『Greatest Dream』でやりたいことは? 今の雪組へのエールも!
宝塚歌劇に雪組が誕生して100年を迎える2024年のプレアニバーサリーイヤーの今年、雪組出身のレジェンドたちが集結するショーステージ『Greatest Dream』が行われます。雪組の歴史を振り返りつつ、時代ごとに印象に残る楽曲やシーンを厳選し、全幕宝塚歌劇の楽曲で構成するという魅力的な内容!
写真をもっと見る前回に続き、元雪組トップスターのおふたり、壮 一帆(そう・かずほ)さんと望海風斗(のぞみ・ふうと)さんにご登場いただき、『Greatest Dream』で楽しみにしていることなどをうかがいました。
在団中に「実はこれをやってみたかった!」という雪組作品はありますか?
壮さん(以下敬称略):ファン時代に観ていて好きだったのは『忠臣蔵〜花に散り雪に散り〜』。下級生時代に『宝塚おとめ』のやりたい役でチラッと「大石主税」って書いたことあるよ。「大石内蔵助」はさすがにおそれ多いから息子の方で(笑)。端っこでもいいから、大階段の四十七士に入りたい!と思って。
望海さん(以下敬称略):下級生だと、まだちょっと…って思いますよね。
壮:そう、まだちょっと内蔵助はおこがましいから(笑)
望海:観たかったなー!(笑)
壮:あと『エリザベート』をやりたかったな。エリザ知らずなので。初演は雪組だもんね。入団した年が初演だったの。最初に観たときに「すごい! なんて素晴らしい作品なんだ!」と感動して、「いいないいな、闇広(『闇が広がる』)歌いたいな」って思ってた。トートなんておこがましいから、ルドルフの方で。エリザはやられていたよね?
写真をもっと見る望海:はい、ありがたいことに…。私は雪組の作品というわけではないですが、悲劇が多かったので、どコメティがやりたかったです。
壮:本当だね、よく亡くなっていたよね。
望海:だからこそ、「ど」がつくコメディがやりたかった。ちょっとそれが心残りですね。退団した後から明るい作品が多くて。
壮:たしかに。明るくなったよね(笑)
望海:そうなんです。『20世紀号に乗って』というブロードウェイのコメディミュージカルは東急シアターオーブでやったんですよ。でも別箱だったので雪組生全員は出ていなくて。欲をいえば、オリジナルのコメディ作品を大劇場でやりたかったなと。
壮:うん、観てみたかった。
今回の『Greatest Dream』で歌いたい曲はありますか?
壮:私は退団公演(『一夢庵風流記 前田慶次』)の歌は歌いたいなと思っています。なぜなら日本物でわりと壮大な曲なので、ライブで歌えないんですよ。“和太鼓鳴ってます”みたいな雰囲気だから(笑)。だからライブで現役時代の歌となると、どうしても『Shall we ダンス?』みたいなポップなものを選曲することが多いから、この機会に歌わせていただけたらうれしいですね。
望海:私も同じような感じで、それこそコンサートでは歌いにくい『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』の歌ですね。コロナの影響で止まっちゃった作品で、ファンの方たちとの痛くて苦い思い出も含め大切にしているものだから、こういう場で歌いたいなという気持ちがあります。
『Greatest Dream』には雪組の先輩や仲間がたくさん出演されると思いますが、楽しみにしていることはありますか?
壮:本当に大先輩ばかりで。このメンバーでだいもん(望海さん)が共演したのって…、
望海:タカラヅカ時代はほとんどなくて、水(夏希)さんが宙組2番手で特出した『La Esperanza―いつか叶う―/TAKARAZUKA舞夢!』だけ。私は研2だったので、見ていたくらいでした。あと、花組でゆみこ(彩吹真央)さんとご一緒していました。
壮:そっか。でも相手役(真彩希帆)さんがいるもんね。
望海:東京で1日だけ、一緒にできるんです。
壮:私も東京の出演は1日だけだから。
望海:そうですよねー。「壮さんと一緒に出られる!」と思ったのに、あれ…壮さんいない…、みたいな。
壮:だいもん、大阪は出ないの? そっか、じゃあ一緒なのは東京の10月23日だけか。そのスペシャルな日は、ぜひともトークコーナーでも設けていただきたいね(笑)
望海:壮さんは先輩方との共演の経験はありますか?
