意見や相談がしやすく、情報共有が円滑に行われる信頼関係のある職場環境が大切です。
Summary
- 風通しの良い職場とは、意見や相談がしやすい環境のこと。
- 職場の風通しが良いと、業務効率やチームワークが向上しやすい。
- 実践には、日常のあいさつや感謝の表現から取り組むのがおすすめ。
「風通しの良い職場」という言葉を耳にしたことはありませんか? できれば、意見を言いやすくて相談もしやすい、そんな職場で働きたいと思う方も多いはずです。
そこで、この記事では、「風通しの良い職場」とは何か、その特徴やメリット、そして風通しの良い職場づくりに活かせる具体策を解説します。
風通しの良い職場とは? その意味と重要性
「風通しの良い職場って、具体的にどんな職場?」と聞かれると難しいと感じる方も多いのではないでしょうか? ここからは、風通しの良い職場とはどんなものかをみていきましょう。
風通しの良い職場の定義と意味
「風通しの良い職場」と聞くと、何となく居心地の良さを連想する方も多いかもしれません。でも、実際にはそれだけでは語りきれない部分があります。もちろん、風通しの良い職場に明確な定義があるわけではなく、何をもって「風通しが良い」と感じるかは、人によって異なるでしょう。
一般的には、風通しの良い職場とは、上司や同僚と活発にコミュニケーションが取れ、意見や疑問を安心して伝えられるような環境を指すことが多いですよ。

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「風通しの良さ」の重要性と影響
「風通しが良い」と聞くと、単に話しやすい雰囲気をイメージする方もいらっしゃるのではないでしょうか? ですが、実はそれだけではありません。風通しの良さは、職場全体の機能やチームの安定性、業務効率などにも深く関わっている重要な要素です。
たとえば、意見や相談がしやすい職場では、小さな問題やトラブルになりそうなことにも早く気づきやすくなりますよね。そこから業務改善のきっかけが生まれることもあるでしょう。さらに、風通しが良いことで、ハラスメントの防止やメンタルヘルスの安定、社員の定着にも良い影響を与えやすくなります。
風通しの良い職場の特徴
では、どのような職場が「風通しが良い」といえるのでしょうか? 具体的な特徴を見ていきましょう。
たとえば、上司が部下の声にきちんと耳を傾けている、業務に関する情報がオープンに共有されている、また、相談しやすい人間関係が築かれているなどが挙げられます。さらに、評価の透明性が高く、フィードバックがフェアであることも、風通しの良い職場によく見られる特徴ですよ。

風通しの良い職場のメリットとデメリット
風通しの良い職場にはさまざまな魅力がありますが、実は意外な落とし穴も。ここではメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット|職場に良い影響を与える要素
風通しの良い職場は、働く人のモチベーションや成果にも良い影響をもたらします。また、チームワークが深まり、良いアイデアが生まれやすくなることや、業務効率が上がる、離職率が下がるなど、組織全体にもメリットがありますよ。
さらに、部下が意見を出しやすくなることで、上司のマネジメントもスムーズになり、職場全体の雰囲気が自然と活性化していくことも期待できます。
デメリット|気を付けたい落とし穴
風通しが良すぎることで起こる、意外なデメリットについても触れておきましょう。
「自由に話せる」という環境が行き過ぎると、業務とは関係のない私的な話題が増えたり、情報の共有が過剰になったりすることも。さらに、発言の自由が「責任の不明確さ」につながってしまうと、かえって信頼関係にひびが入ることもあるため注意が必要です。

