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LIFESTYLE 夫婦

2020.03.28

英語がわからない夫の前で、恋人と電話する背徳感『あなたはどう思いますか?』

経歴詐称の夫と結婚してしまった秀才の恋。『不倫女子のリアル』(小学館新書)などの著書がある沢木文が、東京で働く女性の恋愛事情をレポート。甘い禁断の果実に潜むリスク…あなたはどう思いますか?

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英語が話せない夫に幻滅した新婚旅行から……

今回お話を伺ったのは…

お話を伺ったのは……井上珠美さん(仮名・39歳)、三重県出身・地方国立大学卒業、マスコミ関連会社勤務(年収650万円)。4歳年上の夫(テレビ番組制作会社勤務・年収1000万円)と結婚9年。杉並区内の分譲マンション在住。子どもは8歳の女の子。身長165cm、ロングヘアを巻いており、外出時には大きなハイブランドのサングラスをかける美人。

夫の経歴はウソだらけだった

珠美さんと夫は、仕事で出会った。

「私、地方出身のコンプレックスがあって、絶対に東京に出たかったんです。血のにじむような勉強をして、親ともぶつかり合い、説得して大学に進学。卒業後に上京しました。ホントに不景気でしたけれど、理系が得意で専門分野を極め、ガッツがあったので、第一希望のマスコミ関連会社に就職できました。仕事でも結果を残してきたのです」

幼いころから、結婚するなら「東京生まれ・東京育ちのテレビ局の正社員」と決めていた。

「他にも”世界をまたにかけて活躍するお金持ち”という選択肢もありました。最終的な結婚相手として、夫、外資系証券会社勤務の男性の2択だったのですが、夫を選んだのです。でも、結婚してみたら、夫はテレビ局の”正社員”ではなかった。学歴も出自も偽っていて、幻滅しました」

新婚旅行で、お店の人に横柄な態度

しかし、夫は都会の生活を維持できるだけのお金を持っていた。

「株の投資はしていないけど、不動産投資で財産を持っている。ビットコインも早く目を付けていて、かなりの益を得ていましたね。でも、投資する人は往々にしてケチじゃないですか? あまりお金を使わないんです」

ただ、珠美さんの夢を叶え、ハワイで挙式と新婚旅行をしてくれた。

「親族が帰った後、2人きりで食事をしたのですが、あるレストランでワインの味が気になったらしく、店員さんに日本語でクレームをつけたんです。私が『まあまあ』となだめると、『俺を見下しているのか』と激怒。酔っていたとはいえ、許されることではない。結局、英語が堪能な私がレストランに謝り、夫をホテルに連れて帰りました」

古風な価値観を捨てきれない珠美さん

夫は珠美さんには優しいが、店員さんやタクシーの運転手さんなどに横柄な態度をとるところがある。

「いつも、夫を立てるようにしています。でも内心はバカにしてしまうんですよね。それでも結婚生活が続いているのは、自分でもよくわかりませんが、娘がいるから?娘も心のどこかで夫をバカにしているかもしれない」

「パパと出かけるのは恥ずかしい」

なんとなく家族関係も家庭生活も続き、子どもはどんどん大きくなる。

「パパやママと呼び合い、家族でいられるのなんて、子どもが7歳くらいまでじゃないかな。小学校1年生の夏休みに『パパとお出かけに行くと恥ずかしい。ママとだけ行きたい』と言い出して、ごもっともだと思いました。だって、いきなりお店の人に怒り出すし」

その時に、珠美さんは離婚を考え始める。

「離婚は娘のためにもしてはダメなことだと思っていましたが、それもいいかな……と。その直後に、夫が仮想通貨で800万円の穴をあけて、一時的に私の貯金から補填したんですよ。それをしないと、マンションを売却する話が出たので。そのとき、1000万円あった私の残高が、200万円になってしまって『終わった』と思いました」

メールでやりとりしていた英国人研究者が来日

800万円は1か月後に還されたものの、夫への不信感は消えなかった。

「そのタイミングで、5年前からメールでやりとりしていた英国人の研究者が、学会で来日したんです。1日オフがあり、そこで東京を案内しました。彼はアートや音楽にも造詣が深く、専門的な内容でジョークを言い合って、久しぶりに心の底から満たされたんです。品のいい和食さんに案内し、ほどよく日本酒が回ったころに、彼の方から誘われて、宿泊しているホテルに行きました。夢のような時間が終わり、帰ろうとした夜8時に、娘を預かってくれているママ友から『今日、娘ちゃん、ウチに泊まりたいって言っているけど、いい?』とLINEが来たのです」

そのまま朝まで2人で過ごし、将来のことを語り合う。

「離婚して、英国に住まないかという話をされました。彼の滞在中に何度か会い、娘にも紹介したのです。それから8カ月、彼とはスカイプで会話しています。そばに夫がいるときもありますが、彼は英語が話せない。きっと仕事の話だと思っているんでしょう。そういう夫をみていると、どこかスッキリするんですよね」

夫のモラハラの矛先が、珠美さんや娘に向いたことはない。それでも日常的に蓄積されていった「恥」に対する「恨み」は根深く残る。本当に夫を嫌悪するなら、スッパリ離婚をしているだろう。しかし、復讐手段として「不倫」を選ぶ珠美さんは、まだ夫のことを心のどこかで愛しているのかもしれない。

写真/(C)Shutterstock.com

Writer&Editor

沢木 文

1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。お金、恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。

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