壮:タータン(香寿たつき)さんは、私が花組下級生時代に花組に戻っていらして、短い期間だけどご一緒させていただいたことがあったけど、すごい上級生だったから。あとは退団してから一路(真輝)さんと共演させていただいたことがあるくらい。
望海:タータンさんは、『凱旋門』の前夜祭でお話させていただいたことがあります。同じボリス役で。
壮:みなさんも組替えを経験されているから、共通のお話ができるかもしれないね。花組月組の100周年ショー(『Greatest Moment』)のときも思ったけど、ファン時代に戻れるのがうれしい。自分がファンだったころに見ていた方の生の歌を聴くと「うわあぁぁぁ」ってただのファンに戻れるよ(笑)。だいもんも立派なタカラヅカファンだもんね。
望海:はい(笑)。みなさん、レディになられた今でも男役のスイッチを持っているじゃないですか。そのスイッチが入った状態で当時の歌を歌われていると、現役時代の面影が…。その姿がお稽古場で見られるのはあまりないことなので、すごく楽しみです。みなさんと一緒に歌うのも楽しみ。
壮:そのときは緊張しそうじゃない?
望海:私、(ステージでの位置が)端っこなんですよ、たぶん。だから少し気楽かもしれない。「あぁ、今私はみなさんと一緒に歌ってる…」って。
壮:あはははは!
今の雪組の舞台はご覧になっていますか?
壮:私、昨日観たよ!
(※取材日は7月上旬で、『Lilacの夢路−ドロイゼン家の誇り−/ジュエル・ド・パリ‼−パリの宝石たち−』を東京宝塚劇場で公演中)
望海:みんな頑張っていましたか?
壮:頑張ってた! 退団してからも雪組は毎回ちゃんと観てるよ。彩風咲奈(あやかぜ・さきな)ちゃんがトップになってから大劇場公演は4作目かな。彼女がいい意味で余裕が出てきてより包容力が増し、トップとして真ん中にドーンといる。それめがけてみんながエネルギーをすごく自由に出している感じ。
それぞれ自分の立ち位置をしっかりと認識しているうえに、ちゃんと自分自身のカラーを出していて、それがいろんな彩りになって今の雪組を作っているな、というのをショーを観て感じました。「あの場面のあの子が素敵だわ」「この場面はこの子がよかった」とか、どこを見てもみんな魅力的なのよ。すごくウキウキしながら楽しんじゃいました。
望海:やっぱり咲ちゃん(彩風さん)が真ん中に立って組を引っ張っている姿に、グッときますね。
壮:だいもんがトップのときの2番手さんだよね。変わった?
望海:そうですね、余裕が出てきた感じがします。2番手のときから咲ちゃんの持つ素敵なカラーがきちんとあったのですが、それがよりグラデーションになったというか。「こんな表情もするんだ」とか「こんな魅力もあったなんて」みたいに、幅広く魅せてくれるなと感じています。それを客席で見られるのはすごくうれしいし、知っている人たちがまだ多いから目が足りなくて本当に疲れるんですよ(笑)。みんなを見たいのに一斉に出てくるじゃないですか。「あー、全部見れないー」って終わっちゃうんですけど、でもすっごく元気をもらえます。
この人数で毎日公演するのは本当に大変なことだと、退団した今、改めて思うこともあります。でも、ずっと一緒にいて同じ方向を見てひとつの作品を作るっていうのはタカラヅカでしかできないことだと思うので。こらからも咲ちゃんを中心にみんなで力を合わせて、走り続けてもらいたいなと。で、たまにアホなことをしてちょっと心を緩めたりしてね。頑張ってほしいです。
写真をもっと見る撮影/黒石あみ スタイリスト/加藤万紀子(望海さん分) ヘア&メイク/茂手山貴子(壮さん分)、yuto(望海さん分) イラスト/春原弥生 構成・文/淡路裕子
紡がれし伝統が今、新たなる歴史を刻む宝塚歌劇 雪組のレジェンドたちがお送りする最高の夢を今あなたに―
宝塚歌劇 雪組 pre100th Anniversary『Greatest Dream』
1924年に宝塚歌劇 雪組が誕生してからまもなく100周年。それに先駆けて、時代時代を彩った伝説のスターが大集結、素敵なショーをお届けいたします。
【Staff&Cast】
構成・演出:三木章雄
出演:麻実れい、寿ひずる、平 みち、杜けあき、一路真輝、神奈美帆、高嶺ふぶき、紫 とも、鮎ゆうき、香寿たつき、えまおゆう、和央ようか、月影 瞳、安蘭けい、朝海ひかる、貴城けい、水 夏希、彩吹真央、舞風りら、壮 一帆、音月 桂、白羽ゆり、望海風斗、愛原実花、愛加あゆ、舞羽美海、朝月希和、真彩希帆
成瀬こうき、未来優希、緒月遠麻
真波そら、沙月愛奈、蓮城まこと、笙乃茅桜、彩月つくし、坂井美乃里、大原万由子、桜庭 舞、ゆめ真音
特別出演(宝塚歌劇団):美穂圭子
【公演詳細】
<東京公演>
日程:2023年10月21日(土)~30日(月)
会場:東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
※アフタートークショーあり(詳細は後日HPにて発表)
<大阪公演>
日程:2023年11月11日(土)~14日(火)
会場:梅田芸術劇場メインホール
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