私が夫を投げ飛ばしたには理由があった!
前回のお話▶︎働かない引きこもりの夫と結婚した理由。離婚した理由。
仕事が減って、塞ぎがちになったちち子さんの夫が引きこもりになった決定的なきっかけがありました。
それは、ある晩、友人の少ない夫が珍しくお酒を飲んで帰って来たときのこと。
酔いつぶれて寝室に寝転がる夫に、ふたりの娘たちは「お父さん臭い〜!」とブーイング。
「お酒臭いから、隣の部屋で寝てくれる?」と夫に頼むと嫌がったので、仕方なく消臭剤をシュッシュと夫のいる部屋に撒いたら、いきなり「何すんだよ!」と、ちち子さんに掴みかかってきたのです。
ちち子さん:身の危険を感じたので、足を引っ掛けて投げ飛ばしたんです。そしたら、拗ねてしまって、タオルケットを持って自分の部屋に引っ込んだ。
そこから彼の引きこもり生活がスタートしました。
ちち子さん:長女が、「お母さん、離婚しなきゃダメだよ」と言ったんですよね。それまでがんばっていたけれど、それを聞いたら、「あ、離婚していいんだな、私」って。
仕事がないことで情緒不安定になっていた夫は、長女が「お父さんの服、ネズミ色が多いね〜」というひと言に、「どうせ俺の人生なんてドブネズミみたいなもんなんだよ!」とキレて、自分の洋服をすべてゴミ袋に詰めて外に放り投げたこともあったそう。そんな状態を見て来たからこその、長女の言葉、だったのですね。
夫の引きこもり生活が始まり、そこからは毎晩彼の部屋からず〜〜〜〜〜〜っと泣き声が聞こえてくる日々。
一家心中をほのめかす夫に、不安を覚える
ちち子さん:とにかくひたすら泣いていて気味が悪いし、そのうち、「もう一家心中しかない」なんて出だす始末で…。本気で怖かったです。世間では家族間の殺人も多いって言いますし。
寝込みを襲われたときに反撃できるように、毎晩、カッターとか傘を抱いて寝ていたというちち子さん。早く逃げて〜〜〜〜(泣)!!!!
疲弊しきったちち子さんが、ようやく夫に離婚を告げたのは、年が明けてから。
けれど元々普通の話ができない相手だった夫との話し合いはなかなか進まず、プチ家出したり、「生きていてもしょうがない」と嘆いたり。
最終的には、区役所の女性相談コーナーで助言をもらい、夫がいちばん信頼しているお姉さんに説得してもらって、離婚が成立したのでした。
「養育費は払わない、親権もいらない」
さかい:良かったですね…! ふたりの娘さんの養育費とか親権では揉めなかったんですか?
ちち子さん:養育費は、元から彼が「払わない」と言っていたし、彼は自営業だから給料差し押さえもできない。だったら、そんなことで揉めているより、スパッと別れて一から人生をやり直した方がいいと思いました。親権については、「俺には面倒見れない」、って。しかも、「連絡してくるな」と言って、娘たちにも一度も連絡して来たことはありません。
さかい:娘さんがふたりもいて、かわいい盛りなのに…。
ちち子さん:自分がいちばん大事な人なんです。
さかい:お子さんたちは父親に会いたがったりしないんですか?
ちち子さん:一緒に遊んでもらったり、どこかに連れて行ってもらった記憶も大してないので、たま〜に「お父さんどうしてるかな」って言うくらい。たぶん、元から父親に対しては何も期待していないみたい。
もしも再婚するなら、譲れない条件は…
ところでちち子さんは、Domani読者よりもちょっと年上。私が気になったのは、そんなちち子さんの再婚願望でした。
さかい:もう一度結婚したい、って思いますか?
ちち子さん:全然考えてないです。そもそも、今は恋愛を求めてない。まだまだ子どもに手がかかるし、自分の仕事もありますし。結婚って、大変じゃないですか。
さかい:もしも次に結婚するとしたら、どんな人がいいですか?
ちち子さん:何でもちゃんと話し合える人かな。夫婦にとって、それがいちばん大事なこと。
もしもこれから結婚しようとしている人がいたら。
彼は、あなたが大事なこと話したいときにきちんと向き合ってくれる人なのかどうかを、よ〜く見極めるのがいいのかもしれません。
―とは言え、男性の方が実は好きな女性の前では猫をかぶっていることも多く(笑)、恋愛初期と後期では態度が変わることもあるんですよねぇ。そうなると、いちばん信じられるのは自分の直感。彼に対してちょっとでも「ん?」って気になるところがあったら、その違和感をスルーせず、どこから生まれたものなのかよく考えてみて。取材したバツイチさんたちは、たいてい、その違和感を無視して結婚した結果、離婚しているので…(涙)。
それと、彼を信頼できる友人に会わせてみるのもおすすめです。ふたりきりだと慣れてしまっていて気づけないような彼のおかしな言動も、第三者がいると俯瞰で見られるし、友人が気づいて指摘してくれることもあるので。
結婚生活が快適かどうかはお互いの相性によるものが大きいとは思うけれど、コミュニケーションがスムーズにできる相手かどうかというのも、すごく重要なんだなと思わせられた、今回の取材でした。
インタビュー・文
さかい もゆる
出版社勤務を経て独立。と思った矢先、離婚してアラフォーでバツイチに。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛けるフリーランスエディター。Web Domaniで離婚予備軍の法律相談に答える「教えて! 離婚駆け込み寺」連載も担当。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。