明日海りおさんと戸田恵子さんが考える、作品に対する向き合い方
ブロードウェイで高い支持を集めたミュージカル『WAR PAINT』。この話題作が『エリザベス・アーデンvs.ヘレナ・ルビンスタイン -WAR PAINT-』として日本で初演を迎えます。
20世紀前半の化粧業界に革命を起こした、歴史に名を残すふたりの女性。エリザベス・アーデン役には、元宝塚歌劇団花組トップスターとして人気を集め、退団後も舞台や映像の作品で活躍する明日海りお(あすみ・りお)さん。そしてライバルのヘレナ・ルビンスタインは、おちゃめな役からシリアスな役まで変幻自在の演技力で各方面から引っ張りだこの戸田恵子(とだ・けいこ)さんが演じます。
前編
▶️『エリザベス・アーデンvs.ヘレナ・ルビンスタイン』明日海りおさん×戸田恵子さんクロストーク【前編】
後編では、俳優として活躍するおふたりの役作りの方法や、ライバルの存在についてうかがいました。
今回はブロードウェイの話題作の日本初演版になりますが、どのように役作りをされていますか?
戸田さん(以下敬称略):よく聞かれることなのですが、特に深くは考えていないんですよね。例えば料理人の役だったら少し料理を勉強するとか必要なことは研究しますけれど、基本は台本にあるセリフを読むだけ。作品はひとりで作るのじゃなくて、共演者やスタッフのみんなに助けてもらってみんなで作るもの。だからなにか突き詰めて役作りをするというか、真っ白なままで入って行って、だんだん役が形作られていく感じです。みんなどうやって役作りしているんだろうって逆に聞きたくて。明日海さんは?
明日海さん(以下敬称略):私は、台本に書かれていることをまずは表現するようにしています。実在した人の役の場合はものすごく調べて…という方もいらっしゃいますけれど、それよりも実践派かもしれません。幕が開いたその瞬間をお客さまは心待ちにしていらっしゃると思うので、その役を引き立ててくれるヘアスタイルにするとか、衣裳に合ったリップをつけるとか、身のこなし方の研究をします。そういう準備が佇まいに表れたらいいなと思っています。
ヘレナにおけるエリザベス、エリザベスにおけるヘレナのように、おふたりにとってライバルとなる存在はなんでしょうか?
戸田:ライバルというか、自分を高めてくれる存在として思っているのが立派な諸先輩方。年上で頑張っている方は、それだけで大尊敬しちゃいますね。自分が「しんどいなぁ」とグチが多くなってくるのに、例えば89歳の草笛光子さんが元気に活躍されていたり。(黒柳)徹子さん、伊東四朗さんなど仲良くさせていただいている役者さんとか。
先日は三宅裕司さんとブルーノート東京でジャズライブをやったのですが、70代でも素敵な姿で頑張っていらして、正直、先輩方がそんなに活躍されていたら困ります(笑)。自分にとってライバルというのはおこがましいんだけれど、先輩の存在やその行動を見ると、私もへこたれてちゃいけないなという活力になりますね。
明日海:私はありきたりな答えになってしまうのですが、やっぱり自分自身です。自分が好きでやっている仕事でも趣味でも、「めんどくさいな、怠けたいな」っていう気持ちが生まれることもあるんですね。我慢するべきとわかっているけどちょっと食べたいなとか、もう少しだけ寝ていたいなとか、常にそんな気持ちとの戦いです。
戸田:うんうん、わかる。どうしてもね(笑)
明日海:そうなんです。「怠けようとする自分 vs. これをやっておいた方が明日の自分のためだと戒める自分」というせめぎ合いの図。自分を甘やかしてしまった時の罪悪感は自分が一番感じるし、それが後から絶対に作用してくるから。私が負けてはならぬ、と思うのは自分ですね。
初共演のおふたりがどう作っていくのか、どんな化学変化が生まれるのか。『エリザベス・アーデンvs.ヘレナ・ルビンスタイン -WAR PAINT-』は5月7日にいよいよ開幕です!
[戸田さん]エトロ<エトロ ジャパン> TEL:03-3406-2655
[明日海さん] ブラウス¥58,300(VINCE/コロネット) TEL:03-5216-6516
イヤリング¥23,100・バングル¥71,500(ブランイリス/ブランイリス トーキョー) TEL:03-6434-0210
撮影/風香 スタイリング/江島モモ(戸田さん分)、大沼こずえ(明日海さん分) ヘア&メイク/相場広美(MARVEE/戸田さん分)、山下景子(明日海さん分) イラスト/春原弥生 構成・文/淡路裕子
歴史に残る2大コスメブランドの戦い
ブロードウェイを経て日本初演ついに開幕
『エリザベス・アーデンvs.ヘレナ・ルビンスタイン -WAR PAINT-』
【Story】
20世紀前半の化粧品業界に革命を起こしたエリザベス・アーデンとヘレナ・ルビンスタイン。二人の創業者は共に貧しい家に生まれるも、独自の発想と行動力でそれぞれのブランドを全米屈指の地位へと押し上げた。アーデンは可愛らしいピンクのパッケージでヒットを連発、ルビンスタインは科学的アプローチを売りにした商品が絶大な支持を得る。順調に売り上げを伸ばす二人だったが、互いをライバル視するあまり、相手の会社を貶めるべく卑劣な罠を仕掛ける。しかし、そのことが却ってお互いを窮地に追い込むこととなる。さらに第二次世界大戦、新興ブランドの台頭、女性の価値観の変容…、抗い難い時代の流れが彼女たちの事業と誇りの前に立ちはだかる…。
【Cast&Staff】
出演:明日海りお 戸田恵子 上原理生 吉野圭吾 朝隈濯朗 後藤晋彦 俵和也 井上珠美 河合篤子 罍陽子 小林由佳 原 広実 彩花まり 美麗 吉井乃歌
脚本:ダグ・ライト
音楽:スコット・フランケル
歌詞:マイケル・コリー
翻訳 / 訳詞 / 演出:G2
【スケジュール】
<東京公演>
2023年5月7日(日)〜17日(水) 日生劇場
<大阪公演>
5月27日(土)〜29日(月) 森ノ宮ピロティホール
<名古屋公演>
6月2日(金)〜4日(日) 御園座
<京都公演>
6月8日(木)〜13日(火) 京都劇場
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