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うっかりつけてしまった、チョコレートの染み…。気づいたときには時間がたっていて、染みがすっかり定着していた――。そんな経験はありませんか? 特に洋服についたチョコの染みは、見た目の印象にも関わるため、気になる人が多いようです。
そこで、この記事では、忙しい毎日でも自宅でできる、時間がたったチョコの染みの落とし方を創業80余年の歴史を持つ京都発祥の染み抜き・お直し専門店である「きものトータルクリニック吉本」さんにお聞きしました。素材別のポイントや、失敗を防ぐ注意点まで丁寧に紹介します。
時間がたったチョコの染み、落とせる?
うっかり放置したチョコの染み。汚れを落とすことはできるのでしょうか?

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チョコの染みが落ちにくくなる理由とは?
時間がたったチョコの染みが頑固になるのは、チョコレートの性質に理由があります。チョコにはカカオの色素や油脂分、ミルクなどからのタンパク質、糖分が含まれており、これらは時間の経過とともに酸化したり繊維に固着してしまいます。
色素は繊維に染まりつき、油脂分は水には溶けないので洗濯では落ちにくく、タンパク質や糖分は空気に触れて酸化すると、黄色っぽく変色することもあります。こうした化学変化が起きるため、時間がたった染みほど落ちにくくなるのです。
服の素材別|染み抜き前に確認したいポイント
チョコの染みを取る前に、衣類の素材を確認することが大切です。具体的には、綿やポリエステルは水洗いに強く、中性洗剤を使った処理もしやすい傾向があります。一方で、シルクやウールなどの繊細な素材は、水に弱かったり摩擦で傷んだりするため、慎重な扱いが必要です。
洗濯表示を見て、「水洗い不可」や「ドライマーク」がある場合は、広範囲に濡らさず、部分的な処理で済ませるようにしましょう。
自宅でできる! 時間がたったチョコの染み抜き方法
すぐに洗えないときでも慌てず対処することで、落としやすさは変わります。手軽な方法を紹介します。
基本の染み抜き|用意するものと手順
準備するものは、中性洗剤(台所用でも可)、ぬるま湯、歯ブラシ、清潔なタオルです。まず、染みがついたところにタオルを当てます。これが余分な水分や汚れの受け皿になります。次に、中性洗剤をぬるま湯で少し薄め、歯ブラシに取り、裏側から染みの上を軽くトントンとたたきます。こすらず叩くのがポイントです。
汚れが浮いてきたら、ぬるま湯でやさしくすすぎます。最後に乾いたタオルで水気を吸い取り、風通しのいい場所で陰干し。落ちにくい場合は、表側からも同じ作業をもう一度します。
しつこい染みには? 重曹・酸素系漂白剤を使う方法
中性洗剤だけで取り切れないときは、重曹と酸素系漂白剤を使った方法が役立ちます。白っぽい衣類や色落ちしにくい素材に向いています。最初に染み部分を軽く湿らせ、重曹をふりかけた上に酸素系漂白剤(液体タイプ)を乗せます。5〜10分ほど置いたあと、やわらかい布で軽く押さえて汚れを拭き取ります。
その後、ぬるま湯でしっかりすすぎましょう。この方法は油分が強く残っている場合にも効果があり、洗濯前のひと手間として有効です。
色柄物やデリケート素材の場合の注意点
色柄物やウール、シルクといった繊細な素材は、染み抜き中に色落ちや傷みが生じることがあります。処理を始める前に、目立たない場所で洗剤の影響を確認しましょう。試すときは綿棒などに洗剤をつけて、数分後の色の変化を見ると安心です。
また、水温にも注意が必要。デリケート素材はぬるま湯でも縮みやすいため、水を使い、短時間で終えることが望ましいでしょう。生地にやさしい方法を選ぶことが、衣類を長く使うためのコツです。

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間違ったやり方に注意! 染み抜きでよくある失敗と対策
自己流の染み抜きがうまくいかない原因は、意外と共通しています。避けるべき落とし穴を確認しましょう。
こすりすぎて生地が傷むケース
染みを早く落としたいという気持ちから、強くこすってしまう人は少なくありません。しかし、繊維を傷める原因になるため注意が必要です。特にシャツや薄手のブラウスは摩擦に弱く、白く擦れた跡が残ることがあります。汚れは“押し出すように”浮かせることを意識し、歯ブラシやタオルを使って軽く叩くように処理しましょう。
力加減は「触れる程度」を目安にすると安心です。急がず、ゆっくり落とすことが大切です。