〝おしゃべりするコンピュータ〟をつくるという学生時代からの夢が今、目前に。日本のテクノロジーを牽引するべく奮戦中です。
今月の妻:田端真由美さん
日本アイ・ビー・エム(株)グローバル・ビジネス・サービス事業
先進技術・自動化ソリューション統括 技術理事・46歳
経験のないことや無理そうなことも、まずはチャレンジしてみます
AIができることはどこまで進むのだろう。田端さんが手がけたJALのバーチャルアシスタントサービス『マカナちゃん』は、Facebookやツイッターの情報をもとに性格診断を行い、チャット形式の対話を通じてハワイの旅情報を提供してくれる。
「これまでは聞かれたことに対して画一的な回答しかできませんでした。『マカナちゃん』はその方のタイプに合わせた情報提供ができる、応答精度の高いサービスになっています」
ベースとなるのは、IBM Watsonと呼ばれるAI。対話技術を始め、画像認識や感情理解などのさまざまな機能をもつ。田端さんの業務は、AIを用いた新サービス構築のリードから、外部の会議や論文を通して新しい技術を世の中に広める活動まで、幅広い。
「この業務に携わり始めたのは2年前から。日本にはまだ事例もなく、ゼロベースからの仕事でしたが、打診されたら断らないのが私の主義。やる前にあきらめては結果も出ません」
与えられた目の前の業務にひたむきに取り組む。その積み重ねの22年で、気づけば社内のエグゼクティブ職に上り詰めていた。
「仕事の規模が大きくなり、関わる人数も増えて、今の課題はメールの対応(笑)。1日に300通は入ってくるので、大切なメールを見落とさないよう注意しています。実は人工知能は大学時代からのテーマで、おしゃべりするコンピュータをつくりたいと夢みていました。それが今、現実になりつつあるかなと思っています。ひとり暮らしの老人やコミュニケーションが苦手な若者向けに、女性のおしゃべりのように目的のない会話を楽しむ。そんなサービスが提供できたらいいですね」
たばた・まゆみ/1971年、大阪府生まれ。幼少期にエレクトーンの仕組みに興味をもち、コンピュータを勉強すべく横浜国立大学工学部に入学。卒業後は現在の会社にSEとして新卒入社。26歳で結婚。36歳でラインマネージャーとなり、後進育成のために社内研修講師も担当業務に。2017年4月より、技術職の最高位IBMフェローに次ぐ技術理事に就任する。現在、AIを用いた新サービスを担当。週末はテニスで汗を流す。
Domani2018年2月号『女[独身]、妻[既婚子供なし]、母[子供あり]Catch! 働くいい女の「木曜13時50分』より
本誌撮影時スタッフ:撮影/真板由起(NOSTY) ヘア&メーク/今関梨華(P-cott) 構成/谷畑まゆみ