Summary
- 「悶々とする」は心が晴れない状態のこと。
- 「悶々」の読み方は「もんもん」。
- 悶々とする背景には評価停滞・方向性不明・不安感があることも。
「悶々とする」という言葉、なんとなく気持ちは伝わるものの、いざ使うとなると迷いが生じることもあります。職場の会話やメールで使っていいのか、似た表現とどう違うのか、不安に感じた経験がある人も多いはず。
本記事では、「悶々とする」の意味や使い方を丁寧に解説しながら、ビジネスシーンに即した自然な言い換え表現や注意点も紹介します。正しく使いこなすヒントを、一緒に整理していきましょう。
「悶々とする」の意味と印象を丁寧に整理
気持ちがはっきりしないとき、つい「悶々としている」と口にしたくなるものです。ここでは、その言葉がどのような意味を持ち、どのように使われてきたのかを丁寧に整理していきましょう。
「悶々とする」の意味
「悶々とする」とは、心の中にある思いや悩みがはっきりとまとまらず、言葉にできないまま内側でくすぶっているような状態を指します。
何か気になることがあるのに、その原因がつかめず、自分の中で思考がぐるぐると回り続けている…。そんな状態を「悶々」と表現します。
「悶々」について、辞書では次のように説明されていますよ。
もん‐もん【×悶×悶】
[ト・タル][文][形動タリ]悩み苦しむさま。「―として夜を明かす」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「悶」という漢字には、「悩み苦しむ」、「心が晴れない」という意味があります。「悶(もだ)える」とも書きますね。
現代では、ビジネスの場面だけでなく、日常会話でも「悶々としていた」「ずっと悶々している」などの形で使われることが多く、心の停滞やモヤモヤを表す言い回しとして定着しています。明るい表現ではありませんが、共感を呼びやすい言葉といえるかもしれません。

誤用と注意したいポイント
「悶々とする」は「もんもんとする」と読みますが、「紋々(もんもん)」と混同してしまうケースがあるようです。「紋々」は「絵模様」のことを指すため、「悶」とは意味が異なります。誤って使わないよう、注意しましょう。
また、印象の面でも注意が必要です。「悶々」という語感は、感情が内にこもった状態を表す一方で、人によってはネガティブに受け取られることもあります。職場で「最近ずっと悶々としていて」と口にしたとき、相手がどう感じるかは関係性や場面に左右されやすいと心得ておきましょう。
口語では伝わりやすい一方で、ビジネス文書やメールに使用する場合は、やや感情的に響いてしまう可能性があります。ビジネスメールなどでは、「考えがまとまらず」とか「判断に迷いがある」などの表現に置き換えることで、相手に与える印象が変わるでしょう。
「悶々」とは、心のモヤモヤや悩みが言葉にできず停滞する状態のこと。
職場で使うときに迷わないために
感情を表す「悶々とする」は、ビジネスの場にふさわしくないと感じる人もいるかもしれません。けれども、伝え方を工夫すれば、相手との距離を近づける一言にもなります。ここでは、職場で使う際の判断基準と使い分けを整理しましょう。
会話や会議で「悶々とする」を使うときの注意点
職場の会話では、思い切って「最近ずっと悶々としていて」と打ち明けることで、相手に気持ちが伝わり距離が近づくことがあります。一方で、言葉の印象が強いため、感情的・内向的なイメージを与えてしまう場面もあるでしょう。
上司に相談する際は、「悶々としていて何も手につきませんでした」と伝えると、ネガティブな印象が残りやすくなります。「結論に迷いがあって進められずにいました」と言い換えるだけで、受け手の印象は大きく変わるでしょう。
また、打ち合わせ中に「この件で、少々悶々としておりまして…」と発言すると、問題を曖昧にしているように受け取られる可能性があります。「判断材料が足りず、決めかねています」と表現を変えることで、冷静な姿勢が伝わるでしょう。
気持ちを共有したい場面では役立ちますが、あくまで状況に合わせて慎重に使うことが大切です。

文書やメールで使う際の表現調整
ビジネスメールや報告書で「悶々としています」と表現するのは避けた方がいいでしょう。
例えば「A案かB案かで悶々としております」という書き方では、悩んでいる事実は伝わっても、前向きな印象にはなりません。「どちらの案にも一長一短があり、検討を要します」と書くことで、問題点が具体的に伝わります。
特に報告書などでは、感情的な表現は避けた方がいいでしょう。「悶々とする」の代わりに、「対応方針を決めかねている」「現時点での判断に確信が持てない」など、状況がわかるように伝えたいですね。
「悶々とする日々」の背景にある気持ちに気づく
一見、ただの気分の問題に見えても、「悶々とする日々」には、見逃せない心の動きが隠れています。ここでは、自分や周囲の「モヤモヤ」を言語化するヒントと、実務との関わりを考えます。
仕事で悶々とするときにありがちな状況とは?
悶々とした感覚が続く背景には、明確な原因が見えづらい仕事上の滞りが関係していることがあります。「業務に取り組んでいるのに達成感が得られない」、「努力しても評価につながらない」、「必要な判断が上層で止まったまま動きが見えない」―そんな状況が続くと、人は自分の立ち位置に不安を覚えやすくなるでしょう。
また、仕事の方向性が定まらないまま業務が進んでいくと、「何を目指しているのか?」が曖昧になり、知らず知らずのうちに精神的な重たさを感じるようになります。目の前のタスクはこなしていても、全体像がつかめないと、人は意欲や判断力を失いやすくなるものです。
このような悶々とした感情は、自己評価や対人関係にも影響を及ぼします。「自分だけが置いていかれているのでは?」「このまま努力しても報われないのでは?」、そんな思いが少しずつ積み重なっていくと、気づいたときには心が前に進みにくくなっているかもしれません。

周囲の「悶々」に気づき、支える視点
自分の内側にある悶々とした気持ちに気づくことも大切ですが、職場で周囲の人が同じような状態に陥っていないかを観察することも、リーダーや中堅層としては重要な視点です。
「普段は意欲的だった部下が、急に発言が少なくなる」、「会議ではうなずいていても、発言内容に覇気が感じられない」、「目に見えるミスはなくても、仕事の進め方がどこか受け身になっている」―そうした小さな変化は、「悶々としている」心のサインである可能性があります。
本人に直接「悶々としてる?」と尋ねるのは難しいですが、「最近どう? やりづらいことがあれば言ってね」と軽く声をかけるだけでも、相手が気持ちを整理するきっかけになるかもしれません。言葉にならない思いを持て余しているとき、誰かが気づいてくれたという安心感が、次の行動へつながることもあります。
停滞感の裏には不安や方向性の欠如が潜んでいたりします。
最後に
POINT
- 「悶々とする」は心の停滞や悩みを表す言葉。
- 誤読や「紋々」との混同に注意が必要。
- ビジネスでは「判断に迷う」などの冷静な言い換えが有効。
「悶々とする」は、誰にでも起こりうる感情の停滞を言葉にした表現です。正しく理解し、伝え方を少し工夫するだけで、印象は大きく変わります。自分自身の状態を整えるヒントにもなり、チームの空気づくりにも役立つこの言葉。うまく使いこなして、職場での対話力を高めていきましょう。
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Domani編集部
Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けたファッション&ビューティをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれや美容を楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッション感度の高いエディターを通して発信中。
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