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2020.03.05

男役の鎧を少しずつ剥がして、女優へ。元男役【沙央くらまさん】の今

 

タカラヅカ時代のこと、同期との関係などについてお話いただきました!

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退団後は女性らしい空気をつくるように意識しつつ…、でもたまにやる「男役」はやっぱり楽しい!

今回のお話は、タカラヅカ時代のことと退団後に変化したこと。17年間のタカラヅカ生活の中で培ったことを活かしつつ、「女優」として新たな魅力をどうプラスしていくか。また、特に関係の深かった同期3人との思い出も、じっくりうかがいました。

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退団されて約2年。タカラヅカを離れたあと、こんなにも違うんだと驚かれたことはありますか?

沙央さん(以下敬称略):当たり前なのですが、どの現場に行っても男性がいることでしょうか。タカラヅカで男役をやっていた時、イキがっていたんですよね、私。闘っていたというか。背が低めで女性顔なので、演出家の先生にも「女役になった方がいいんじゃないか」と言われたこともあり、ずっとコンプレックスだったんです。仕事以外で男性の方にお会いする時でも、女性として扱われることに反発していたように思います。

タカラヅカを卒業して、当然ですが「女性」として生きていかなければならなくなり、そのよくわからない反発心を取り除き、「男役」としてのプライドを一度捨てることに苦心しました。「この女優さん、楽しいな」と思っていただけるような空気を作ることが大事なんだとこの2年間で学びましたね。卒業したばかりの頃は、どんなにスカートを穿いても似合わなかったのですが、時間の経過とともにこなれてきたように思います(笑)。

コマさん 沙央くらま
▲ワンピース¥16,000・スカート¥14,500・サークルベルト¥8,500(税抜/glamb Tokyo〈LAYMEE〉) その他/本人私物

徐々に、男役として闘っていた鎧を剥がし、みたいなところから変わられたんですね。

沙央:そうですね。2年間、タカラヅカ以外の場に触れて、いろんな方たちとの接し方も学びましたね。でもやっぱり、タカラヅカ時代のファンの方がいらっしゃる時などには、かっこいい面も見ていただきたいですね。昨年、(元タカラジェンヌの)一路真輝さんと鳳翔大ちゃんと3人で出た舞台があって、その時はすっごい女の子っぽい役だったんですね。アフタートークショーで男役をやらなければならなくなり、聞いた時は「えーーっ」と思ったのですがいざ始まったらオラオラするのが楽しくって。3人とも水を得た魚のように、『エル・クンバンチェロ』や『闇が広がる』を歌ったりして、共演者の方もびっくりするくらい本格的な男役になりきりました(笑)。

現役時代は2回の組替えを経験されたと思いますが、人間関係をうまく築くコツがあれば教えてください。

沙央:雪組に配属されて、最初はなかなか馴染めなかったんです。早い段階から大きな役をいただくことがあり、「優等生だよね」とか「どんな子なんだろう」と周りから距離を置かれているように感じることがあって。どんどん自分を出せなくなり、何を考えているかわからないと言われたこともありました。ある時「どうせ嫌われるなら、ちゃんと自分を出して、本当の自分で嫌われるなら仕方がないな」と思った瞬間があり、本当の自分で嫌われてしまったら苦しみはあるけれど学ぶこともあるはずだと。そこから「こうだから私はこう思っている」とか「こういう状況だから言えないこともある」と自分が思っていることを正直に話すようになりました。すると周りの目も変わってきて、「コマらしいね」とか「コマならこんなことは思わないね」とか、素直な自分を知ってもらえるようになりました。自分を知ってもらうには、きちんと自分の言葉で伝えないといけないんですよね。

コマさん 沙央くらま
▲ワンピース¥15,300(税抜/glamb Tokyo〈LAYMEE〉)  その他/本人私物

その後、月組に組替えした時は上級生になっていたので、周りがみんな気を使ってくれるんですよ。特に月組は上下関係がしっかりしていたため、相手の本音は見えないし、私も本音を言ったらどう思われるかわからず怖かったですね。でも私が上級生なのだから、私から扉を開かないと下級生はもっと距離を感じてしまうだろうと思い、もう、ワーッと自分をさらけ出そうと。上級生としてカッコつけてふるまうのではなく、稽古場でひっくり返ろうがセリフを忘れようがドジしようが恥をかこうが、これが私なんだという姿を出して溶け込んでいきました。仕事の時はきちんとしながらもオフでは気軽にご飯に行ったりして、下級生ともたくさん話しましたね。

専科に異動になった時はもっと怖かったです。例えば、今まで接点のなかった組の公演に出る時。名前は知っているけど、どんな芝居をするのかまったく知らない方たちばかりなんですね。知っている人が誰もいない中で芝居をすることがすごく不安だったのですが、稽古期間しか一緒にいられないから、舞台の上で、芝居を通して絆を作っていくことに徹しました。どんなにいい人でも、仕事で認められなかったら信頼関係は生まれないじゃないですか。だから仕事できちんと結果を残そうと。そんな環境を作っていくうちに自ずと、「今度ご飯に行きたいです」と言ってくれる下級生が出てきて、うれしかったですね。

普通の社会人生活でも参考になるお話です。

沙央:気を使って人にいい顔をするのではなく、仕事でちゃんと形にしていかないとですよね。失敗した時は、その後の振る舞いでどう挽回するかも大事だと思います。ピンチはチャンスと思って私は過ごしてきたので。…タカラヅカの外の世界はもっとクールなので、いまだに難しいです。例えば、それまでまったくご縁のなかった人たちが集まって、仲の良い芝居をしなければならないとなったとき、そこには上下関係はなく、むしろそれぞれの世界でプライドを持ってやってきた人たちばかりなので。そんな中でも自分らしさを忘れず、信頼してくれる人たちを大切にしていくことが大事なのかなと…いまだに模索中ですけどね。

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