筋肉質な胸板、二の腕の肉体美にやられた……
今回お話を伺ったのは…
お話を伺ったのは……矢野恵理子さん(仮名・38歳)、青森県出身・中堅女子大学英文学部卒業、食品輸入関連会社勤務(年収380万円)。3歳年上の夫(広告代理店勤務・年収600万円)と結婚10年。台東区にある、夫の実家が所有するマンションに在住。子どもは小学3年生の女子1人。身長155cmで中肉中背、ロングヘアと甘めのファッションがかわいい女性です。
夫は、10年前からうつ病を患っている
「私の夫は結婚して2年目くらいに、EDになったんです。私は当時、妊娠していたので、それでもいいと思っていたのですが、子育てが落ち着いてくると、女として見てほしくなる。でも催促はできません。余計なプッシャーをかけたくないという気持ちは今でもあります」
恵理子さんの夫の実家は、土地や建物を複数所有しており、金銭的な援助を受けている。夫がうつ病になって収入が激減しても、安定した生活ができるのは、夫の実家のおかげだ。
義母が娘の進学先に干渉
「義父母は遊び人で、観劇、海外旅行、スキー、クルーザーと遊び回っているので、お金は出しても私たち家族に対し、興味はないみたいでずっと楽しく生活していました。でも義母は自分が出た超名門女子中高一貫校に娘を入れたいらしく、娘が2年生の終わりごろから、いろいろ言ってくるようになったのが不満と言えば不満」
恵理子さんはワンオペで子育てを行っていた。夫は子育てを手伝うことすらしない。義父母は自分たちの遊びに忙しく、保育園の送り迎えの一切をしていない。仕事の繁忙期には青森から母親を呼び寄せて、娘の世話をさせていたという。
「いろんな欲求不満が爆発しそうになって、ランニングをすることにしたんです」
深夜のランニングに「出会い」があった
欲求不満は運動で発散させる。恵理子さんは毎日同じルートで、雨の日も風の日も1日8キロ走り続けた。
「同じような時間に毎日走って1か月。なんとなく顔見知りができるようになりました。まあオジさんからナンパされたこともあったのですが、気になっていたのが毎日、同じような時間に走っていた、ありえないくらい地味な20代の男性。たぶん、モテないと思うんですよ。でも私はキュンと来た。そのうちに目であいさつするようになり、互いの存在を確認するように。1か月後に、LINEを交換しました」
連絡をしたのは、私から…
彼は「オクテ」だから絶対にLINEはしてこない。そう感じ、自分から連絡したという。
「彼は6歳年下の32歳。土曜日に会うことにしました。この日は、娘は友達とテーマパークに行っている。夫には『ちょっと休日出勤。遅くなるかもしれない』と、ワクワクしながら待ち合わせ場所に行きました。メイクも気合入れて、駅ビルのプロメイクの店を予約。一番痩せて見えるフレア裾のカーキ色のワンピースを着ました」
女性として求められる幸せ
彼は紳士的だった。同じ東北出身ということもわかり、会社の業種も近かった。気づけば3時間が経過していたという。
「食事しても離れがたく、話も楽しく、3回目くらい飲みに行きました。家も近いから一緒に帰ると、彼の方から『いいでしょ、ね。抱きたい』と言われて、彼のアパートに連れ込まれました。10年ぶりですよ。10年間していなかったから、どうしていいかわからないんです。初めて男性のことを知った18歳のときの感覚を思い出しましたよ」
このまま駆け落ちしてもいいかなとさえ思った
彼の家はベッドとテーブルしかないワンルームマンション。
「独身男性らしい感じに、母性本能はくすぐられますよね。そして彼の筋肉質の胸板、上腕、肌のハリ感などとても美しい。これは後でわかったのですが、オクテに見せかけておきながら、女性にモテていいたんです。技術的にも申し分なくて、溺れてしまいました」
彼に会うまでは男女関係のすばらしさの10%程度しか知らなかった。
「もう、このまま駆け落ちしてもいいかな……って思うことがあるんです。でも最近、彼が冷たい。したいときに呼び出されて、コトが済むと『僕、これから会社に行かなくちゃいけないんだ』と言われることが増えたんです。彼と関係が始まってから、ランニングをやめて10kgも太っちゃったからですかね。今、娘は勉強や遊びで忙しいし、私の孤独感は彼しか癒すことができないのに……」
家庭か、快楽か…どちらを取るか自分次第だが、この恋が露呈するのは時間の問題。もし関係が明るみに出たら…。
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Writer&Editor
沢木 文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。お金、恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。