分の価値を下げるような行動を表す言葉です。

ほかに「卑屈になる」という動詞を言い換える表現としては、「自嘲的になる」や「自己評価を低くする」などがあります。
「謙虚」や「ネガティブ」は意味合いが異なる
「自分を下げる」という意味を持つ「卑屈」は確かに「謙虚」と似ているような気がしますよね。しかし、「謙虚」とは「控えめなこと」や「へりくだって、相手の意見を聞き入れること」を指す言葉です。相手のことを考えたり、相手を立てたりする様子がうかがえるため、むしろ誉め言葉として扱われます。
「いじける様」や「さげすむ様子」などの意味を含む「卑屈」は自分本位な印象が強く、「謙虚」とは全く異なる意味だとわかるでしょう。また、否定的や消極的な意味を持つ「ネガティブ」も似た意味として考えられがちですが、「いじける」などのニュアンスはないため「卑屈」とは異なります。


