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LIFESTYLE 私の生き方

2018.04.19

『やまない雨はない』【アンチエイジング美人女医・松宮敏恵さん】連載インタビューvol.4

 

美しい人の生きる道をクローズアップする人気連載。今回は、天現寺ソラリアクリニック院長・松宮敏恵さんの生き方の第4回。

美しい人は、美しい物語を持っている。それは、甘くきらびやかという意味ではなくて、バラにトゲがあるように、さなぎが蝶になるように、美しさとは真逆の痛みや忍耐をも含んだ、真に美しい物語。

形成外科医であり抗加齢学会専門医として、アンチエイジング医療の最前線を走り続ける医師・松宮敏恵さん。これまでの人生で最もハードな時期を乗り越えたあと、さらに待っていた修行の時代。ロングインタビュー第4回をお送りします。(全6回)

関連記事:第1回 『医者なのに自分の体には無頓着でした
第2回 『医者になんてなりたくなかった
第3回 『突然、奈落の底に突き落とされた

バイト医者なんて、面白くない

耐えきれないような試練があった時、誰かを責めたり何かを恨んだりするのは簡単かもしれない。でも、それよりも自分自身で試練と向き合って生きていく。逃げていたことからも、目を背けずに。

離婚してシングルマザーとして生きていく覚悟と共に松宮さんの中に生まれたのは、医者として生きていく覚悟だった。

「母として、とか子供のために、というよりも、自分自身がちゃんと何者かになりたかったんです。最初は自分のリハビリのつもりで働いていたリハビリ科ですが、そのままダラダラと続けていても意味がない。将来、もし形成外科に行けたとしても、それまでのキャリアで何をやっていたんだろうと思うと、根無し草のような道は選びたくなかった。ちゃんと腰を据えて、リハビリの専門医を取ろうと決めました」

ひと口に医者と言っても「専門医」であるかどうかで、特に医者同士の間では、信頼度が大きく変わる。だが、通常の仕事の傍ら、論文を書いたり、症例をチェックしたり、試験を受けたり…ひとつの専門医をとるのに5年はかかると言われるハードな道のりだ。

「医者の仕事はきついし辛いけれど、楽をしようと思えばいくらでもバイト医者みたいになって、ゆるくやれる。でも、それでは全然やりがいが感じられず面白くないなって思ったんですよね。頑張って、リハビリの専門医を取ってから形成に行って。それでも面白くなかったら医者をやめよう。自分の中で、そう決めていました。

いざ、専門医の勉強を始めたら、想像以上に勉強が楽しくて。私は、勉強をすること自体が好きなんだと、気がつきました。学生だったときには面白いと思えなかったことが、実践と目標があるとぐっと面白いと思えて。筋肉の仕組みなどを勉強すればするほど、これってアンチエイジングにつながるんじゃないかな?という思いも漠然と感じていました」

ずっと、誰かに、何かに、認められたかった

そうしてリハビリ科の専門医の資格を取り、念願の形成外科へと移る。ここでも、もちろん目標は専門医。また一から専門医をとるための、修行の5年が始まった。

「念願の形成外科は、やるたびに新しいことを学べて、すごくやりがいを感じました。ただ、体力的にはかなり厳しかった。毎日手術や外来があり、緊急の手術も多い科。当直は減らしてもらいましたが、それでも週に2日は家に帰れず、娘と会えない。子供が熱を出したからって手術を抜けるわけにもいかず…。大学病院に行くまでの電車の中で毎朝『いつやめようかな』、でも大学に着くと『今日も来れてよかった』。そんな思考を繰り返していましたね。

でも、辞めようかと本気で相談したときに、教授が『お前にはセンスがあるから、ここでやめるのはもったいないぞ』と言ってくれて。そうやって他人がくれた言葉や段々技術が向上していく喜び、そういうものに支えられて、なんとか続けることができたと思います」

簡単な道と、困難な道。目の前にふたつ並んでいたらどちらを選ぶか。ふわふわと生きてきたと本人は言うけれど、松宮さんの辿る道は、ストイックなまでに後者だ。

困難が好きなわけではない。でも、簡単な道に行きたくはない。自分自身を信じるために。認めるために。

「形成外科の専門医をとって、ようやく自分で自分を一人前の医者だと認められた気がします。どうしても医者に向いていない、周りからもそう言われる自分が、よくここまでやれたなって。

もう他人の評価は気にしない、と思いながら、まだ世間体を気にしている自分もいたんだと思います。専門医をとってないなんて、カッコ悪いという気持ちもあったかも。ずっと、誰かから認められたい、という思いが強かったんですよね。でも、形成の専門医になったことで、ようやく解放されたような気持ちになりました。結局いちばん認められたかったのは自分自身にだったんだと思います。

誰かに嫌われるとか、評価されないとか関係なく。うまくいかないことがあっても、やまない雨はないし、すべてが糧になると心から思えた。私にとっては、自分を大切にすることのひとつが、専門医になることだったんでしょうね」

1シーン、1シーンを主役で生きていく“ドラマな人生”。自分で自分を主役だと、やっと思えるようになった。30代後半。解き放たれたかのように、「ここから好きなことをやって生きていこう!」と決めた。

写真/もうすぐ6年生になる娘とは、親子のような、友達のような、かけがえのない女同士の関係。自転車に乗るのが好きな娘に合わせて、休日はふたりでサイクリングに出かけることも多いそう。母親だから、と気負うより、自分が充実して自由に生きることで、彼女に「ママでよかった!」と思ってもらえたら…と願っている。

天現寺ソラリアクリニック院長

松宮詩依(敏恵)

1979年生まれ。天現寺ソラリアクリニック院長。形成美容外科医、日本形成外科学会専門医、抗加齢学会専門医、リハビリテーション科学会専門医、分子栄養医学認定医。形成美容外科・リハビリテーション科・分子栄養学の3つの観点から、見た目・身体機能・栄養からのアンチエイジング医療を提唱している。美しくなるためには外面と内面(主に食事)両方からのアプローチが大事!がモットー。
公式サイト
天現寺ソラリアクリニック 

撮影/萩庭桂太

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