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LIFESTYLE インタビュー

2023.10.03

見取り図 リリーが絵本作家デビュー!「自分の中にある想いを詰め込んでいったら、この物語が生まれた」

美術短大卒業のバックグラウンドを持っている お笑い芸人・見取り図 リリーさん。彼が手掛ける初の絵本『ももからうまれたおにたろう』が発売されました。今作に込めた思いや、キングコング 西野さんからもらったというアドバイス、母への想いなどたっぷり教えていただきます。

自分が描く最高のものを、子どもたちが好きになってくれるのがベストだなって思った

————絵本『ももからうまれたおにたろう』は、とてもキュートな絵柄が素敵ですが、もともとこういった絵を描いていたのでしょうか。


リリーさん(以下敬称略):小学生の頃、友達に頼まれて『ドラゴンボール』のイラストを描いていたりはしたんですが、キャラクターなどは描いていなかったんです。なので、今回絵本を描くと決まった時に、どんなキャラクターであれば人気が出るんだろうとかなり悩みました。そこでキングコングの西野さんに相談したら、「本当に描きたいものを描け」と怒られたんです。

————すでに絵本を手掛けている西野さんの声だと、響きますね。

リリー:響きましたね。それに、「大人が子どもが好きそうなものを作っても、子どもに響かない」って言われて、“たしかに、そうだな”って思ったんです。僕自身、子どもの頃は子ども向けの作品が好きじゃなかったですしね。なので、子ども向けだと思って僕が目線を下げるのではなく、自分が描く最高のものを子どもが好きになってくれるのがベストだなって思ったんです。

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自分の中にある想いを詰め込んでいったら、この物語が生まれた

————実際に出来上がった絵本には、とても素敵な親子愛が描かれています。どんなインスピレーションからこの物語が生まれたのでしょうか。

リリー:それが、物語を考えて作り込んだというよりも、自分の中にある想いを詰め込んでいったら、この物語が生まれたんです。

————すごくシンプルだけど、すごく大事なことですね。

リリー:そうですね。どんな環境に置かれていても、育ててくれた人の愛ってすごく大きなものなんですよね。自分で物語を描いていくうちに、改めてそう感じました。

————最近は色々な形の家族が増えているからこそのメッセージなのかなと思ったのですが…。

リリー:そう捉えていただいてもいいんですが、正直なところ、そこまでは考えていなくて。実は僕の父親は小学5年生の時に事故で他界したんですが、その時に、初めて母親が泣く姿を見たんです。その日から気づけば泣いている母を見て、“絶対に母親のことを大事にしなくちゃいけない”って思ったんです。なので、反抗期なんて考える瞬間さえなかったですし、なによりも自分がしっかりして母親を守らなくちゃって思ったんです。

————ほかの人よりも、少し早く大人になったのかもしれないですね。

リリー:そうですね。父が他界して、女手一つで子どもを育てていると聞くと、かわいそうに思うかもしれないですが、母と兄妹と4人で暮らす生活は、大変ではありますが、その環境はそんなに辛くなかったんです。もちろん、生活が裕福だったわけではないので、中学を出たら働こうとは思っていました。でも母親が「絶対に高校に行け!」と言ってくれて。その後も、母は僕がやりたいことを尊重して、美術短大に行かせてくれたので、本当に感謝しています。ただ、国公立で、できたら短大でというリクエストがあり、調べたら大分と秋田にしかなかったので、実家を出て、大分の短大に進みました。それからは、より親の大切さを感じました。一人暮らしをしなかったら、生活をすることの大変さをそこまで感じられなかったんじゃないかなって思うんです。

————美術短大を卒業した後に、NSCに入学したんですか?

リリー:はい。これは相当悩みました。お金もかかりますし、成功する保証もないですしね。だからこそ、母に言わずに入ったんです。母には、舞台美術の仕事をすると嘘をついていて(笑)。電話では母に「今日は吉本新喜劇の大道具を作った」とか言っていましたね(笑)。でも、いざテレビに出たときにバレてしまって。母から「テレビ出てる⁉」と電話がかかってきたときに、すべてを話しました。

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————これまでの経験から、大変な場所に次々と飛び込む勇気を感じるのですが、その性格はお笑いに対してどう影響していますか?

リリー:もともとストイックな性格だと思っていたんですが、すべてのことにしっかりと対峙し、悩む相方の盛山と出会って、本当のストイックとはこういう人だって思ったんです。僕も以前は1個1個本気で悩んだりしていたんですが、そのすべてを受け止めていたら心が持たないことに気づいたんです。だったら、ある程度柔軟でいつつ、そこに自分のこだわりをスパイスとして振りかけるくらいが一番いいのかなって思うようになったんですよね。対する盛山は、今もすべてのことにすごく真剣に取り組んでいて、もうちょっと自分を許してもいいのかなって思うことも。とはいえ、何が正解かは人それぞれですし、僕にはできないことなので尊敬しています。

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子どもたちにはおにたろうのように立派に育ってもらいたい

————お話を聞いていると、おにたろうはリリーさんと重なりますね。

リリー:あはは。おにたろうは空想のキャラクターなので、どうとらえていただいてもいいですが、どんな家庭であっても、人それぞれ、幸せに感じる人もいれば、そうでない人もいるんです。なので、状況に負けることなく、子どもたちにはおにたろうのように立派に育ってもらいたいですね。それに、この本は、子どもが読んだらおにたろうの目線で、親が読んだら鬼目線で読めると思うんです。その二つの目線で楽しんでもらえたら嬉しいです。

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『ももからうまれたおにたろう』

見取り図の冠番組『見取り図じゃん』から生まれた、リリーの絵本プロジェクトから誕生。「もしも桃太郎の桃が鬼に拾われたら?」をテーマに描かれた、桃太郎と鬼の間に生まれたまさかの愛の物語。キングコング・西野亮廣氏が寄せた「幸せを見失いかけた時に読んで欲しい」というコメントや、発売前重版も果たした話題作。サンマーク出版/¥1650

お笑い芸人

見取り図 リリー

1984年生まれ。岡山県出身。2007年に盛山晋太郎氏とともにお笑いコンビ、見取り図を結成。2018年、2019年、2020年と『M-1グランプリ』の決勝進出。現在、『見取り図じゃん』『見取り図エール』『ラヴィット』などにレギュラー出演中。

取材・文/吉田可奈 撮影/熊谷直子

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