離れたくないほど愛おしい〝小さな恋人〟の存在
前回の話▶︎相手を信じるってどういうことだったけ?【シングルマザーの恋愛#7】
こんにちは。10歳の息子を持つシングルマザーのあおいあんです。前回はマッチングアプリのお相手の完璧な返事に、逆に疑心暗鬼に陥った私。その一方で友人であるHくんからの〝紹介〟を楽しみにしていたのですが…そんな私の浮き足だった雰囲気に気がついたのが息子でした。
生活感だらけの、シワシワの手が気になりネイルサロンへ行ったところ、息子から衝撃の一言が。
「好きな人でもできたの?」
ちょっと待って! あなた5年生ですよね!? なんでそんな冷静に、その言葉を母親に言えるの?と動揺しながらもさらりと…
「いいや、たまには指先まできれいにしたくなるのが女ってものよ」
とニヤリとして言ってみたが、
「なんだつまんないの」
と息子の方が何枚も上手だった。
そういえば最近、「TくんはAちゃんのことが好きなんだって」「RちゃんTくんのことが好きだったのに、今はSくんなんだって」と、同級生の恋バナをまるで週刊誌のようにペラペラ話してたな。
5年生ともなると恋バナは当たり前で、母親もひとりの女性として見ることができるということなのだろうか?
「ママに好きな人ができても寂しくないの?」
ちょっと探りを入れてみた。
「寂しいか、寂しくないかと言われれば、寂しいと思うけど、誰かを好きになる気持ちは自由なんじゃない」
なに!? その大人みたいな回答は。これは本心なのか? こっちの方が寂しいんだけど。
「ふ~ん」と話をフェイドアウトさせたが、イマドキの子どもは、こんなにも大人びていて本当にこれでいいのだろうか。
昔、保育園の先生が「子育ての最終目標は、子どもの自立ですよ」と言っていたが、こんなにも早く、精神的に親離れがくるのか。これは自立と言うのだろうか。
私の心のどこかでは、息子はまだまだ子どもで(なんならベイビーで)、息子以外の男の人を好きになる母親は受け入れてもらえないだろうと思っていた。
だから、恋愛復活させたい一方で、罪悪感を感じたり、何かしら理由をつけてブレーキを踏んでいたのに。なんだか失恋した時のように胸がチクチクと痛む。暗い部屋にひとりポツンと取り残されたようだ。
そして、Hくんからの紹介に浮かれていた自分に嫌気がさした。毎日息子を見ていたつもりでいたのに、息子の心は私が計り知れないほど成長していたのだ。浮かれた母親を見て、原因を考え、「好きな人ができたのでは?」と思えるほど、大人になったってこと。それに気づけなかった…。
これからは息子を“子ども”という一括りで見るのではなく、“大人”として接していかなくてはと思った。今日の感じだと、もし私に好きな人ができて、恋人になったと言ったら、息子はきっと認めてくれるだろう。
その代わりと言ってはなんだが、息子に彼女ができた時には、同じように私も認めてあげることを要求されるかもしれない。親は子どもに対して責任もあるし、なんでも対等な友達親子になるつもりはないが、 これから本格的な思春期を迎えるにあたり、男女関係はセンシティブな問題になるはず。
もう一度、「本当に自分は女としての人生も捨てられない」のか、そして恋人ができた時、その先もきちんと考えなくてはならない。「シンママの恋愛」で難しいのは、恋人を作ることではなく、子どもとどう向き合っていくかなのかもしれない…。
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あおいあん
契約社員でメーカー勤務、現在38歳のシングルマザー。高学年になりちょっと生意気になった10歳の息子と実家に出戻り。40歳を前に「もう一度、女としての人生を!」と一念発起。離婚をしてから7年という恋愛ブランクを埋めるべく奮闘中。