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LIFESTYLE インタビュー

2024.05.09

佐藤寛太さんインタビュー「実は僕、松居監督にインスタでDMを送ったんです」

映画『不死身ラヴァーズ』が2024年5月10日(金)より全国ロードショー。「好き」を全肯定する、まっすぐでパワフルなラブストーリーです。ヒロインの“運命の人”を演じる、俳優・佐藤寛太さんにお話しを聞きました。

「好き」をまっすぐに伝える、ピュアなエネルギーが胸を打つ物語

主人公・長谷部りのの“運命の人”、甲野じゅん。両思いになったとたん、なぜかじゅんの存在は消えてしまいます。ところが、行く先々でりのは何度もじゅんと巡り会って──その度に、全力で想いを伝えるりの。ふたりが巻き起こす奇跡の結末とは?

同名漫画を原作に、松居大悟監督が10年以上あたためていたというストーリー。ある時は中学の後輩として、ある時は高校の先輩として、またある時はバイト先の店主として…何度もヒロインの前に現れる甲野じゅんを演じた、佐藤寛太さんにインタビュー! 作品のことから最近夢中なモノゴトまで、たっぷりお話してくれました。

構想10年のラブストーリー。「オファーをいただいた時は感無量でした」

ソファに腰掛ける佐藤寛太さん

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──松居大悟監督の作品には初出演。佐藤さんとしても「念願」だったそうですね。どんなところが、松居監督作品の魅力ですか?

物語の中を生きるキャラクターがすごく人間臭くて、そこが好きなんです。絶対に綺麗事だけじゃ終わらないし、本人も目を背けたくなるような、人の汚いところにカメラを当ててくる。(今作の主人公の)長谷部りのもそう。全力で恋して、すごくパワフルで、まさに漫画から飛び出してきたみたいな女の子。でも、しっかり惨めな思いもするし、ただキラキラした世界にいるわけじゃありません。だけど最後まで暗く終わらないで、どこかに希望を残してくれる。そんなところも松居監督作品の大きな魅力です。

──今作『不死身ラヴァーズ』には、どのような経緯で出演が決まったのでしょうか。

事の始まりについて話すと…実は僕、松居監督にインスタでDMを送ったんです。2022年公開の『手』という映画に友人の金子大地が出演していて、映画を観て大地とその感想を語り合っていたら、「僕も松居さんの作品に出たい!」と思いが溢れてしまったんです。その帰り道でDMの文章を書いたんですけど、さすがに本当に送っていいのかな…と迷いに迷って、1日寝かせてから送りました(笑)。お返事をいただいた時は、本当にうれしかったです。

その後、僕が出演している作品をいくつか挙げて、「ぜひ観てください」とやりとりしました。僕の主演作品『軍艦少年』を観てくださったそうです。その数か月後に事務所へ正式に『不死身ラヴァーズ』のオファーをいただきました。

『不死身ラヴァーズ』は、松居監督が映像化を目指して10年以上あたためていたという作品です。僕がDMを送ったタイミングでその企画が動き出したことが、奇跡的で…。だからこそ、オファーをいただいた時は感無量でしたし、本読みのときから「松居監督にやっと会えた」という気持ちでテンション爆あがりでした!

佐藤寛太さん

──佐藤さんは、主人公・りのの“運命の人”、甲野じゅんを演じます。中学生から社会人まで、年齢も性格もさまざまなじゅんが登場しますが、演じてみていかがでしたか

最初は、それぞれをどう演じ分けようか…ということも考えていたんですが、撮影が始まると、そこはあまり意識する必要はなかったというか。「ひとりの青年を演じる」ことに変わりはない、という結論に達しました。あまり深く考えず、甲野じゅんというひとりの人を演じています。自分がどう演じたいかより、りのとの対話をどう受け止めるかを意識していた気がしますね。

──役作りはどのようにされたのでしょうか。

全体を通して、じゅんは僕自身と近いキャラクターだったんです。完成した作品を観たら、「どこまでがお芝居なのかな?」というくらい。あまりに「素の自分」だったので、観ていてすごく恥ずかしかったです(笑)。

ただ、走ったり、側転したりと、体を動かすシーンがいくつかあったので、フィジカル面はしっかり準備していきました。あと、物語の中でいちばんメインになるのが「大学生のじゅん」。彼が抱える困難に関しては、事前に勉強していきました。役作りって、物語の世界を信じるための要素を増やしていく作業だと思っているので。そのための足がかりとして、現実に起こりうることも知っておきたいんですよね。

映画「不死身ラヴァーズ」場面写真。大学生の甲野じゅん

©2024「不死身ラヴァーズ」製作委員会 ©️高木ユーナ/講談社

複雑化している現在だからこそ、「人を好きになる」パワーを大事に

ソファに座って笑顔を見せる佐藤寛太さん

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──相手役である見上愛さんのご印象はいかがでしたか?

