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FASHION おしゃれプロ

2025.09.13

心を撃ち抜かれてしまった展示会【今日からは、自分のために服を着たいvol.106】

来年の春夏の展示会を巡っています。たくさんの素敵なものを目にしていますが、特に感激したふたつのブランドについて。

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こんにちは、editor_kaoです。

ファッション界は今、来年の春夏の展示会が開かれている時期。私もいくつか回っているのですが、ちょうど昨日訪れたふたつの展示会に、強く心を打たれたので、そのお話をさせてください。

デザインよりも素材に夢中なディレクター

ひとつは、ある有名なドメスティックブランドで、聞けば今年10周年を迎えるとか。いろいろとご縁があり、ブランド立ち上げのときからお話をうかがっていたので、もう10周年かと感慨深い気持ちになりました。残念ながら、あまりうまくいかなかった前身ブランドの苦労話も知っているだけに、今や大人気ブランドになったことは、本当にすばらしいと思っています。

なかなか都合が合わず、展示会を訪れたのは久しぶりだったのですが、ディレクター(男性)の素材に対する愛情(っていうかオタクっぷりっていうか)は相変わらずで、それもうれしくなりました。この方は面白いことに、新作の説明をする際に、いつもデザインではなく、素材の話ばかりされるのです。山梨で素敵な織物工房と出合ったとか、中国で珍しい染めの技術を発見したとか、インドで2年前にお願いしていた生地がやっとできあがったらしいから見に行きたいとか。「kaoさん、見ました?この生地!」なんて、新作のカットソーを手にしながら詳しく説明してくださるのですが、結局デザインのこだわりは、絶対にあるのだろうけど全然わからずに終わるという……。

ただ、有名なセレクトショップに必ず置かれているといっていいほど大成功したにもかかわらず、調子に乗らずに好きなものもつくるものもブレないというのは、できるようでできないこと。特にファッションなんて、ここ10年で価値観が大きく変わっているのに、同じ姿勢でものづくりに励むことができるのは、尊敬に値します。そういえば身につけていた腕時計もイカついブランドのものじゃなくて、どこのかはわからないけど薄型のデジタルウォッチだったな……(めちゃチェックしてる)。

素敵な傘を手にするという贅沢

もうひとつは、初めて拝見したのですが、20周年を迎えるという傘ブランドでした。テキスタイルから起こしている稀有なところで、自然や動物、食べ物といったモチーフが、愛らしく描かれています。そして偶然にも、こちらのデザイナー(男性)も、もともとが布好きだったとのこと。テキスタイルをデザインする際に、傘の外側を重視するのかそれとも内側なのかとか、素材も含めて考えるのかといったお話を聞きながらが、改めて傘というのは、すごく豊かなアイテムだなと感激しました。素敵な傘って、いわば究極の贅沢。そもそも毎日使うものではありませんし、雨をしのぐだけならビニール傘でも十分。なくす確率No. 1くらいのアイテムでもある。それを、このこだわりをもって手にすることは、本当にものを大事にしている人にしかできないはずなのです(胸がイタい)。正直、傘としては決して安くない。コンビニの傘立てなんて、絶対に使えない。もしなくしたら、大泣きしちゃう。

……それでも欲しい。そう思わせるチャーミングさが、ここの傘には宿っていました。それはやはり、つくり手の愛情が込められているからだと思います。ここ数年の天候の変異で、傘という存在は、日常に欠かせないものに。だからこそ今、自分はどんな傘を手にするかを見直す時代ではないかと、この展示会を通して感じたことでした。

ものづくりに込められた愛を、誠実に伝えられたら

高級なものをもちたいわけではない(むしろ困る)。でも、こんなふうに愛情がたっぷり込められて生まれたものであったら、手にする側も心地よくいられると思います。展示会の面白さって、新作をいち早く見られるワクワクもあるけれど、つくり手のこだわりが、どこにどう込められているかを知ることができるところ。それが、実際のお客様にどれだけ伝わっているかはわからないけれど、私もファッションディレクターとして名乗っている以上、真摯に向き合い、伝えていきたいと、改めて感じた1日でした。

【今日のひと手間】

じゃらじゃらしたバッグチャームが流行っていますが、私も自分なりにアレンジしてみました!キッカーランドの宇宙飛行士のキーホルダー、イケアのスマホスタンド、プエブコのビッグピンを、100均で手に入れたカラビナでまとめて。全体のテンションをなんとなーく揃え、シルバーとゴールドもミックスさせて、汎用性を高くしたのがポイントです!

エディター

editor_kao

大人の実用ファッションを中心に、人物インタビューや日本の伝統文化など、ジャンルレスで雑誌やブランドサイト、ウエブマガジンで活動中。また、インスタグラム@editor_kaoでは、私服コーディネートを紹介するかたわら、さまざまなブランドや百貨店とのコラボレーションも手がけている。ライフスタイルWEBメディアkufura(クフラ)でも「4ケタアイテムで叶えるオシャレ」を連載中。

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