【連載／こじらせ男のひとりごと＃2】「イヤというほどモテてきた」コットン西村さんが結婚を決めたのは

「遊びは芸の肥やし」というけれど。人の数十倍遊んで見えたこと

エリート・モテ男・そして新婚。無双にして、なぜか「こじらせ」。そんな男が、あらためて自身の恋愛と仕事を振り返ります。仕事もノリに乗っている今、芸人一のモテ男はなぜ結婚を決めたのか。その背景にある、仕事とファンへの思いにも、ぜひ耳を傾けてください。

語り／西村真二（コットン）

女性と遊ぶのも芸の肥やし。今どきこんな考え古いかもしれないけど、芸人を始めたときは、本当にそう信じてました。芸を磨くためには、守りに入っちゃいけない。結婚なんて寒いっしょ。ずいぶんイキってましたね。

コンパや飲み会は毎日のこと、SNSにくるDMからもナンパして、あらゆる手段とあらゆる遊びはし尽くしてきました。先輩の誘いにも全部行ってたし、出会いはありすぎるくらい。いやぁ、ほんとうによくモテました。謙遜してもしょうがないから言っちゃいますけど、モテてたのはもう幼稚園のころからです。物心ついたときから、彼女がいなかった期間はほぼありません。

いきなりのタメ口と上から目線は許せません

その場限りの遊びなら、どんな相手でもいいけれど、芸人になってからつきあう彼女は「芸人としての自分のファンであること」が絶対条件でした。でもね、いざつきあうとマウントを取り出す人が、とっても多いんです。兄さん（先輩芸人）が連れてきた彼女が年下だったりすると、いきなりタメ口になっちゃう彼女は許せなかった。相手がどんな年下でも、兄さんの彼女だったら敬語は必須です。

それから、劇場でもらってきたファンレターを隣からのぞき込んで「見せて、見せて」なんて言った彼女。それ、ほかのファンに対して上から見てる言動です。僕、どうしてもそういうところが気になっちゃうんです。

ところが、もらってきたファンレターを「ありがたいね」と言った女性が、ひとりだけいました。それが、今の妻です。彼女は、つきあっているときでも、決してマウントを取るようなことはしませんでした。それどころか、デート中に街中で僕が他のファンから声をかけられたとき、さっと離れてどこかに消えて行っちゃった。自分がそこにいないほうがいいからと。なんだこの人、すごいな。あの時に思ったんです。「結婚するならこの人だ」と。

7年間つきあって、何度も朝帰りしましたけど、一度も「どこに行ってたの？」と聞かれたこともありません。この人はどうしてこんなに徳が高いんだろう？ ほんとうにそう思います。でもひとつだけ不満があるんです。彼女が生ものを食べられないから、大好きな寿司に一緒に行けないこと。

さんざんモテてきて、よく結婚を決めたものだと、人からは言われます。でも、すでに何十人ぶんの人生に相当するくらい遊んできたから、後悔はありません。DMで誘われても、もう返さなくなりました。そうそう、最初に話した「女性と遊ぶのは芸の肥やし」ですけどね。まったく肥やしにはなりませんでした。たくさんのお金と時間を消費しただけで、残ったのはいくつかの笑えるエピソードだけ。やっぱり、芸は自分で精進しなきゃいけないんです。

サラダの取り分けでクルトンを乗せてあげられる人

たくさんの女性を見てきた僕から言わせてもらうと、服装の細部にはその人がよく現れます。たとえば、ふと仕事中に屈んだとき、胸元が見えてしまう人。スカートやパンツの後ろ姿で下着のラインが出ている人。薄着の季節にキャミソールなしでブラのラインが浮き出ている人。こうした現象を、10代の若い男子なら喜ぶのかもしれないけれど、大人の男には、もう無理です。自分のことを俯瞰で見ることができない人なんだな、と思っちゃいます。付き合ったとしても、お遊び止まりです。

服を着て家を出る前に、後ろ姿もちゃんとチェックして、細部に気づける人は、仕事の細部にも、人への対応も、気を配れる人なんだろうと僕は思います。きっと、居酒屋でサラダを取り分けるとき、自分より他の人にクルトンを乗せてあげられる人です。ほかの人にクルトンを分け与えられる人、これめっちゃ大事です。

お先に卒業させてもらいます

結婚後もしばらく事実を公にできなかったのは、配信番組の企画（ABEMA TV『しくじり先生 俺みたいになるな!!』）があったからで、周囲には悪かったなと思ってます。ゆず兄さんたちとのライブ「独身ブラザーズ」に「独身として」出てたときは、「もう独身じゃないのにな」と思いながらサービス残業してる気分でした（笑）。正直言って、兄貴たちのこじらせっぷりを見てると、不憫で仕方なかったです。だって、必死なんですもん。すんませんが、お先に卒業させてもらいます。

そして僕から言えることは、結婚はご縁だから、あまりがむしゃらにならないで、リラックスしてください。ま、結婚がすべてじゃないですから（笑）。By新婚の西村より。

【連載／こじらせ男のひとりごと#1】初回はアインシュタイン河井ゆずるさんが持論を引っ提げて登場！

撮影／高木亜麗
文・構成／南 ゆかり