僕も20代後半になって、自分よりも若い役者がどんどん活躍するようになっています。その中でも、見上さんは共演したいと思っていた人。

見上さんは、りのが持っている優しさ、人間らしさと通じるものを持っているんです。自分のためだけじゃなく、周りを元気にしたいから笑顔でがんばるような。彼女の行動ひとつから風が巻き起こって、物語が進んでいく。見上さんがどう踏み出すのか、どう言葉を発するのかでこちらのリアクションも大きく変わるんです。

撮影では、本番に至る前に段取りとテストがあって、何回も同じ芝居を繰り返します。徐々に感情を上げてくる人もいれば、本番でドカンとぶつけてくる人もいる。見上さんは、1回目も2回目も3回目も、ずっと同じ「長谷部りの」なんです。だけど、芝居のトーンが毎回全然違う。何かをなぞろうすることなく、「今」を見つめているお芝居。それがすごく魅力的でした。

映画「不死身ラヴァーズ」場面写真。手を繋ぐ長谷川りのと甲野じゅん

©2024「不死身ラヴァーズ」製作委員会 ©️高木ユーナ/講談社

映画「不死身ラヴァーズ」場面写真。りのにもたれかかれて眠るじゅん

©2024「不死身ラヴァーズ」製作委員会 ©️高木ユーナ/講談社

──佐藤さんが思う、「長谷部りの」魅力はどんなところでしょうか。

すごく明るくて、じゅんの全てを肯定してくれるところ。そんな圧でこられたら怖いよってくらい(笑)。じゅんへの恋心に突き動かされて、エネルギッシュなかわいい女の子です。でも結局どこがいちばん魅力的かと言うと…そんな子が、実はちゃんと自分自身のことを俯瞰で見ていたり、情けなくて惨めな面もある、というところなんです。だからこそ彼女が頑張る姿がすごく輝くし、すごく人間の香りがするのがいいんですよね。

松居監督はこの作品を「王道のラブストーリー」と言っています。でもキラキラの少女漫画とは、ちょっと違います。

いろんなことが複雑化している今だからこそ、「人を好きになる」っていう、そのパワーを大事にすることが「王道のラブストーリー」の所以なんじゃないかな。それは、りのの人間臭さがあってこそなんだと思っています。

佐藤寛太さんの寄りカット

──現場で印象に残っているやりとりはありますか?

いろんなことがあったんですが、全部覚えているようで何も覚えていないような…(笑)。そのくらい、現場では本当にとりとめもない、くだらない話をずっとしていて。

りのの親友・田中役の(青木)柚とは今回の共演をきっかけに仲良くなりました! ふたりで食事に行って、松居監督のどの作品が好きか話しあったりして楽しかったです。僕、柚のお芝居がすごく好きなんです。肩の力が抜けた、フラットな芝居をとてもナチュラルにできるところがかっこいい。デビュー当時の僕は変に尖っていたな…と反省するし、勉強になります。

松居監督をはじめ、見上さんや柚のようなすばらしい役者たち、素敵な人たちに囲まれて超幸せな現場でした。

──これから今作を観るみなさんにメッセージをお願いします。

好きな人やもの、会いたい人…何でもいいです。映画を観たあとに、それに向かって走り出していってほしいです! エンドロールが終わったとき「誰かに会いたいな」と思ったら、その場で電話をかけてもらえたら最高ですね。

僕も楽しみなことがある日は、走るようにしているんです。そこへたどりつくまでの自分も充実していたい。りのもじゅんのもとへ全力で走っていくじゃないですか。あんな風に、ほとばしるエネルギーを、実生活に取り入れたくて。

今日はあの人に会えるから、おいしいごはんが食べたいから、楽しみなことがあるから走り出す。そのわくわくする気持ちを、僕は大事にしています。みなさんにも同じように感じてもらえたらうれしいです。

佐藤寛太さん本人の恋愛観・仕事観は…?

スツールに座る佐藤寛太さん

──ちなみに佐藤さんご自身は、恋するときは全力ですか?

もうガチガチ全力ですね! 駆け引きなんか考えられないですよ。好きになったら一直線です。だからそこは、りのに大共感ですね。「りのがんばれ! よくやった!」って(笑)。

──今、全力で大好きなものごとはありますか?

