「ございますでしょうか?」は誤った敬語
「ございますでしょうか?」は誤った敬語です。言葉のニュアンスから非常にていねいな印象を受けるため、なぜ間違っているのかと不思議に感じる人も多いでしょう。
ここではまず、「ございますでしょうか?」がなぜ敬語として間違っているのかを解説します。「ございますでしょうか?」に似ている「ございませんでしょうか?」と「ありますでしょうか?」という表現についても解説するので参考にしてください。
■「ございますでしょうか?」は二重敬語
「ございますでしょうか?」は「ございます」と「でしょうか」に分解できます。「ございます」は「ある」の丁寧語です。例えば、「右手に公園がある」は丁寧語では「右手に公園があります」や、さらにていねいな「右手に公園がございます」と言います。
そして、「でしょうか」は「だろうか」の丁寧語です。例えば、「晴れるだろうか」は丁寧語で「晴れるでしょうか」と言います。よって、「ございますでしょうか」は、丁寧語である「ございます」と「でしょうか」が入っている二重敬語であるため、敬語として誤りだとされるのです。
二重敬語はなぜ失礼になるの?
「ございますでしょうか?」は二重敬語のため誤った言葉遣いであると聞いて、なぜ二重敬語が失礼になるのだろうと疑問を抱く人もいるでしょう。確かに二重敬語を使ったからといって、それだけで目くじらを立てて怒られるケースは少ないかもしれません。
しかし、中には過剰な敬語が失礼だと感じる人もいます。良かれと思って使った敬語が、相手を不愉快にさせてしまっては本末転倒です。普段使っている敬語が間違っていた場合は、修正するようにしましょう。
■「ございませんでしょうか」も二重敬語
「ございますでしょうか?」が二重敬語になるのと同じ理由で、「ございませんでしょうか」も二重敬語であるため間違った敬語です。否定を表す「ない」の丁寧語である「ございません」と「だろうか」の丁寧語である「でしょうか」が被っています。
否定の形にしても、「ございますでしょうか?」と同様に二重敬語であることに変わりはありません。
■「ありますでしょうか」も間違い
「ございますでしょうか?」が誤った敬語であるならば、「ありますでしょうか」なら大丈夫だろうと思う人もいることでしょう。しかし、「ありますでしょうか」も間違った敬語の使い方であるため注意が必要です。
「ありますでしょうか」は「ある」に「ます」と「でしょうか」の二つの丁寧語をつけた表現。「でしょうか」の元の形は「ですか」なので、「ありますでしょうか」も「ます」と「です」を使った二重敬語です。
「ございますでしょうか?」の言い換えは4つ
ここでは、「ございますでしょうか?」の言い換えを4つ紹介します。「ございますでしょうか?」の4つの言い換え表現は、次の通りです。
1.言い換え「ありますか」
2.言い換え「あるでしょうか」
3.言い換え「ございますか」
4.言い換え「おありですか」
それぞれの表現をどのように使えば良いかを詳しく見てみましょう。また、使い方の例文もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
1.言い換え「ありますか」
1つ目の言い換え表現は「ありますか」です。「ある」の丁寧語である「あります」に、疑問の「か」を付けた表現のため、二重敬語になりません。
ただし、「あります」という表現が丁寧語としては軽い印象を与えるため、改まった敬語になりにくい点に注意が必要です。
【例文】
ここまでの内容で、何かわからないところはありますか。
2.言い換え「あるでしょうか」
「あるでしょうか」も正しい言い換え表現として使うことができます。これは、丁寧語の「ございます」を元の形の「ある」に戻して、そこに「だろうか」の丁寧語である「でしょうか」を付けた表現です。
あるかどうかを率直に尋ねる印象が強い「ありますか」に比べて、言葉の印象が柔らかくなる点が特徴です。
【例文】
こちらの案件について、何か注意する点はあるでしょうか。
3.言い換え「ございますか」
3つ目の言い換え表現は「ございますか」です。丁寧語の「ございます」に疑問の「か」と付けた「ございますか」は「ありますか」や「あるでしょうか」に比べると、よりていねいな印象を与えられるフレーズです。目上の人への問いかけや接客時など、さまざまなビジネスシーンで使える表現だと言えるでしょう。「ございますでしょうか?」の言い換えとして、一般的な表現です。
【例文】
本日のお約束はございますか。
4.言い換え「おありですか」
4つ目の言い換え表現は「おありですか」です。動詞の「ある」に尊敬語である「お」を付けて疑問文にした表現で、尊敬語と丁寧語を用いているため、ニ重敬語にはなりません。
「あるでしょうか」や「ございますか」とは異なり、お客様や目上の人といった敬意を払う相手に対して用いるフレーズです。
【例文】
社長はこちらの広告に関心がおありですか。
二重敬語「ございますでしょうか?」に注意しよう
「ございますでしょうか?」は、日常でうっかり用いることが多い二重敬語の一つです。二重敬語は、大切な相手にていねいな言葉を使おうとする気持ちの表れのため、それほど失礼にあたらない場合もあります。しかし、中には二重敬語を気にする人もいるので注意が必要です。
二重敬語である「ございますでしょうか?」が口から出そうになった際は、「あるでしょうか」や「ございますか」、「おありですか」といった正しい表現への言い換えを意識するようにしましょう。
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