「愛想がいい」という言葉について
「愛想がいい」という言葉は、ほめ言葉なのでしょうか?それともネガティブな言葉なのか、まずは「愛想がいい」の意味から見ていきましょう。
「愛想がいい」は「人当たりのいい態度」という意味です。人当たりのいい態度は、ビジネスシーンで円滑なコミュニケーションをする上でも欠かせません。したがって、「愛想がいい人」と言われたら、ネガティブな言葉ではなくほめ言葉と捉えてよいでしょう。
では、「愛想」そして類語「愛嬌」はどんな意味なのかご紹介します。また、「愛想をふりまく」という言葉についても考えてみましょう。
■「愛想」の意味は?
「愛想」の一つ目の意味は「人に接するときの態度や人当たりのいい態度」、二つ目の意味は「人に対する好意・信頼感」です。三つ目の意味は、「客に対するもてなしや心遣い」です。「愛想」は、人に接するときの態度や動作を表わすときに使いましょう。
<例文>
・「あの店員さんはいつも愛想がよいから、好感が持てる」 「彼女には、愛想が尽きた」
・「何の愛想もなくてすみません」
■類語「愛嬌」の意味は?
一方、「愛嬌」の一つ目の意味は、「憎めない愛らしい表情やしぐさ」です。例えば、「愛嬌あるしぐさ」「愛嬌たっぷりに話す」というように使います。「愛嬌」は、その人が元々持っている性質の愛らしい雰囲気を表わしたいときに使いましょう。
二つ目の意味は、「相手を喜ばせるような言葉・ふるまい」です。「ご愛嬌に1曲唄います」というように、ちょっとしたサービスをするときに使います。
そして三つ目の意味は、「ちょっとした非礼や失敗を見逃してほしい」です。「素人なのでご愛嬌ということで」というように、ちょっと間違いがあっても許してね、という意味が込められています。
自分にとっては小さなミスだと思っても、相手はどう思うかわからないので、三つ目の意味で使うのはできるだけ避けた方が良いかもしれません。
例文 「彼女は愛嬌があって、憎めない」 「愛嬌のある表情がとても可愛らしい」 「彼女は、愛嬌のある笑顔が魅力的だ」
「愛想をふりまく」は正しい言葉?
「愛想をふりまく」という言葉を耳にすることがありますが、「愛想をふりまく」という言葉は間違っており、正しくは「愛嬌をふりまく」です。
ところが、2005年に文化庁が行った「国語に関する世論調査」では、「愛嬌をふりまく」より「愛想を振りまく」を使う人の方が多いことがわかりました。間違った言葉が定着していますが、「愛嬌をふりまく」が正しい使い方です。
まず、「愛嬌をふりまく」の意味は「誰にでもにこやかな態度をとる」「周りの人みんなに愛想よくする」だとご存知でしたか?
愛想は動作を指す言葉なのに対し、愛嬌はその人の持つ雰囲気を表わします。動作をふりまくことはできないので、「愛想をふりまく」は間違った表現と覚えましょう。
■対義語「愛想がない」の意味は?
「愛想がない」は、主にネガティブな意味で使われる言葉です。「愛想がない」の一つ目の意味は、「対応がきわめて冷淡であるさま」で、言葉の通りに冷たい態度を意味します。二つ目の意味は「感情を表に出さないさま」、三つ目の意味は「人を喜ばせようという心がけが感じられない態度」です。
これらの意味からもわかるように、「愛想がいい」に対して「愛想がない」は正反対の意味で使われています。「愛想がない人」というときは冷たい人、何を考えているかわからない人、周りの人を喜ばせようという心がけがない人、という意味合いになるのです。
「愛想がいい人」の特徴
愛想がいい人は人から好かれやすく、愛想がいい人のまわりには多くの人が集まりやすいでしょう。一緒にいて居心地がよく楽しいので、多くの人を惹きつけます。それでは、愛想がいい人に共通する特徴を三つ紹介します。
・明るい性格でいつも笑顔
愛想がいい人は明るい性格なので、ムードメーカーになりやすいでしょう。たとえ嫌なことがあっても顔に出さないので、他の人から見たら「いつも明るく元気な人」というイメージが強いかもしれません。そして、いつも笑顔なので親しみやすく話しかけやすいのも魅力の一つといえます。
・コミュニケーション上手
愛想がいい人は、人とコミュニケーションするのが上手です。元気よく挨拶できるので、ビジネスシーンでも好感を持たれやすいでしょう。多くの人が苦手とするタイプの人ともコミュニケーションをとることができるので、一目置かれることもあるかもしれません。
また、自分の話ばかりせず、人の話にきちんと耳を傾けることができる「聞き上手」です。時に相槌をうったり質問したりするので、話をちゃんと聞いていることが相手に伝わります。
そして、愛想がいい人は相手の話を否定しませんので、相手も気持ちよく話をすることができるのでしょう。
・人見知りしない
愛想がいい人は人見知りもほとんどしないので、初対面の方とも早く打ち解けることができます。会話も自然に弾み、沈黙になって相手が困ることもありません。だから、一緒にいて楽しいと思う人が多いのではないでしょうか?
友達も多いのが、愛想がいい人の特徴です。物怖じせず新しい環境にも飛び込んでいけるので、行動範囲も広く、人との交流も多いでしょう。
愛想がいい人に適する仕事は?
愛想がいい人は明るくてコミュニケーション上手なので、あらゆる仕事に向いていると考えられますが、その中でも特に適しているのは、接客業や営業です。
・接客業
接客では、笑顔とコミュニケーション力が欠かせません。愛想がいい人は物腰が柔らかくコミュニケーション能力が高いので、お客さんの気分を損なうような発言や行動は慎みます。そして、どんなお客さんにも対応できるので職場でも重宝されるでしょう。
ちなみに、接客業の仕事には、ホテル・旅館のフロントスタッフ、飲食店のホールスタッフ、ショップスタッフ、美容院やエステなどの美容スタッフ、レジャー施設のスタッフなどがあります。
どの仕事においても大事なのは「お客さんに心地よく過ごしてもらうこと」なので、場の空気を読んでコミュニケーション力がある「愛想がいい人」は最適といえるでしょう。