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LIFESTYLE 夫婦

2020.03.28

バツイチ店長と休憩時間の倉庫で……再就職を支えた恋の華『あなたはどう思いますか?』

 

官僚の妻が「ズキューン」ときたのはパート先の飲食店の店長で…。『不倫女子のリアル』(小学館新書)などの著書がある沢木文が、東京で働く女性の恋愛事情をレポート。甘い禁断の果実に潜むリスク…あなたはどう思いますか?

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子育てからキャリア復帰は苦難の道だった

お話を伺ったのは…

山田愛美さん(仮名・40歳)、東京都出身・中堅私立文学部英米文学科卒業後、国内食品メーカーに勤務。30歳で出産・育児のために退社。2歳年上の夫(官僚・年収800万円)とは、お見合いパーティで知り合った。モラハラ気味な発言が多いが、父親として責任を全うしてくれればいいと思っている。埼玉県草加市内の分譲マンション在住。子どもは小学4年生の女子1人。身長163cm、猫背気味の甘めの雰囲気の女性。半年前にPR会社に再就職したばかり。

地獄の婚活で掴んだ、大輪のバラ

「婚活には成功したけれど、結婚生活は失敗だったと思う」と語る愛美さん。

恵さんは、結婚してから10年近く専業主婦をしていた。結婚前はかなり有名な企業に勤務していたという。なぜ会社を辞めてしまったのでしょう?

「私は就職氷河期世代。コネもなく、血のにじむような努力をして内定をつかみました。でも、仕事は男性の補佐的内容ばかり。しかも、工場のラインに立たされることもあり、結婚したら仕事を辞めたいと思っていました」

しかし、専業主婦願望がある女性と結婚したい男性は、10年前から減り続けていた。

「年収で男を判断し、好きでもないのに告白して、ゴミのようにフラれることの繰り返し。これが婚活のリアルです。そんな地獄のような日々を過ごして、つかんだのは官僚の夫。周囲にあれほどうらやましがれたことはなかったし、まさに大輪のバラをつかんだような気分でした」

ノンキャリ夫はストレスを家で爆発させる

夫の地元での結婚式、ハワイでの新婚旅行も無事に終わり、毎日の生活が始まる。最初の半年間は幸せな毎日だったが、臨月に会社を退職し、子どもが生まれたころから、夫からバカにされる毎日が始まったという。

「家事が行き届かない、話のレベルが違う、誰に食わせてもらっているんだなどと、夫は私のことをバカにするようになりました。何か意見を言っても『そんなことしか考えられないって、女は考えが甘い』などと言ってくる。政治や経済について何か言おうものなら倍になって返ってくる」

愛美さんの夫は、いわゆるキャリア官僚ではない。

「国会議員のところに行っても、お茶も出ないとか。そういう鬱憤を、ウチで爆発させるようになりました。といっても暴力をふるうわけでなくモラハラで。こっちが下手に出ると、ますます難癖付けてくるので、夫を怒らせないように息をひそめて生活していました」

子どもが生まれても、変わらなかった

愛美さんは順応性が高く、モラハラも聞き流せるようになってくる。

「子どもが生まれても、夫のモラハラは変わらない。ママはバカだと娘にも言う。でも生活費はくれるし、結婚を機に、住み心地がいいマンションを買ってくれた。娘の教育にも熱心だし、言うことないんですよ。それに、どうやら性欲も強いらしくて、レスを知らない夫婦関係で……とりあえず、アレをしとくと、万事OKみたいなところがありますよね」

周囲のママ友が続々とキャリア復帰し、焦る

愛美さんがキャリア復帰を考え始めたのは、娘が2年生になったとき。

「同じ大卒ママグループの仲いい人がフルタイム勤務に復帰していき、取り残されたような感じがあったのと、夫と離婚したら路頭に迷うと思い、再就職活動スタート。でも書類で10社落ちたんです。その後、自信をつけるために飲食店でパートを始めました」

そこで出会ったのが同世代の”店長”。

「店長はバツイチで、昭和なアパートで独り暮らししていて、今思えば冴えない中年男なんですが、なぜか”ズッキューン”ときた(笑)。パートに行くときもメイクして、オシャレしました。それまで髪を伸ばしっぱなしにして、自分で切っていたんですけれど、5年ぶりに美容院に行きました。3キロ痩せて、つま先で立って、少しでもキレイに見せようと頑張ったのは、婚活以来」

努力が実り、3か月目に、デートに誘われる。

「上野で昼からお酒を飲んで、休憩4000円のラブホテルに行きました。これ以上ないくらい安いデート。それでも夫以外の男に誘われて、そういうことをするというのは、背徳感以上に満たされる。とにかく、当時の私は自分に自信がなかった。だから店長によって自信をつけてもらったような気持ち」

その後も、パートの休憩時間に情事に耽る。

「休憩時間に、倉庫とか、マンガ喫茶とか…高校生だってもっとマシなことしますよね。それと同時に強気になれたから、再就職のための就職活動もがんばれたんです。とりあえず仕事している、とりあえず夫以外の男に欲情されているというのは、目先の不安を解消してくれる」

再就職先が決まったら、不倫相手とは疎遠に…

店長との交際期間は、1年半。愛美さんの再就職先が決まり、パートを辞めた時点で終わった。

「そもそも、店長は、夫と離婚して再婚する人ではない。再就職先が決まって、パートを辞めてから連絡はありません。でも、私が根気よく再就職活動ができたのは、店長との恋愛があったから」

愛美さんの復帰を機に、夫のモラハラ発言は和らいできたという。

「家族が幸せに生活するためにも、あの浮気は必要だったんだな……と思います」

それがもし、何らかの形で子どもや夫に知られたら…。彼女はどうするのだろう。

写真/(C)Shutterstock.com

Writer&Editor

沢木 文

1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。お金、恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。

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