退団された今はいろんなお仕事をされていますが、いちばん楽しかったのはなんですか?
沙央:タカラヅカのお仕事とは違うのでどれも新鮮なんですけど、以前からやりたいと思っていたのはラジオなんです。話すことがとても好きで。今、ラジオのレギュラーを2本いただいていて、1本は収録、1本は生放送なのですが、時間帯やメンバー、シチュエーションによって盛り上げ方違うので、コンセプトが違うとこんなに作り方が違うんだという面白さを知りました。
あとは映画ですね。小さい頃から、家族全員で映画のDVDを観るという習慣があったんですよ。毎週水曜日にレンタルショップに行き、私と弟で1本、両親が1本選んだものを1週間で観ていました。だから映画にもずっと出てみたかったところ、蜷川実花監督の『ダイナー』に出演が決まって楽しかったです。映画は舞台と違って、空間がもう装置になっているところ。「終わったら壊しちゃうんですよね?」というリアリティあふれる素敵な空間で、他の俳優さんたちとアクションして。アクションを全部合わせないのがタカラヅカのやり方なのですが、映像はしっかり合わせて本気で向かっていかなければいけないので最初は戸惑いました。例えば、奥田瑛二さんの顎を掴むシーンがあったのですが、タカラヅカだと「見せる」ことに重きを置いていたのですが、映像で大事なのはリアリティで。奥田さんにも「リアルに芝居をしたいからもっとちゃんと掴んで」と言われました。そんな違いを体験できたのは、とっても勉強になりましたね。
今後はどんな活動をしていきたいですか?
沙央:やはりずっとやってきた舞台は続けていきたいです。タカラヅカには17年いて、子どもから老人、王子様から悪役、女役など様々な役をさせていただいたので、今度はいろんな方達とお芝居をしてみたいなと思っています。
本当に話し上手なコマさん! 意外な出会いや、その出会いをそのままにしないコマさんの「人間力」に引き込まれました。スタッフに手土産をご用意くださったりと気遣いも素晴らしく、コマさんの周りにいろんな方が集うのもうなずけます。
インタビューvol.2
▶︎男役の鎧を少しずつ剥がして、女優へ。元男役【沙央くらまさん】の今
撮影/花村克彦 文/淡路裕子
女優
沙央くらま
さおうくらま・3月3日生まれ、東京都出身。2001年に87期として宝塚歌劇団に入団、宙組大劇場公演『ベルサイユのばら2001』で初舞台を踏み、その後雪組に配属。2006年『ベルサイユのばらーオスカル編ー』で新人公演初主演。2009年バウホール公演『雪景色』で同期の早霧せいなとW主演し、2013年に月組へ組替え、2014年に専科へ移動。2016年、同期の龍 真咲の退団公演となる月組大劇場公演『NOBUNAGA/Forever LOVE!!』で初のエトワールを務める。2018年雪組大劇場公演雪組『ひかりふる路/SUPER VOYAGER!』にて宝塚歌劇団を退団。退団後は舞台をはじめ、映画やラジオ、Webの連載などで存在感を発揮している。
ワンピース¥15,300(glamb Tokyo〈LAYMEE〉) 、その他/本人私物
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