やることが山盛りだったけれど、相手役と共に舞台に立てる喜びや幸せを噛みしめられたトップ娘役時代
実力派娘役として周知されながらも、娘役としては遅咲きの入団9年目にトップ娘役就任。しなやかな存在感でファンを魅了してきました。スペシャルインタビュー vol.2は、花組の顔として舞台に向き合ってきた現役時代のことをうかがいます。
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トップ娘役になられて、楽しかったこと、大変だったことを教えてください。
仙名さん(以下敬称略):トップ娘役になったことで出合えるシーンというか、任せていただける役割が増えて、それまで自分が培ってきたことや個性を含ませたパフォーマンスがより幅広くできるようになったことが、本当に楽しくてうれしいものでした。あと、私、タカラヅカの衣装が大好きなんですよ!よく衣装部に行って、飾りなどの細部をこっそり見学していました(笑)。ものすごくクオリティが高くて、素敵な衣装の数々を着させていただけたこともうれしかったですね。
そしてやはり、素晴らしい相手役さんとご一緒に舞台を務められたことがとってもありがたかったです。(相手役の)明日海りおさんにはたくさんアドバイスをいただき、助けていただき、鍛えていただきました。明日海さんが与えてくださる安心感は本当に力になりましたし、パートナーとしてひたすら走り続けられた日々は何にも代えがたい経験です。
大変だったことは、いつも時間に追われていたことですかね。例えば舞台のアクセサリーを作ったり、毎日のお稽古や公演の合間に時間を見つけては、これでもかといろんなことを詰め込むんです。それで、「もう寝なきゃ、でもあれが終わってないから寝られない」みたいな。当時はそれを当たり前にしていましたけど、さすがに今はもうあの生活には戻れないですね。
退団されて1年が経ちました。変わったのは、やはり時間の使い方ですか?
仙名:そうですね、圧倒的に時間ができました。自分で時間の使い方をちゃんと考えないと…。緩みすぎ→いけないと思ってキュッとする、ということの繰り返しになってしまって全然、均整が取れていないです。あ、空いた時間にカフェに行ってゆっくりするということができるようになりました。現役中はカフェに行ってもすぐソワソワしてきて、全然ゆっくりできないんですよ、「こうしている間に何かできるよね」と考えちゃうので。今はただ、ボーッとしたり友達としゃべったり、以前だったら絶対にできないことができるようになりました。
仙台に帰省する機会も増えましたね。宝塚音楽学校時代を含めて14年間、一緒にいられない間に年をとってしまった愛犬に会いに。とても癒されます。そこでまた元気をもらって、東京で頑張ろう、って。
変化したことといえば他にも。ある程度覚悟がないと東京宝塚劇場に近づけなくなったこと(笑)。現役中いつも通っていたのに不思議ですが…。というのも、退団してから改めて、現役の方々はすっっっっっごいなと思ったんです!自分自身、時間に少しゆとりができたというのもあるので尚更。あのハードスケジュールの中で、みなさん毎日舞台に立っていることがすごい!毎日お稽古に行っているだけですごい!と。リスペクトが強くなりすぎて、気軽にはあの聖地に足を踏み入れられないんです。『シャボン玉』公演中も(東京宝塚劇場の向かいにある)シアタークリエにいながらにして、劇場の前の通りは歩けなかったですね(笑)。
OGの方との交流はありますか?
仙名:今年1月に、同期の子たちと忘年会と新年会を兼ねたような会をしました。ママになっている子がいて、バリバリ働いている子がいて、舞台を続けている子がいて。卒業して初めてOGの集まりに行ったのですが、楽しかったです。会うとなぜか音楽学校の時の話になるんですよね。あの時は、「これもいつか笑い話になるよ」と言われながら頑張っていて、笑い話になんか絶対にならない!と思っていましたけれども、ちゃんとなるんですね(笑)。
普段ですと、お買い物はどんな所でされることが多いですか?
仙名:タカラヅカ時代は、有楽町周辺で全部済ませてしまっていましたが (笑)。退団後は、絶対ここ!とは決めず、ふらっとどこにでも行きます。たまたま用事があった場所の近くを歩いていたら、好みのお店を見つけたりすることもありますよね?そういうのもテンションが上がりますし。私わりと行き当たりばったりの人なので、収穫なしで帰ることも多々あります。でもいいんです、楽しかったら。今はあまり出かけられない状況ですのでお買い物は難しいですが、外出ができるようになったら…ゆっくりと新しいメガネを選びたいですね。
仙名さんの大人っぽくも情熱的な魅力は、ステージの素晴らしさをより高めてくれるエッセンスだったように思います。タカラヅカの衣装は本当に素敵で、ワクワクしますよね!実際にその衣装に袖を通していたタカラジェンヌの方が、いちファンと同じ思いなことに心の中で盛り上がりました。
次回はいよいよ、バッグの中身を拝見します♡
撮影/大靏 円(昭和基地) 文/淡路裕子
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女優
仙名彩世
せんなあやせ・12月3日生まれ、宮城県出身。2019年より“みやぎ絆大使”に就任。2008年に94期として宝塚歌劇団に首席入団、月組大劇場公演『ME AND MY GIRL』で初舞台を踏み、その後花組に配属。2013年花組バウホール公演『フォーエバー・ガーシュインー五線譜に描く夢ー』でバウ公演初ヒロイン。2015年シアタードラマシティ&日本青年館公演『風の次郎吉-大江戸夜飛翔-』で別箱Wヒロインを演じる。歌唱力の優れた人が担うエトワールは4度経験。2017年に花組トップ娘役に就任、大劇場公演『邪馬台国の風/Santé!!ー最高級ワインをあなたにー』でお披露目。2019年大劇場公演『CASANOVA』で退団。2020年『シャボン玉とんだ 宇宙(ソラ)までとんだ』で本格的に舞台活動を再開。
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