こんにちは、editor_kaoです。
今回は、ファッションと離れたお話を。最近、偶然にも野心的な女性を描いた書籍を立て続けに読んでしまい、そのことに触れずにはいられないのです。

オンナの野心が赤裸々に描かれた2冊をご紹介
1冊目は、村山由佳さんの『PRIZE−プライズ−』。何がなんでも「直木賞がほしーい!」ともがき倒す、人気女性作家とその周辺の人々の物語で、文芸界のリアルな描写が話題の小説です。ジャンルは違えど私自身が編集者ということもあり、どの場面も絵が浮かぶよう。物語の後半はサスペンス要素もあったりなんかして、私はどちらかというと読むのが遅いのですが、ページをめくる手が止まりませんでした!
2冊目は、向田邦子さんのエッセイ集『夜中の薔薇』。たぶん30歳前後?かなり前に読んではいるのですが、あるきっかけがあり、再読することに。すると本書に収録されている『手袋をさがす』という一編に、当時とはまったく違う印象を感じて驚きました。向田さんが22歳のころ、何をしたいのかを自問自答し、勤めていた映画会社を辞めて文章を書く仕事を始める過程が描かれているのですが、その取り組み方がもう、邁進というより爆進!というような、とにかく情熱がすごい。仕事だけでなく、あらゆることにおいて自分の欲望がいかに強いかを、これまた赤裸々に記していて、「あれ、向田さんってこんな感じの人だっけ?」と、思ったのです。
読む時期で感じるものが違った向田邦子エッセイ
向田邦子といえば、おしゃれで料理上手で旅と猫と民藝が好きな、乱暴な言い方をすれば、元祖・丁寧な暮らし系。その生き方に、今でも憧れる女性は多いのですが(もちろん私も)、実は内面は野心に満ち満ちていたとは!考えてみれば、だからこそ暮らしへのこだわりも強かったのでしょうし、作品にしても、人の心の奥底に潜む、ときには触れてもらいたくない部分を細やかに表現できたのかと思いますが、このエッセイに関しては、あまりにぶっちゃけ過ぎていて。読みながら思わず、「かっこいー……」と、心の声が口からあふれてしまいました。

決して卑怯でなく、目標にまっしぐらな人
どちらも、圧倒的な熱量とスピード感といった部分も、不思議と共通しているので、気になった人はぜひ読んでみてほしい。フィクションとノンフィクションを比べるのも野暮ですが、『PRIZE−プライズ−』の主人公も向田邦子さんも、かなりの野心家でありながら、決して卑怯ではありません。こういう「正しい野心」をもつ人って、本当にかっこいい。目標に向かって努力を惜しまず、あきらめず、自分の欲望を隠さず、だれかを陥れることなく、果敢に挑戦する。そして私の知る限り、そういう人はちゃんと、結果を残していくのです。ずっとそんな人に憧れていたけれど、久しぶりにその感覚を思い出して、ハッとしました。
ちなみに私が憧れているのは、「仕事に対しての野心」に限ります。「いい服が着たい!」とか「きれいになりたい!」とか「かっこいいパートナーがほしい!」いったパーソナルなことに関しては、どうぞご自由に。
【今日のひと手間】

先日まで盛り上がっていた無印良品週間。私は、ずっと狙っていた「ポリカーボネート 万年筆」を購入しました。軽くて書き心地がよく、ちょっとしたお礼状を送るときにぴったり。590円という価格も試しやいので、「万年筆、使ってみたいけど……」という人にもおすすめです!
エディター
editor_kao
大人の実用ファッションを中心に、人物インタビューや日本の伝統文化など、ジャンルレスで雑誌やブランドサイト、ウエブマガジンで活動中。また、インスタグラム@editor_kaoでは、私服コーディネートを紹介するかたわら、さまざまなブランドや百貨店とのコラボレーションも手がけている。ライフスタイルWEBメディアkufura(クフラ)でも「4ケタアイテムで叶えるオシャレ」を連載中。
あわせて読みたい


