Summary
- 「神神しい(こうごうしい)」は、神聖でおごそかな様子を表す形容詞。
- 厳粛な場面や神聖さを含む対象の描写に用いられる。
- 英語では “sacred”“divine”などが近い表現となる。
「神神しい」という言葉を聞くと、どこか特別な響きが感じられますね。しかし、どんなものが「神神しい」と表現できるのでしょうか? そして「神々しい」という表記の場合、意味の違いはあるのでしょうか?
本記事では、辞書に基づく意味・読み方・類語、そして具体的な例文を整理し、使いどころを分かりやすく紹介します。
「神神しい」の読み方と意味|「神」を重ねる特別な響き
まずは、「神神しい」の読み方と意味について整理していきましょう。
読み方と意味を辞書で確認
「神神しい」は、「こうごうしい」と読みます。意味は神聖でおごそかであること。「神」という漢字を重ねることで、神聖さや気高さを強調した形容詞です。
辞書では次のように説明されています。
こうごう‐し・い〔かうがう‐〕【神神しい】
[形][文]かうがう・し[シク]《「かみがみし」の音変化》気高くておごそかである。神聖で尊い。「富士の―・い姿」
[派生]こうごうしさ[名]
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「神々しい」という表記で書くこともありますが、意味は同じです。「々」は繰り返しの記号になります。

「神神しい」は「こうごうしい」と読み、神聖で尊いことを指す。
「神神しい」が使われてきた歴史
「神神しい」は、平安時代の文学においてすでに使われており、古語としての長い歴史を持つ言葉です。『枕草子』には「かうがうしく、いつくしう、いみじう」と記され、神聖さや畏敬の念を込めた表現として使われていました。
『源氏物語』や『栄花物語』にも同様の用例があり、いずれも高貴な存在や神聖な場面を描写するための語として登場します。こうした背景からも、「神神しい」は、たんなる美しさや厳かさを示すだけでなく、「近づきがたい神性」や「おそれを抱かせる荘厳さ」を伝える語であることがわかります。
参考:『日本国語大辞典』(小学館)
「神神しい」の使い方と例文|現代でも使える?
やや古めかしい語感を持つ「神神しい」ですが、言葉の背景を理解していれば、現代においても印象深い表現として活用できます。場面にふさわしい使い方を意識することで、言葉の持つ美しさを生かした表現が可能です。
「神神しい空気が漂う拝殿に、参拝者は静かに歩みを進めた」
「おごそか・神聖」を踏まえた文です。厳粛な雰囲気を伝えます。
「神神しい装束をまとった神職が、式典を進めていた」
人物の装束や立場に備わる「おごそかさ」を、描写する例です。対象への畏敬の念を感じさせます。

「朝日の光を受けた山頂は、どこか神神しい輝きを放っていた」
自然の景観に神聖な印象を添える表現として使うことができます。
類語や言い換え表現
ここでは、「神神しい」に似た意味を持つ言葉を整理していきましょう。
尊い(とうとい)
「尊い」とは、尊く、近寄りがたい。また神聖であることを表します。また、「価値が高い」「貴重である」という意味でも用いられますよ。
例:「尊い命」「尊い犠牲」


