Summary
- 「恥の上塗り」は恥をかいた上に、さらに恥を重ねることを意味する。
- 類語には「恥の上書き」や「恥の恥」などがあります。
- 相手の行動に対して使う場合には注意が必要。
「恥の上塗り」という言葉を目にしたとき、どきりとした経験がある人も多いのではないでしょうか? 失敗に失敗を重ねる、というこの表現は、思いがけず自分の言動に重なってしまうこともあります。
この記事では、「恥の上塗り」の意味をはじめ、仕事や家庭での使い方、注意したい点までを整理。使う立場でも受け取る立場でも知っておきたい、日本語の奥深さに迫ります。
「恥の上塗り」とはどんな言葉? 意味を確認
自分では取り繕ったつもりでも、かえって状況を悪化させてしまう…。そんな場面で使われる「恥の上塗り」という言葉の意味から確認していきましょう。
「恥の上塗り」の意味とは?
「恥の上塗り」とは、一度恥ずかしい思いをしたあとに、さらに恥をかくことを意味します。
辞書では次のように説明されていますよ。
恥(はじ)の上塗(うわぬ)り
恥をかいたうえに、また恥をかくこと。恥の恥。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

「上塗り」は悪いケースで使われる
「上塗り」には、2つの意味があります。辞書で確認しましょう。
うわ‐ぬり〔うは‐〕【上塗(り)】
[名](スル)
1 壁塗り・塗装などで、あらかた塗った上に、仕上げとして最後に塗ること。また、その塗り。仕上げ塗り。「テーブルにニスを―する」
2 あることの上にさらに同じようなことを重ねること。悪い場合にいう。「恥の―」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
1つ目の意味は、壁塗りや塗装などであらかた塗った後に、仕上げとして塗ること。そして、もう1つはあることの上にさらに同じようなことを重ねることを意味します。「恥の上塗り」のように、主に悪いことに対して使われることを覚えておきましょう。
「恥の上塗り」は「恥をかいた上にさらに恥をかくこと」。
職場や家庭での使い方|言葉の印象を考えて選ぶ
「恥の上塗り」は使い方を誤ると人間関係に亀裂を生むこともあります。ここでは、シーン別の使い方と、その伝わり方を丁寧に見ていきましょう。
ビジネスシーンでの活用法|謙虚な姿勢を伝えるときに
ビジネスの場では、説明や報告の中で自戒の意を込めて表現することで、誠実な印象を与える効果が期待できます。
「これ以上、恥の上塗りにならないように注意します」
こうした言い回しを自分に対して使うことで、ミスを認め、再発防止に努める姿勢が伝わりやすくなります。
ただし、相手の行動に対して使う場合には注意が必要です。「それは恥の上塗りですよ」といった表現は、責める意図がなかったとしても相手にとっては強い否定と受け取られる可能性があります。
家庭や日常会話ではどう響くか?
家族や親しい友人とのやりとりの中で、「また恥の上塗りしちゃった」と軽く使うこともあるでしょう。
ただし、日常会話においても、言葉の選び方が人間関係の空気を左右する場面は少なくありません。自虐的に用いるときは問題にならなくても、他者に対して使う場合には慎重な判断が求められます。
その場にいる人の年齢や関係性、話の流れなどを見極めながら、相手の受け止め方にも心を配る必要があります。

類語・言い換え表現・英語表現を確認
ここでは、「恥の上塗り」に近い意味を持つ言い回しについて確認していきましょう。
類語や言い換えには何がある?
「恥の上塗り」と同じようなニュアンスを持つ言葉としては、
・恥の上書き
・恥のかき上げ
・恥の恥
といった表現があります。いずれも「一度の恥にとどまらず、さらに恥を重ねる」ことを指します。
よりシンプルに「重ねて恥をかく」と言い換えると、会話の中でも使いやすいでしょう。
参考:『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)
英語でどう表現する?
英語で「恥の上塗り」に近いニュアンスを表す表現としては、
・add to one’s shame(恥をさらに重ねる)
が挙げられます。状況によっては“make matters worse”(事態を悪化させる)などの表現を使ってもいいでしょう。
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)

類語は「恥の上書き」、英語では“add to one’s shame”。
最後に
POINT
- 「恥の上塗り」は「恥をかいた上にさらに恥をかくこと」。
- 類語は「恥の上書き」「恥の恥」など。
- 他者に使う場合は強い否定に聞こえるため注意が必要。
「恥の上塗り」は、どこか耳に残る強さを持った言葉です。けれど、その印象の強さゆえに、誰かを責める表現として独り歩きしてしまうこともあるでしょう。大切なのは、言葉の背景を理解し、自分自身にも他者にも丁寧に使うこと。知識としてだけでなく、ふるまいとしての日本語力を高める視点を持ちたいですね。
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Domani編集部
Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けたファッション&ビューティをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれや美容を楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッション感度の高いエディターを通して発信中。
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