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風通しの良さと仲の良さの違い
仲が良いだけでは、本当の意味での「風通しの良い職場」とはいえません。たとえば、あるスタートアップ企業では「自由に発言していい」という方針が強調されすぎたことで、友達同士のようなゆるい関係性が職場全体に広がってしまったそうです。
その結果、「誰が責任を持つのか曖昧で、だらけた雰囲気になってしまった…」という状況に。やがて取引先からのクレームが相次ぎ、職場の雰囲気を見直すことになりました。
本来、仕事での風通しの良さとは、意見や立場の違いを認めたうえで、お互いが同じ方向を目指せる状態です。「仲良し」との違いも意識しておきたいポイントですね。
メリットを生かしデメリットを防ぐための工夫
風通しの良さを維持しつつ、混乱を防ぐために意識したい工夫があります。
たとえば、意見を出すべき場とそうでない場を明確に分けたり、雑談と業務の話を切り分けたりすることもひとつの方法でしょう。上司がルールを提示し、リードする姿勢を見せることで、緊張感と安心感のバランスが整いやすくなりますよ。

風通しの良さは職場活性化に有効だが、行き過ぎた場合、責任の曖昧化や私語の増加に注意が必要です。
風通しの良い職場を作る具体的な方法
理想的な職場環境を実現するには、具体的な行動や制度の見直しが欠かせません。ここでは、すぐに取り入れやすい実践例を紹介します。
コミュニケーションの改善策
日常的なコミュニケーションから少しずつ改善をしていくことが、風通しの良さにつながります。
たとえば、1on1ミーティングを取り入れたり、チャットツールを活用してカジュアルにやり取りできる環境を整えたりするのもおすすめですよ。また、「Iメッセージ」やアサーティブな表現を取り入れることで、自分の気持ちを押しつけずに伝えるスキルを磨くという方法も。
さらに、感情のコントロールや伝え方などを、社内研修などで同僚たちと一緒に学ぶ機会をつくることも効果的です。
ある企業では、定期的に感情マネジメントやコミュニケーションに関する社内研修を導入しました。「こう伝えると建設的」「この言い方は誤解を招きやすい」といった具体的な指針を共有したことで、現場の雰囲気が少しずつ変わってきたそうですよ。

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ハラスメント防止に力を入れる
ハラスメントがある環境は、風通しの良い職場とは言えません。こうした環境の中、誰にも相談できず、つらい思いを抱えたまま退職してしまう人も。その結果、組織力の低下や営業活動への支障など、企業全体にとっても大きな損失につながりかねないでしょう。
ハラスメント対策と聞くと、どこか重たい印象を受けるかもしれませんね。でも、「風通しの良い職場づくり」の一環として、前向きに取り組むものと考えてみてはどうでしょうか?
参考:厚生労働省リーフレット「2020年(令和2年)6月1日より、職場におけるハラスメント防止対策が強化されました!」
職場の雰囲気を良くする日常的な工夫
何気ない日常の言葉や行動も、職場の空気に大きく影響します。たとえば、出勤時のあいさつや、「ありがとう」のひとことを丁寧に伝えることも大切ですね。
ある企業では、「忙しい中、対応してくれて助かりました」などの感謝の気持ちを「サンクスカード」に書いて渡し合う取り組みを導入しています。照れずに感謝を伝えやすくなり、チーム内の信頼も自然と深まっているそうですよ。

コミュニケーション改善や感謝の習慣化が、風通しの良い職場づくりに効果的です。
最後に
- 「風通しの良さ」とは、話しやすさだけでなく信頼と情報共有のあり方を指します。
- 職場の雰囲気や人間関係づくりが、業務効率や社員の定着率にも影響を与えます。
- 日常のあいさつや「ありがとう」の一言が、風通しの良い職場づくりの第一歩です。
この記事では、風通しの良い職場の特徴・メリット・実践方法などを解説しました。風通しの良さは、ひとりひとりの意識と行動によってつくられていくもの。ぜひ参考にしてみてくださいね。
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執筆
塚原社会保険労務士事務所代表 塚原美彩(つかはら・みさ)
行政機関にて健康保険や厚生年金、労働基準法に関する業務を経験。2016年社会保険労務士資格を取得後、企業の人事労務コンサル、ポジティブ心理学をベースとした研修講師として活動中。趣味は日本酒酒蔵巡り。
事務所ホームページ:塚原社会保険労務士事務所
ライター所属:京都メディアライン
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