Summary
- 「日々精進」は、毎日努力を重ねて成長を目指す姿勢を表す言葉。
- 仏教語が語源で、現代では地道な努力や誠実な向上心を意味する。
- 言い換えは「研鑽」「邁進」「努力」など、場面に応じた使い分けが鍵。
「日々精進してまいります」という言葉を使いながら、実はその意味や使い方に自信が持てないなんてこと、ありませんか? 聞き慣れた表現だからこそ、正確に理解していないと誤解や違和感につながってしまうことも…。
この記事では「日々精進」の意味・使い方・言い換え表現までを整理し、職場やメールで自然に使えるように解説します。
「日々精進」の意味を丁寧に捉え直す
言葉の理解が「なんとなく…」では、職場での表現にも自信が持てません。「日々精進」が本来どのような意味を持ち、なぜ使われるのかを、背景から確認していきましょう。
「精進」の語源と変化を知る
「精進」という言葉の出発点は、仏教語にあります。もともとは煩悩を断ち、心身を整えて仏道に励むという意味で使われていました。
やがて時代が進むにつれ、「精進」は、一般社会でも通じる言葉へと変化していきます。江戸時代以降の文献では、「一所懸命に努力すること」という意味が定着していきました。今では、受験・仕事・スポーツなど幅広い分野で、「地道に取り組む姿勢」を表す言葉として使われています。
こうした背景を知っておくと、「日々精進します」という一言にも、信念や継続への意志が込められていることが伝わりやすくなるでしょう。
「精進」の意味について、辞書では次のように書かれています。
しょう‐じん〔シヤウ‐〕【精進】
[名](スル)
1 雑念を去り、仏道修行に専心すること。
2 一定の期間行いを慎み身を清めること。
3 肉食を断って菜食をすること。
4 一つのことに精神を集中して励むこと。一生懸命に努力すること。「研究に―する」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

「日々精進」に込められた姿勢とは?
「日々精進します」という言葉が好まれるのは、日々の積み重ねを大切にする姿勢や、結果を急がず、継続を重んじる価値観がにじんでいるからでしょう。
特に「日々」という言葉が添えられていることで、一度きりの決意ではなく、「今日も、明日も、これからも努力を続けていきます」という継続的な意志が強調されます。
誇張せず、自分の中にある向上心を静かに伝える。そんなスタンスが、この言葉に自然となじむのかもしれません。
「日々精進」は、仏教語が語源で「毎日努力を続ける誠実な姿勢」を表す。
実務でどう使う?「日々精進」の使いどころ
実際にどんな場面で「日々精進」が使われているのか、自信を持って使うためのヒントを整理します。言葉の背景を理解したうえで、実践へとつなげましょう。
お客様によりよいサービスを提供できるよう、日々精進してまいります。
「精進してまいります」は謙譲語で、ビジネスメールや挨拶文などでよく使われる表現です。「努力を続けている姿勢」を丁寧に伝える言い回しとして好印象ですよ。
まだまだ未熟ですが、一人前の社会人を目指して日々精進しております。
自分をへりくだりながら成長意欲を伝える表現。就活の自己PRや挨拶などでも使いやすく、謙虚さと前向きさを両立できます。

試合に勝つために、基礎練習を欠かさず日々精進しています。
努力の継続を強調する文脈。スポーツや芸事など「技を磨く」分野で使えます。「地道な努力」のニュアンスが強く、「一朝一夕ではない」姿勢を表します。
「日々精進」の類語や言い換え表現は?
「日々精進」という言葉に近い表現として、「努力」「研鑽(けんさん)」「邁進(まいしん)」といった語が挙げられます。いずれも向上心や前向きな姿勢を表す点では共通していますが、選ぶ言葉によって伝わる印象が少しずつ異なってきます。それぞれの意味を詳しく見ていきましょう。
努力
「努力」は、物事に一生懸命尽くすこと。広く使われている言葉で、親しみやすさがある一方で、場によっては平凡な印象になることもあるでしょう。
研鑽
「研鑽」は、学問などを深くきわめること。特に、学問などを着実に研究することを指します。学びの継続を強調したいときに適しているでしょう。
邁進
一方、「邁進」は、目標に向かって恐れずに進むことを指します。「精進」がもつ慎ましさとは少し異なり、積極的なニュアンスが前面に出るため、強い意欲を印象づけたい場面で使われることが多いでしょう。

言い換え表現とシーン別の使い分け
「日々精進してまいります」と同じ気持ちを、別の言葉で伝える方法はいくつもあります。状況や相手に応じて言い換えることで、より自然で自分らしい表現に近づけることができるでしょう。
異動の挨拶では「より一層励んでまいります」や「引き続き努力を重ねてまいります」といった表現が穏やかで受け入れられやすいかもしれません。新しい職場に赴くときには、「初心を忘れず、精一杯努めてまいります」といった言い方も、誠実な印象を与えます。
目上の人に向けたメールやスピーチでは、「今後ともご指導を賜りながら、学びを深めてまいります」といった表現も丁寧です。
一方、社内でのややフランクなやりとりであれば、「引き続き学ばせていただきます」「これからも成長していけるよう努力します」といった柔らかい言い換えも使いやすいでしょう。
最後に
POINT
- 「日々精進」は、仏教語由来で「継続的な努力」を意味する。
- 「日々」を加えることで、一時的でない継続の意志が強調される。
- ビジネスでは「謙虚で前向きな姿勢」を伝える表現として適切。
「日々精進」は、誠実で向上心のある姿勢を表す美しい言葉です。意味を正しく理解し、自分の言葉として取り入れることで、表現にも説得力が生まれます。職場でも、チームでも、安心して伝えられる言葉づかいを、日々育てていきましょう。
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Domani編集部
Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けたファッション&ビューティをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれや美容を楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッション感度の高いエディターを通して発信中。
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