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2025.12.10

なぜ「おせち料理」は「おせち」と呼ばれるのか? その由来をたどる

おせち料理の由来を知っていますか? もともとは正月限定ではなく、節供の行事食として生まれた文化です。言葉の成り立ちや重箱の意味、食材に込められた願いなどを出典に基づいて丁寧に解説。おせち料理に込められた日本人の祈りと暮らしの知恵が見えてきます。

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Summary

  • 「おせち」は「節供(せちく)」という言葉を略した表現。
  • 「おせち」はもともと節日や物日の儀式的な食物のことを指していた。
  • 重箱に詰めるのは、めでたさを重ねる意味から。

正月になると当たり前のように食べられている、おせち料理。詰められた料理の名前や形に、意味があることは知られていますが、そもそも「おせち」とは何を指しているのでしょうか? そんな素朴な疑問にお答えします。

知っているようで知らない、「おせち」の由来について見ていきましょう。

「おせち」という言葉の意味

正月料理として定着している「おせち」という名称について、意味をたどると日本の年中行事の姿が見えてきます。

「おせち=節供(せちく)」の略

「おせち」は「節供(せちく)」という言葉を略した表現です(「お」は接頭語)。もともとは、節日や物日の儀式的な食物のことを指していました。その後、「節供」の語が「節日」として用いられるようになり、「御節料理」の言葉が生まれたと考えられています。

節日のうち、最も重要なのが正月であることから、正月料理を指すようになりました。

参考:『世界大百科事典』(平凡社)

「おせち」は節供に由来するため、もともとは正月料理に限定されない言葉でした。

おせち料理の変遷

江戸時代、おせち料理は「食積(くいつみ)」とも呼ばれていました。江戸時代中期以降は、重積(じゅうづみ)または台の物として、正月用の保存食のことをいうようになります。

おせち料理としては、明治・大正・昭和を通じて各家庭で作るものに。正月の来客に振る舞うものにもなっていました。

現在は、既製品を買い求めることが多く、自家製のおせち料理は減って来ているといえるでしょう。

参考:『日本大百科全書』(小学館)、『世界大百科全書』(平凡社)

お重に入ったおせち
(c)Adobe Stock

おせち料理の形式

おせち料理は、形式そのものに意味があります。重箱の使用や、作り置きの習慣には、昔の人々の祈りと暮らしの知恵が息づいています。

重箱に詰めるのはなぜか?

おせち料理を重箱に詰めるのは、単なる見た目の華やかさではありません。「めでたさを重ねる」意味から、縁起がいいといわれる料理を重箱に詰めました。

正月用の料理は年の暮れのうちに作り置きし、何日かかけて食すため、日もちのよさが求められます。重箱は密閉性や持ち運びやすさにも優れていることから、保存性を高める役割も担っていました。

加えて、正月三が日中は、主婦の労働を軽減する、という実用的な意味合いも背景にありました。

三が日を無事に過ごすための知恵

おせち料理の習慣には、正月を平穏に過ごすための先人の知恵が詰まっています。

冷蔵環境が限られていた時代に、食材を安全に保存するため、おせち料理には汁が出ず、形がくずれず、冷めても味が落ちないものが選ばれ、味付けも濃くするのが一般的でした。

このように、正月を無事に過ごすため、保存性と安全性を両立させる工夫が家庭ごとに受け継がれてきたのです。

参考:『日本大百科全書』(小学館)

おせち料理は、「めでたさを重ねる」意味から、縁起がいい料理を重箱に詰めます。

おせち料理に込められた願い

一つ一つの料理に込められた意味を深掘りすると、ただの縁起担ぎではない、日本人独自の「言葉」や「形」を通じた祈りの文化が浮かび上がってきます。

おせち料理に込められた思想と願い
  1. 語感と形、色に願いを込める

語感と形、色に願いを込める

おせち料理に使用する食材には、それぞれ縁起のいい意味が込められています。その多くは、語感や形を手がかりに、健康や豊作、子孫繁栄といった願いを重ねる文化から生まれました。

語呂合わせの例:

・黒豆は、「まめに暮らす(健康)」という言葉に通じる。
・れんこんの穴の空いた形から「先が見通せる」ことを願う。
・くわいは、芽が出ることを出世になぞらえる。
・昆布巻きは、「喜ぶ」という言葉の縁起をかつぐ。

さらには、紅白のかまぼこに見られるように、色にも意味が込められています。

参考:『世界大百科事典』(平凡社)

お皿に乗ったおせち
(c)Adobe Stock

最後に

POINT

  • 「おせち」は「節供(せちく)」という言葉を略したもの。
  • 「めでたさを重ねる」意味から、重箱に詰めた。
  • 子孫繁栄、豊作、健康を意味するめでたい食品を詰めることが多い。

「おせち」の由来をたどることで、料理に込められた意味だけでなく、日本人が大切にしてきた節目の感覚や、祈りの形が見えてきました。こうした背景を知ることで、正月の食卓がより豊かに映るはずです。

今年は、並ぶ料理の名前の奥にある思いや、文化に目を向けながら、新しい年を迎えてみてはいかがでしょうか。

TOP・アイキャッチ・吹き出し画像/(c) Adobe Stock

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Domani編集部

Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けた「明日」も楽しむライフスタイルをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれも美容も仕事も楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッションのみならずライフスタイルやビジネス・デジタルスキルにも関心が高いエディターたちを通して発信中。
https://domani.shogakukan.co.jp/

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