レディファーストな彼の本性に愕然!
前回のお話▶︎取材で恋に落ちて結婚した相手はまさかのDV!
わずか4日間のN.Y滞在でひとめぼれした、取材相手の日本人ミュージシャンAさんに会うために現地に渡り、半年でスピード結婚した芽衣子さん。が、しかし! 結婚してすぐに、AさんにDVを振るうようになったのです。
芽衣子さん:よく、DVする人って周りには「すごくいい人」だと思われてる人って言いますが、彼もそうでした。だから交際中は全く見抜けなかったんです。
それは、ある日突然起こりました。
芽衣子さん:夜、私が作ったカレーを食べてたら、「なんか、カレーに油が浮いてない? ちゃんと油取ってる?」って聞かれたんです。それで急に、「俺の一食をナメるんじゃねえ!」って、怒鳴りながらお皿をひっくり返して…。
思い返せば、最初から何でも命令形で偉そうだったAさん。でもそれを、芽衣子さんは「男らしい♡」と思い込んでいたそう。
芽衣子さん:細身でシュッとしたイケメンだったし、レディファーストでドアも開けてくれるし荷物は持ってくれるし、お花とかのサプライズギフトもくれるし、「何て素敵な人なんだろう」とポーッとなってしまっていたんですよね。
実はこれは、「ギフティング」という、DVする人の特徴なんだとか。つまり、飴と鞭の「飴」に当たるのが、サプライズギフトやエスコートなどの行動だということなのですね。
カレー事件のとき、芽衣子さんは「怒られたのは自分が悪いのかも」と思ってしまい、翌日に彼がお詫びに花束を買って来てくれたことで普通に仲直りしてしまったのです。
芽衣子さん:でもそのときも、「だけど俺の一食をナメた、芽衣子が悪いんだからね」と言われました(苦笑)。
その後も、靴下を畳むときにふたつ折りにしたら「靴下のゴムが伸びるから折っちゃダメだって俺、言ったよね?」とキレられたり、グレープフルーツを切るときの太さは3cmまで、など家事の細々とした「俺ルール」を芽衣子さんが破るたびに彼が逆上。
芽衣子さん:おまけに、働いている私に対して「5時までには帰宅しろ」と束縛が強くなってきて。それを守れなかったときに携帯電話を壊されたりしたんです。
自己肯定感が低めで優しい芽衣子さんはそれを受け入れてしまっていたのですが、ある日、話を聞いた友人たちが「芽衣子を救え!」と立ち上がり、N.YのDV被害者救済センターのような場所に連れて行ってくれました。
芽衣子さん:そのときには心労からやせ細って、体重も39キロに減っていました。夫は、結婚してから自殺未遂を2回したことがあるんです。私が自宅にいるときに、首を吊ろうとしたこともありました。ドン!という音がして、目を向けたら、首吊りに失敗した夫が床に落ちていたんです。
何とも壮絶な、N.Yでの結婚生活。最終的には芽衣子さんが殴られ、「もう無理!」となって逃げ出したのですが、そんな芽衣子さんに対してもAさんは「許してやるから帰ってこい」と、なぜか上から目線だったそう。
明らかに色々な認知能力が狂っているAさんが恐ろしすぎますが、芽衣子さんが彼のアメリカでのビザをサポートしていたため、「このまま次の滞在ビザも私がサポートするから離婚してください」と、彼の弱みを突くことで、何とか離婚に応じてもらえることに。
しかし、N.Yで入籍していたため、そこから離婚するまでには彼の次回のビザが取得できるまで待ったあとに手続きする必要があり、結局4年もかかったそう。激しく燃え上がった異国での恋は、DV離婚という泥沼に終わったのです。
DVとモラハラは、外面がいい人が多いので見抜くのが難しいと言いますが、本当に怖いですね…。
ちなみに、芽衣子さんはDV支援センターに行ったとき、「最初に彼を見たとき、どういう印象を受けましたか?」と聞かれ、「守ってあげたいと思いました」と答えたら、「やっぱりね」と言われたとのこと。DV男性は母性をくすぐるタイプが多いんですって。芽衣子さんの夫Aさんも、幼少の頃に父親からDVを受けていたそうで、そんな生い立ちの影がどこかさみしげで守ってあげたくなるような、弱々しいオーラに繋がっていたのかもしれませんね。
インタビュー・文
さかい もゆる
出版社勤務を経て独立。と思った矢先、離婚してアラフォーでバツイチに。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛けるフリーランスエディター。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。