タカラジェンヌさんにとって、同期はかけがえのない存在だと思うのですが、何か思い出されるエピソードはありますか?
沙央:特に縁が深かった3人についての話になってしまうのですが…、岬 麗、早霧せいな、龍 真咲。最悪なところと最高なところを知っている3人です。音楽学校を含めたタカラヅカの生活は余裕がなくて、フィルターを通して言葉を選ぶということすらできなくなってしまうことがあるんです。きょうだいと喧嘩したり親に悪態をついたりという、家族にしか見せられない面を出してしまうこともありつつ、自分の持っていないものがあって尊敬でき、すごく大切で大好きな同期。
じゅん(岬 麗さん)は雪組で一緒で、今は人形作家とモデルをしています。現役時代にたまたま「ロフト」で紙粘土を手に取って、上級生の方にプレゼントしたら喜んでもらえたことがきっかけで、卒業後、本格的に人形作家の道に行くってすごくないですか? 国際フォーラムで行われたアートフェアに出展したりと、すごく輝いていて素敵だなと思っています。
ちぎちゃん(早霧せいなさん)とは、雪組時代に対になることが多かったんです。お互いにできないことや葛藤している姿を見て、お互いに高め合う努力をして。あと、予科生の頃はよく間違われましたね。その頃のちぎちゃんは今よりぽっちゃりしていて、ふたりとも色白で。雪組時代は「チギコマ」と呼ばれていました。着ている服もなぜかかぶるんですよ。日本青年館のW主演の時、ふたりして赤の革ジャンを着て行ってしまい、「(公演が終わったら)時差で出ようね」とか(笑)。劇団の会食の際も、ふたりして同じブランドの色違いのストライプ柄ベストに蝶ネクタイをしていて、「これでかぶる!?」というインパクトのある着こなしでかぶるんですよね。卒業後のWOWOWのお仕事でも、色違いのスエットベストにダメージデニムがかぶるという…。「どこで買ったの?」と聞いたら、まさかの代官山の同じお店で(笑)。
まさお(龍 真咲さん)はね、音楽学校の本科生の修学旅行の時に、ホテルを抜け出してラーメンを食べに行った仲です(笑)。お風呂で一緒に写真を撮ったり、ふたりで職員室で怒られたりと思い出はあるものの、組配属で分かれて、その後、私の月組への組替えで久しぶりに一緒になりました。音楽学校時代からかなり月日が経っているから、私が月組に行った直後は彼女はもうトップスターでしたが、戸惑っていたと思いますね。その後私が専科に行き、彼女が退団するとなった時に「退団公演にコマを出してほしい」と言ってくれたみたいで、劇団の方に「まさか一緒に辞めないですよね?」と聞かれたくらいです(笑)。それはとっても光栄なことで、ちゃんと送り出せて、うれしかったです。
いまだにみんなと連絡をとっていて、縁は深いですね。嫌な部分と好きな部分の両方を見ていると、何があっても離れないんですよ。それ以上最悪なことはないから。
人間関係に迷った時の振る舞い方や、周りの人たちとの関係の作り方など、私たちの生活にも取り入れられることを、熱っぽく話してくれました。87期の3人との、今だから話せるエピソードを披露してくれたのもファンとしてはたまらず、うれしいですよね!
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撮影/花村克彦 文/淡路裕子
女優
沙央くらま
さおうくらま・3月3日生まれ、東京都出身。2001年に87期として宝塚歌劇団に入団、宙組大劇場公演『ベルサイユのばら2001』で初舞台を踏み、その後雪組に配属。2006年『ベルサイユのばらーオスカル編ー』で新人公演初主演。2009年バウホール公演『雪景色』で同期の早霧せいなとW主演し、2013年に月組へ組替え、2014年に専科へ移動。2016年、同期の龍 真咲の退団公演となる月組大劇場公演『NOBUNAGA/Forever LOVE!!』で初のエトワールを務める。2018年雪組大劇場公演雪組『ひかりふる路/SUPER VOYAGER!』にて宝塚歌劇団を退団。退団後は舞台をはじめ、映画やラジオ、Webの連載などで存在感を発揮している。
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