「ご教授いただく」の意味は?
最近になって言葉の意味を知り、今まで間違った使い方をしていた! なんていう経験はありませんか? 特に似たような文字や音声だと紛らわしいことも。そんな言葉の代表的な「ご教授」と「ご教示」について、使い方も併せて紹介します。
「ご教授いただく」とは、一言で表すと「教えてもらう」という意味です。
「ご教授」とは「教え授ける」という意味で、読み方は「ごきょうじゅ」。ある程度の期間にわたって、継続的に教えを受けるときに用いられます。特に、学問や技芸的なこと(専門的な知識・スキル)は短期間で習得できるものではなく、継続的に学ぶことで習得できるものなどが該当します。
「いただく」は「もらう」の謙譲語ですから、この「いただく」の使い方は謙譲語として誤りだという指摘も。
その理由として
1. 謙譲語は自分の動作を低めて相手を敬うため、基本は自分の行為にしか使えない
2. 教えるのは相手だから「ご教授いただく」は、相手の行為に謙譲語を使うことになる
というものです。
しかしながら、結論を述べますと、これは間違いではありません。「ご教授いただく」は「私が相手に教えてもらう」という意味です。「ありがたくも私が相手に教えてもらう」といったニュアンスになります。
自分が目上の人などに「〜してもらう」というときの主語は自分ですから、自分を低めて目上の人をたてる謙譲語「いただく」を使います。
「ご教示」との違いは?
「ご教示」とは「教え示す」という意味で、読み方は「ごきょうじ」。知識や方法・手順・手段といったものを「教え示す」というニュアンスがあります。「ご教授」のように継続的に教えを受け続けるというより、その場で解決するための方法などを教えてもらう場面で使います。どちらかというと簡単なもの、例えば書類の書き方や手続きの方法・手順といったものが対象に。
教えてもらう内容が「より専門的・継続的」なのか「比較的簡単・一時的」なのかが使い分けのポイントです。
「ご教授いただく」と「ご教示」の使い方を例文でチェック
まずは「ご教授」を使った例文を一緒に見ていきましょう。
1:ITを専門としている貴社に、当社のシステム化についてご教授いただきたく存じます
上記は、専門的なスキル・ノウハウを有している人、あるいは会社に対して使う例文です。一過性のものではなく、長期にわたり教えを乞う場合に使います。
2:長年にわたって先生にご教授いただき、このような結果を出すことができました
上記は、ある程度の期間継続して学問などを教えていただいた先生などに対して使う例文です。これも一過性ではなく、ある一定の期間を要しているので、「ご教授いただき」となります。
3:商品企画については初めてなので、これからどうぞご教授いただけましたら幸いです
上記は、仕事上で新たな業務に取り組む場合、上司や先輩から教えてもらう場合に使う例文です。
ビジネスシーンにおいて「ご教授」が適している場面は、例文3のようにたとえば新しい部署に異動し、先輩への挨拶をする場合などが挙げられます。又、時間をかけてマスターしなければいけないものを教わる際などに使うことができます。
次に「ご教示」を使った例文を一緒に見ていきましょう。
1:ビジネスにおける「ご教示」の使い方
・社内システムの使い方をご教示ください。
・入退出時の鍵の管理方法について、ご教示いただけますでしょうか。
・先日はマナーについてご教示くださり、ありがとうございました。
通常はちょっとした作業のやり方や、方法や手順についてたずねる場面では「ご教示」を使用する機会が多くなります。そのため、メールにおいても「ご教示」を使用するケースが多いでしょう。