「今」と言われると…もうすぐ発売日の漫画だったり、今夜放送のドラマが楽しみだったり。一年に一度、週に一度やってくるような「楽しみ」にいつも夢中です。今大好きなのは、漫画『北北西に曇と往け』(KADOKAWA)。『葬送のフリーレン』(小学館)、『【推しの子】』(集英社)だったりドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS)にもハマっています!

小学生の頃なんかは「1週間も待てない!」って感じだったんですけど、最近は、だんだん「その日」に近づいていく過程も楽しめるようになってきている気がしますね。あとは趣味の登山かな。最近は、事務所の先輩の青柳翔さんと奥多摩にある雲取山に登りました。

──青柳さんもアウトドアがお好きなんですよね

青柳さんが「ちょっと運動不足だから」って言うから誘ってみたものの、僕よりずっと青柳さんのほうが体力がありました…。あの方は体も大きいし、きっと生まれつき体が強いんでしょうね(笑)。そうだ、最近はヨガにもハマっているし、キックボクシングも続けています! あれ?全部、体動かす系だな。

──佐藤さんの体力も十分すごいです! お忙しい中、趣味の時間はどうやって確保しているのですか?

小学校に「時間割」ってあったじゃないですか。あのイメージです。朝ランニングして、本読んで、昼はボルダリングに行く、夜は友達に会う、というように、時間割にするのが習慣化しているんですよね。

ソファにもたれる佐藤寛太さん

──では、仕事で悩んだときには、どうやって解決しますか?

難しいですね…Oggi編集部のみなさんはどうしていますか?

──とにかく目の前の仕事を無心でがんばるとか…?

それはだめですよ、いつかほころびができますって! 僕はこの仕事をやりたくて始めたけど、やっぱり好きなことを続けるって楽しいことばかりじゃないんです。YOASOBIさんの歌にもありますけども。本当にそれを痛感する日々です。どうしても人と比べる自分がいるし、もちろん自分で選んだ仕事がただただ楽しい瞬間もあるし、いろんな自分がいて。

なんだろう、やっぱり休みと仕事のバランスですよね。そのバランスが難しいから、みんな困っているんでしょうけど。

──佐藤さんも模索中ですか。

そうですね。うーん、でも大事にしようとしているのは、対話をやめないことかな。オンでもオフでも、「おかしいな」と思ったことはちゃんと伝えるようにしていて。不満を抱えて悶々とするより、ちゃんと気持ちを話すようにしたほうがスッキリしますよね。

あとは…「ものを買わないこと」です! 物欲はキリがないですからね。ものをなるべく買わない代わりに、自分自身にお金をかけたり、友達とおいしいごはんを食べたほうがいい。なので僕はもう半年くらい大きい買い物はしていないです(笑)。「発散の仕方」を変えましょう。そして適度な運動。運動は絶対必要ですよ!

―取材バックステージ―
ご機嫌な様子で取材部屋に入ってこられた佐藤さん。「佐藤寛太です!よろしくお願いします」と礼儀正しく、そして撮影中、モニターで写真をチェックしている編集部スタッフの「素敵です!」という反応に「照れますね」とはにかむひと幕も。インタビュー中は作品、監督への愛が溢れたり、ドラマの話で盛り上がったりととにかく自然体。パンを差し入れしたところ、「甘いパンすっごくうれしいです!すぐいただきます」と満面の笑み。佐藤さんのポジティブであたたかなエネルギーに包まれた取材となりました。

撮影/田中麻以 ヘアメイク/Kohey(HAKU) スタイリスト/平松正啓(Y‘ⅽ) 取材・文/徳永留依子

不死身ラヴァーズ

映画「不死身ラヴァーズ」ポスタービジュアル

5月10日(金)よりテアトル新宿ほか全国ロードショー
公式サイト
公式X
公式Instagram

©2024「不死身ラヴァーズ」製作委員会 ©️高木ユーナ/講談社
配給:ポニーキャニオン

俳優

佐藤寛太(さとう・かんた)

1996年6月16日生まれ、福岡県出身。2014年「劇団EXILEオーディション」に合格し、2015年に正式加入。「Tomorrow Never Dies やってこない明日はない」で初舞台。「HiGH&LOW」シリーズ、映画「イタズラなKiss THE MOVIE」「恋と嘘」「いのちスケッチ」「軍艦少年」「正欲」、テレビドラマ「あせとせっけん」「テッパチ!」など、幅広く活躍している。
インスタグラム @kanta_sato_

本記事は2024年5月2日に配信したOggi.jpの記事と同内容になります。

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