第1回 クラフトバンドとの運命の出合から、起業するまで
株式会社エムズファクトリー
代表取締役・51歳
松田裕美さん
今回の主人公は、クラフトバンドという紙の紐を販売する、エムズファクトリーの社長、松田さん。クラフトバンドとは、牛乳パックや小麦の袋などの再生紙からできている紙の紐のことで、もともとは紙バンドとも呼ばれていたそう。松田さんは、その紙バンドを「クラフトバンド」と命名し販売。また、クラフトバンドを組み合わせて、カゴなどをつくることを「クラフトバンド手芸」と名付けて、その普及活動にも力を入れています。
ぞうきんは縫えないけれど、クラフトバンド手芸はできた
長崎県で生まれ、20歳で上京、21歳で結婚し30代前半まで専業主婦として過ごしていた松田さん。クラフトバンドと出会ったのは35歳のとき。長男の保護者会で手芸の教室に参加したのがきっかけだそう。
「実は、もともと手芸は大嫌いでぞうきんもまっすぐ縫えないくらいでした。紙の紐で〝カゴを編む〟と聞いた時点で、『絶対ムリ。最後までできるわけない』と思いました。でも実際にやってみると、木工用ボンドで貼って組むだけ。編み物というより工作。細かい作業が苦手な私でも、〝楽しい〟と思ったんです。それから自分で紐を買って、好きなサイズでカゴなどをつくるように。それまで、自由に使えるお金も少なく、趣味は草むしり、という生活だったので、材料費たった500円で、カゴをつくれるなんて、なんて素晴らしいんだろうと夢中になりました。」
教室が大人気となり、起業を決意
つくったカゴやバッグを友達やお姑さんにプレゼントしたりしているうちに、教えて欲しいと言われることが多くなり、主婦業の傍ら教室を開くようになったのだそう。教室は時間に余裕がある主婦の方に人気で、生徒さんは50人、100人と増加。
「最初は材料費だけもらっていたのですが、人が増えるにつれて準備も大変になり、ボランティアではやっていけなくなって、個人事業主として起業をすることに。材料もきちんと仕入れをしてネットショップをつくり、編み方も修業して資格もとりました」
その後、会社を株式化、自社ビルや受注センターなども設立。クラフトバンドを取り扱う企業自体が少なく、価格もほかのお店で買うよりリーズナブルだったこともあり、業界最大手に。現在は年商7億を稼ぎ出している。そんな松田さんに、仕事をしていく上で、苦労したこと、うれしかったこと、アラフォー読者へのメッセージをお聞きしました。(次回へ続く)
取材・文/赤木さと子(スタッフ・オン)