冬場の洗濯は、気温や湿度の影響で乾きにくくなりがちです。生乾きのまま放置すると、ニオイの原因になったり、衣類にカビが発生することも…。本記事では、創業80余年の歴史を持つ京都発祥の染み抜き・お直し専門店である「きものトータルクリニック吉本」さんに冬の洗濯のコツをお聞きしました。すぐに実践できる乾燥対策を紹介します。
なぜ冬は洗濯物が乾きにくいのか?
冬に洗濯物が乾きにくい理由は、気温・湿度・風の3つの要素が影響しているためです。詳しく見ていきましょう。

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気温が低いと水分が蒸発しにくい
洗濯物が乾く仕組みは、水分が蒸発し、空気中に拡散することにあります。しかし、冬は気温が低いため、水分の蒸発速度が遅くなります。
例えば、夏の晴天時には、Tシャツが1〜2時間で乾くこともありますが、冬の気温が10℃以下の環境では、同じTシャツを干しても数時間経ってもまだ湿っていることがよくあります。これは、気温が低くなるほど空気中に含まれる水分量が少なくなるからです。
湿度の影響で乾燥が遅れる理由
冬の空気は乾燥しているイメージがありますが、室内干しをする場合、洗濯物から出た水分が空気中に溜まり、部屋の湿度が急上昇することがあります。
例えば、室内で洗濯物を干すと、湿度が一気に10〜20%上がることも珍しくありません。湿度が高い状態では、空気が水分で飽和してしまい、新たな水分が蒸発しにくくなるため、洗濯物が乾くスピードが落ちます。
外干しvs室内干し、どっちが正解?
冬の洗濯物を効率よく乾かすには、外干しと室内干し、それぞれの特徴を理解し、状況に応じて使い分けることが重要です。ここでは、外干しと室内干しのメリット・デメリットを詳しく解説し、冬に最適な干し方を紹介します。
冬の外干し|最適な時間帯と干し方のコツ
冬でも外干しは有効ですが、夏と同じ感覚では乾きにくいでしょう。気温が低い冬場は、「干す時間帯」「干し方の工夫」を意識することで、乾燥を早めることができます。
1. 外干しに適した時間帯
午前10時〜午後3時が最も乾きやすい時間帯です。早朝や夕方以降は気温が低く、湿度が高いため、乾燥が進みにくくなります。日差しが当たる場所を選ぶと、太陽の熱で蒸発が促進されるため、より早く乾きますよ。
2. 外干しの基本ルール
風通しを確保する:洗濯物同士の間隔を最低でも5cm以上空け、空気が流れやすくする。
アーチ干しを活用:中央が高くなるように干すことで、空気の流れがスムーズになり、均等に乾きやすくなる。
長時間放置しない:日が傾き始めると気温が下がり、湿気を含みやすくなるため、夕方前には取り込む。
3. 気温が低すぎる地域での対策
氷点下になる地域では、洗濯物が凍ることがあるため、室内仕上げ干しが有効です。室内の暖房や除湿器を利用して仕上げると、生乾き臭を防ぎながら効率的に乾燥できます。
室内干し|乾きやすくする工夫とベストな場所
冬は室内干しの頻度が増えますが、適切な場所や工夫を取り入れないと、湿気がこもり、生乾き臭の原因になります。部屋干しを成功させるポイントを押さえておきましょう。
1. 室内干しに適した場所
・エアコンの風が届く場所:暖房を利用して、空気の流れを作ると乾燥が早まります。
・窓際は避ける:外気との温度差で結露が発生しやすく、湿気が溜まりやすいです。
・浴室乾燥機がある場合は活用:浴室は換気しやすく、湿気がこもりにくいので、効率的に乾燥できます。
2. 室内干しの工夫
・サーキュレーターや扇風機を活用:洗濯物の下から風を当てると、空気の循環がよくなり、乾燥時間が短縮されます。
・除湿機を併用:部屋干しをする際は、湿度を50%以下に保つことで、より早く乾かすことができます。
・間隔を広く取る:洗濯物同士が密着すると、湿気が逃げにくくなり、乾きが遅れるため、最低でも10cm以上の間隔をあけましょう。
3. 早く乾かすためのテクニック
・物干し竿を2本使う:「アーチ型」に干すことで、風の流れができ、全体が早く乾きます。
・厚手のものは外側、薄手のものは内側:厚手の衣類は乾きにくいため、より風が当たりやすい外側に配置します。
外と中の併用が効果的! ハイブリッド干しとは?
外干しと室内干しを組み合わせる「ハイブリッド干し」は、冬の洗濯物を効率的に乾かすのに最適な方法です。
1. ハイブリッド干しの流れ
・午前中は外干し
日が当たり、気温が上がる午前中に外干しをすることで、ある程度乾燥を進めましょう。
・午後から室内干しに切り替える
夕方前に取り込み、室内の暖房や除湿機を使って仕上げましょう。
2. なぜハイブリッド干しが効果的なのか?
・外干しだけでは乾燥が不十分なことが多いため、室内干しを併用することで、短時間で確実に乾燥させられます。
・部屋干し特有の湿気こもりや生乾き臭を防ぐことができます。
3. こんな場合におすすめ
・朝から出かける人:外干しで乾燥を進め、帰宅後に室内干しで仕上げましょう。
・天気が不安定な日:晴れた午前中だけ外干しをし、午後から室内干しに切り替えましょう。

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乾燥時間を短縮! 洗濯物を早く乾かすテクニック
冬でも洗濯物を短時間で乾かすには、空気の流れ・湿度管理・洗濯物の配置を工夫することが重要です。ここでは、すぐに実践できる具体的なテクニックを紹介します。
サーキュレーター・扇風機を使う効果的な方法
風の流れを作ることが、洗濯物を早く乾かす最大のポイントです。
1. サーキュレーターを使う場合
・洗濯物の真下から風を当てると効果的。空気が下から上へと流れ、湿気が効率よく拡散されます。
・洗濯ものが多い場合は少し離れた場所に置き首振りで風を当てるようにするとまんべんなく乾燥できます。
2. 扇風機を使う場合
・サーキュレーターと同様首振り機能を活用し、洗濯物全体に風を行き渡らせることで、まんべんなく乾かすことができます。
・部屋の空気も同時に循環させると、湿気がこもりにくくなります。
3. 風の向きの工夫
・上からの風は避け、横からまたは下から当てる方が、乾燥スピードがアップします。
・壁際に干している場合は、洗濯物と壁の間に空間を作り、空気が流れる道を確保すると乾きが早くなります。