Summary
- 「板挟み」とは、二者の間に挟まれて苦しむ状況を指します。
- 語源は、板と板に挟まれて動けない状態に由来します。
- 「ジレンマ」は、2つの相反する事柄の間で板挟みになることを指します。
「板挟み」とは、立場の異なる二者のあいだで、どちらにも気を遣い、身動きが取れなくなる状態を指す言葉です。職場や家庭で日常的に使われるこの表現には、単なる葛藤とは異なる深い意味と背景があります。
この記事では「板挟み」の意味や語源、使い方の例、類語・言い換え表現までを丁寧に解説し、実際の会話やメールでどう生かせるかまでを実践的に紹介します。
「板挟み」の意味と奥行き
まずは、「板挟み」の意味について理解を深めましょう。
「板挟み」の意味と語源|「挟まれる」のは物理だけじゃない
「板挟み」とは、対立する二者に挟まり、どちらの側にも付けずに苦しむ状態を指します。辞書では次のように説明されていますよ。
いた‐ばさみ【板挟み】
《板と板との間に挟まれて身動きできない意から》対立する二者の間に立ってどちらに付くこともできず、苦しむこと。「義理と人情との―」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「板挟み」の語源
板挟みは、板と板の間に挟まれて身動きが取れないことから、生まれた言葉です。
「葛藤」や「ジレンマ」との違い
「葛藤」や「ジレンマ」も迷いや苦悩を表す言葉ですが、「板挟み」とは性質が異なります。「葛藤」は、人と人とが互いに譲らずに対立することを表します。「板挟み」は対立する二者の間に立っている点で異なりますね。
「ジレンマ」は、人ではなく、2つの相反する事柄の間で板挟みになることを指します。
参考:『日本国語大辞典』(小学館)
職場・家庭・人間関係での「板挟み」|こんな場面で使える
「板挟み」という語は、日常的な人間関係の中で頻繁に登場します。例えば、上司と部下の意見が食い違っている場面で調整役を求められたり、家庭内で義母と実母の意見が対立し、どちら側にも立てない状況に陥ったりする場合に使えるでしょう。
人と人の間に立たされ、どちらを選んでも波風が立ちそうなとき、「板挟み」という言葉がぴたりとはまります。

「板挟み」とは、対立する二者に挟まり、どちらの側にも付けずに苦しむ状態のこと。
「板挟み」の言い換え表現と例文
同じ気持ちや状況を伝えるとき、別の表現を使えると、伝え方に余裕が生まれます。ここでは、「板挟み」という言葉の言い換え例や、自然に使いこなすための実例を整理し、読者の表現力の幅を広げていきます。
言い換え表現の引き出し|印象を変える言葉の選び方
「板挟み」という言葉には独特の語感がありますが、文脈によっては少し違う表現のほうが伝わりやすい場合もあります。「苦しい立場」「間に挟まれる」「立場がつらい」といった言い換えは、柔らかさや説明性を補いたいときに役立ちます。
特に口頭での会話や、初対面の相手とのやりとりでは、「板挟み」という言葉の圧が強すぎると感じることもあります。そうした場面では、「どちらの味方にもなれなくてつらい状況です」「間に入るのって大変ですね」といった、距離を取った言い回しに変えることで、印象が和らぎます。
言葉を選び替えることは、相手との関係性を円滑に保つ手段にもなりますね。
メールや会話での使い方|自然に伝える例文集
「板挟み」という語は、書き言葉でも話し言葉でも使われますが、ナチュラルに伝えるには少し工夫が必要です。例えば、社内メールでは「両部門の意見のあいだで調整が難しく、板挟みの状態になっております」といった書き方ができるでしょう。
また、口頭で上司に相談する場面では、「部下からの要望と現場の事情の間で、板挟みになっています」と伝えることで、状況の複雑さや苦慮の度合いを穏やかに共有できます。
親族との関係で用いる場合には、「どちらの気持ちもわかるからこそ、正直つらいです」といった表現に変えることで、直接的な言い回しを避けつつ、同じニュアンスを伝えられます。

言葉から考える行動のヒント
「板挟み」という言葉がぴったり当てはまる場面は、ある日突然訪れるものではありません。なぜ、自分がその立場に置かれるのか、そしてそうなったときにどうすれば少しでも楽になれるのか…。言葉から振り返ってみることで、見えてくることがあります。
板挟みになりやすい人の特徴|なぜ、いつも中間に立たされるのか
「板挟み」は、偶然に起こるだけのことではありません。一定の傾向を持つ人が、繰り返しその立場に置かれることがよくあります。
例えば、誰かに頼まれると断れない人、周囲に気を遣いすぎて本音を言いづらい人、どちらの立場にも誠実であろうとする人。こうした姿勢は人間関係において美徳にもなり得ますが、結果として「中立を貫こうとして、どちらからも要望が押し寄せてくる」状態を招いてしまうことがあります。
「板挟み」の意味にあるように、二者のあいだに置かれ、迷い悩む立場になってしまうのは、そうなりやすい性質や行動のクセに気づかずにいるからかもしれません。
まずは、「なぜ今、自分が板挟みなのか」を振り返ることが、抜け出す第一歩になります。

板挟みのストレスを減らす伝え方|自分を守る言葉選び
誰かの意見と誰かの気持ちの間で揺れるとき、すぐに立場を決めることが難しいこともあります。そんなとき、無理にどちらかに応えようとするのではなく、自分の状況や立ち位置を穏やかに伝える言葉を選ぶだけでも、心の負担は軽くなります。
例えば「両方の気持ちがよくわかるので、少し時間をください」と間を取ったり、「調整役として考えてみます」と役割を自覚する言い回しに切り替えたりすることで、相手に歩み寄る姿勢を示しながらも、自分を守ることができます。
最後に
POINT
- 「板挟み」とは、二者の間に挟まれて苦しむ状態のこと。
- 語源は、板と板との間に挟まれて身動きできない意から。
- 「葛藤」は、人と人とが互いに譲らずに対立することを表します。
「板挟み」という言葉には、立場の複雑さや心の葛藤が込められています。意味や使い方を正しく知ることで、自分の状況を冷静に見つめ直し、周囲との関係も言葉を通じて整えることができるようになるのではないでしょうか。
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Domani編集部
Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けたファッション&ビューティをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれや美容を楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッション感度の高いエディターを通して発信中。
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