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LIFESTYLE インタビュー

2024.05.11

【石原さとみさんインタビュー】うまくいかないことがあっても、1日1回笑って過ごせたら、それで幸せ

 

「映画を観ることがストレスだった」という石原さん。自分を見つめ直しながら映画と過ごす日々を経て、「映画」を観ること、仕事にすることの素晴らしさを実感している今。「大変なとき」を乗り切る日常のヒントもたくさん!のインタビューをお届けします。

幼い私の「なんで?」を解決してくれた本。自分の子どもにそのまま渡しています

映画っていいなと、初めて思えました

――「自分を変えたい」という焦りから、かつて挑んだことのないタイプの映画に飛び込んだという石原さん。仕事の転換期とも重なった出産とその後の休暇期間を経て、「映画」への向き合い方はどう変わったのでしょうか。

「それまでの私は、映画を観ても何かを学ばなきゃという思いが先行して、どこかストレスに感じてしまっていました。ところが、妊娠期間から出産後まで2年近くお芝居から離れてみて、初めて映画を純粋に楽しんで観ることができたのです。やがてどんどん面白くなって邦画もアジア映画も…と次々観ていって。ああ、映画っていいなと。

そのころに届いた台本が、映画『ミッシング』でした。今から7年前、憧れていた𠮷田恵輔監督に、『私を変えてほしい』と直談判して、ようやく実現した作品です」

▲映画『ミッシング』では、失踪した娘の手がかりを探し続ける母親を演じた。2024年5月17日公開 ©2024「missing」Film Partners 

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――𠮷田監督作品といえば、映画『さんかく』『ヒメアノ~ル』『空白』といった、ドキュメントタッチで人間の本質をえぐるような、独特の雰囲気をもつ作品ぞろい。石原さんのイメージとは重ならないように感じてしまいます。

「だからこそ、𠮷田監督になら“私を変えてもらえる”と思いました。でも、いざ撮影が始まってみれば、ずっとスランプ状態。何が正解かわからないし、何度やっても自信がもてない。お芝居がこんなに難しいものだと、思いませんでした。まるで新人に戻ったようです。撮影時間以外も、家に帰っても、役の沙織里がぬけませんでした。

迷いながらも、撮影終盤で一瞬、自分を客観視したことがあって。あれは不思議な感覚なのですが、ふと『ああ、大好きな𠮷田監督の世界にいる』と思ったとき、ものすごく大きな幸せを感じました。そのあとすぐ、また現実に戻ってしまいましたけど。また、緊迫したシーンが続くなかで、子どもを思ってほんのちょっとだけ温かい気持ちになった瞬間に、救われたりも。ほんとうに追い詰められていたんだな、と今になって実感しています。

そのぶん、時間がたって今こうして作品を振り返るのは、とっても幸せな時間です。そして、間もなく作品が公開に。そのとき、どれほど大きな幸せを感じられるのか。早く、その感覚を味わいたいです」

どんな相手も身近の大事な人だと想像すれば、
世の中はもっと優しくなれる

――『ミッシング』で石原さんが演じたのは、失踪した娘の帰りを待ちながら、自身の心を失っていく母親。ネットでの心ない書き込みに傷ついたり、世間の関心が薄れていくことに焦ったり。そんな本作から、Domani読者のみなさんに伝えたいメッセージは、なんでしょうか。

「たとえば、SNSで無意識に書いたことが、だれかを傷つけてしまうことがあります。また、街中でふとぶつかっただけで腹が立つことがあるかもしれません。もちろん、その逆も。そんなとき、もし相手が愛する人だったら、家族だったら、と想像してみることが大事ではないかと思います。そうすれば、ネガティブな言葉を発することはないし、素直に謝ることもできる。見えない相手、知らない人なら攻撃していいはずはなくて、ほんのちょっとの想像力があれば、人を傷つけることは減っていくはず。そして、世の中はもっと優しくなるんじゃないか。そんなことが、少しでも伝わったらなと思います。

そして、何にもさえぎられることのない“密度の濃い”2時間の“映画”という空間をぜひ味わってほしい。映画って素晴らしいな、と感じられると思います」

©2024「missing」Film Partners

母からは「わからないことは正直に言いなさい」と
教えられました

――不安なことも、人に伝えたいことも、自身の言葉ではっきりとメッセージを伝える石原さん。その素地はどうやってできたのでしょうか。

「母いわく、子どものころの私は、いつも『わからない』『なんで、なんで?』と聞いて母を追いかけ回していたそうです。母からも『わからないことは正直に言いなさい』と言われていたのを覚えています。そして、『ここに答えがあるよ』と、『まんがどうして物語』を全巻そろえてくれました。

“どうして日曜が休みなの?”のような、子どもが抱く素朴な疑問と答えがたくさん載っているシリーズで、私の宝物でした。大人になってからも、全巻きれいにとってあったので、今は自分の子どもにそのまま渡しています」

――だれでも、ライフシーンごとに選択を迫られたり、目の前の問題に立ちすくんだり。変化も多いDomani世代へのエールをお願いします。

「数年先までの自分がやるべきことを書き出すのは、仕事を始めたころからの私の習慣です。今なら、45歳までの仕事とプライベートの計画を立てていて、この書き出す方法は、思考を整理するうえでもみなさんにおすすめです。

だいたいは計画を立てたとおりになってきたけれど、今になっていろいろずれてきて、まあ、そんな時期もあるよね、と自分に言い聞かせてます。人生計画通りになるばかりじゃない。けれど、それにも意味があると思えば、なんだって楽しめます。

時間に追われて思うように自分のペースがつくれないこともたくさんあるけれど、工夫することも覚えました。ドラマなど覚えるセリフが多いときは、台本を写真に撮って、子どもを寝かしつけながらスマホ片手にぶつぶつ…。大変なときでも、1日1回――いや実際にはそれ以上――家族と一緒に笑って過ごせたら、それだけで乗り越えられる気がします」

>石原さとみさんのさらなるお仕事論は、『Oggi』本誌のインタビュー連載「この人に今、これが聞きたい!」でお読みください!

俳優

石原さとみ

いしはら・さとみ/1986年生まれ、東京都出身。2003年『わたしのグランパ』で俳優デビューし、多くの映画賞で新人賞を受賞。その後の代表作に、NHK連続テレビ小説『てるてる家族』、ドラマ『失恋ショコラティエ』『アンナチュラル』『恋はDeepに』、映画『そして、バトンは渡された』など多数。現在、ドラマ『Destiny』(テレビ朝日系)、情報番組『あしたが変わるトリセツショー』(NHK)に出演中。映画『ラストマイル』は2024年夏公開予定。

映画『ミッシング』

失踪した幼い娘の帰りを待ち続けるも、世間の関心が薄れていくことに焦る母・沙織里(石原さとみ)は、夫・豊(青木崇高)との温度差から、夫婦喧嘩が絶えない。取材を続ける地元テレビ局の記者・砂田(中村倫也)を頼りつつも、世間からの容赦ない声に心を失くしていく…。監督:𠮷田恵輔 5月17日(金)全国公開

©2024「missing」Film Partners

 

ブラウス¥132,000・スカート¥174,900(コロネット<フォルテフォルテ>) キャミソール¥19,800(キャバン丸の内店<CABaN>) ネックレス¥48,400(アルティーダ ウード<elafonisi>) リング¥129,800(ブルーベル・ジャパン<アリータ>) その他/スタイリスト私物

撮影/前田 晃(maettico) スタイリスト/宮澤敬子(WHITNEY) ヘアメイク/猪股真衣子 デザイン/スズキのデザイン 構成/南 ゆかり



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