Summary
- 静かな退職は「会社を辞める」のではなく最低限の労働にとどめる働き方のこと。
- 背景には燃え尽き症候群・価値観の変化・健康問題などがあります。
- 背景を理解し支援することが健全なマネジメントのポイント。
Contents
「静かな退職」という言葉を耳にしたことはありませんか? 最近は、表立った退職ではなく「最低限の労働にとどめる」という働き方を選ぶ人も。静かな退職の背景には、価値観の多様化や燃え尽き症候群などの原因もあり、単純にやる気がないだけでは片付けられないこともありますよ。
そこで、この記事では、「静かな退職」の概要や、実際にあったケースや注意点などを、社会保険労務士の塚原美彩(つかはら・みさ)が解説します。
静かな退職とは?|今注目される「最低限労働」という働き方
無理をせず、自分を守るために選ぶ「静かな退職」。働き方の変化を映すキーワードとして注目されています。ここからは、静かな退職とはどんなものなのかを簡単に見ていきましょう。
静かな退職とは何か?
「静かな退職(Quiet Quitting)」とは、会社を辞めるのではなく、与えられた業務の範囲だけを最低限淡々とこなすスタンスです。残業や過剰な責任を避け、生活や健康を優先する点が特徴ですね。仕事を人生の中心にしない選択ともいえるでしょう。
なぜ「静かな退職」が注目されるようになったのか?
発端は、米国のTikTokで紹介された「Quiet Quitting(静かな退職)」という動きでした。注目や共感を集めた背景には、長時間労働や成果が報われにくい環境への不満、燃え尽き症候群や健康問題などがあるといわれています。

静かな退職とは、会社を辞めずに業務を最小限に抑える働き方のこと。
静かな退職が起こる背景|職場と個人の価値観ギャップ
静かな退職と聞くと、仕事に熱意を持っている人からすると、「やる気がない」と感じる方もいらっしゃることでしょう。また、中には、「最低限のことすらしない」という困った人もいるようです。
ですが、静かな退職には、価値観の変化や健康の問題が隠れていることがありますよ。ここからは、「私も、もしかして…」と思い当たる点がないか、ぜひチェックしてみてくださいね。
静かな退職を選ぶ理由と心理的要因
実は、静かな退職を選ぶ理由や要因には、「深刻な疲れ」や「過去の無理な働き方への反省」が背後に隠れていることが多いのです。例えば、あまりにも過度の疲労やストレスがあり、回復のペースが追い付かないと、新しいチャレンジや責任を避けるようになってしまう人も多いでしょう。
また、過去に働き過ぎで心身のバランスを崩した経験がある人は、「またあんな状態になりたくない」という危機感から、静かな退職をするケースもあるのです。このように、静かな退職は、「怠けている」や「やる気がない」というより、「身を守るための手段」になっていることも。
特に、これまでハイパフォーマンスを発揮していた人が突然そうした兆候を見せた時は要注意です。メンタルや健康上の不調が隠れている可能性がありますよ。

燃え尽きや価値観の変化が背景に隠れています。
静かな退職は悪なのか?|功罪を見極める視点
静かな退職は悪いものなのでしょうか? メリットとデメリットを両方見ていきましょう。
静かな退職が組織にもたらすデメリット
静かな退職が組織にもたらすデメリットには、生産性の低下や、チーム士気の低下といった影響があります。さらに、人材育成などに消極的な人が増え、後進が育ちにくいという声も。また、見えない離職予備軍として人手不足のリスクを抱える点も問題です。


