「どうしてママはパパと別れちゃったの?」と娘が号泣
ギャンブル依存症の夫と離婚して、もうすぐ3年になる秋穂さん。(前回のストーリーはこちら)
離婚した当時、娘さんは4歳だった。
「家出してホテルに泊まってから、パパのいない自宅で1か月ほど新しい部屋を探しながら暮らしていたわけですが、その間、娘からは一言も“パパ”という言葉が出てきませんでした。明らかにパパがいないのは変なのに、何も言わないんです。今目の前で起こっていることを認めたくなかったのかもしれません。
今暮らしている部屋に引っ越して初めて、『狭い』と悲しそうにひと言。そして、『どうしてママはパパと別れちゃったの!?』と、ワーッと泣かれました。娘に我慢させていたことが、いちばんキツかったですね」
それからも、何度か娘さんがパパと暮らしていた日々を思い出して泣いてしまうことはあったという。
「娘と一緒に泣いた夜もたくさんありました。でも、離婚しなければよかったと思ったことは一度もありません。あのまま結婚生活を続けるよりも、娘を幸せにできる自信はあったから。『パパにもいいところはいっぱいあるし、それを受け継いだあなたに会えてとてもうれしい。でもママはパパと一緒にいるとつらくなっちゃった。うまくいくと思って結婚したんだけど、ダメだったんだよ』と、素直に話しています。大人だって完全じゃないし、間違えることはあるのだと伝えればいいと思うんです」
元夫と私の”新しい関係”って!?
別れ際に「今日から新しい関係のスタートだね!」という迷言(!?)を残して去っていた元夫は、一緒に暮らしていたとき以上に、娘さんへの愛情を表現しているのだとか。
「子どもとの面会も月1回程度に決める家庭が多いところ、彼が『週1回にしたい』と言ったときは、絶対に続かないだろうと思っていました。結婚していた時にあれほどお願いしても無理だったんですから。でも、なんと3年間毎週末続いているんです。彼には友達が多いので、“パパ友LINE”を立ち上げて、父子でレジャースポットへ連れて行ってあげているようで、娘も喜んでいます。私も自分の時間が毎週末できて大助かり。きっと、彼の友達の奥さんも喜んでいるでしょうね(笑)」
嘘のない生活の中に幸せがある
正真正銘ワンオペ育児になって、大変なことももちろんある。
「風邪が流行る時期など、母子で体調が悪い時はやっぱりつらいですね。近所のママ友に『○○を買ってきてほしい』とLINEで頼むこともあります。でも、夫が家にいたところで、同じ状況でしたから(笑)。時間的、経済的な余裕もなくなってしまったけれど、夫に対してモヤモヤした気持ちを抱えながら、娘の前で笑顔でいようとするよりも、幸せの感じ方がダイレクトです。寝る前に娘と、今日あった悪いことといいこと、明日の目標を語り合って、一緒に笑ったり泣いたりする時間に、しみじみと子育ての喜びを感じます。
彼も、自分では絶対に言わないけど、別れてからのほうが元気そうだし、会社の調子もいいみたい(笑)。これが私たちの適正距離だったのかも。お互いに嘘のない人生を手に入れたからこそ、人を思いやる余裕も生まれたのかなと思うんです」
取材・文/酒井亜希子(スタッフ・オン)