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LIFESTYLE 夫婦

2020.05.01

コロナが招いた復活不倫愛『あなたはどう思いますか?』

 

コロナ渦で海外から帰国した「昔好きだった彼」から求められ…。『不倫女子のリアル』(小学館新書)などの著書がある沢木文が、東京で働く女性の恋愛事情をレポート。甘い禁断の果実に潜むリスク…あなたはどう思いますか?

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沢木 文
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自暴自棄になっていた大学生活

お話を伺ったのは…

丸岡凪子さん(仮名・40歳)。東京都出身・名門私立大学文学部卒業、デザイン関連会社勤務(年収650万円)。2歳年下の夫(レストラン関連会社勤務・年収650万円)と結婚10年。江東区内の中古マンション在住。子どもは8歳の息子と、6歳の娘。身長155cm、小柄でほっそりとしている、元サブカル女子。

門限19時、厳しい家庭で生まれ育つ

凪子さんの祖父母は、下町で飲食関連の接客業をしていた。長男である父親は親に反発し、家出。自力で中堅大学を卒業し、日本有数の商社に入った。

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「今は定年していますから、威張り散らした強欲爺さんですけどね。母とは熟年離婚しました。父は自分の理想があり、それを兄と私にも強要してきました。テレビNG、ポケベルNG、お小遣いなし。タレント・志村けんさんが亡くなって、皆悲しんでいますが、私は彼の活躍をほとんど知らないんです。同世代と同じ気持ちを共有できないことに対して、改めて父に怒りを覚えます。父が特に厳しかったのが門限。19時を過ぎると容赦なくビンタされました。祖父母の家に逃げると捕まえに来て、逃げ場がなかった」

兄は早々に父親に見切りをつけて、高校卒業後は板前さんになってしまった。成績が良かった凪子さんは名門大学に進学する。

「大学名だけで父にすすめられました。『合格したら50万円やる』と言われて、一番偏差値が低い学部を受けたら合格。結局、そこしか受からず、通学することになりました。すると父親は憑き物が落ちたように、私に興味を示さなくなった。同僚にドヤれる学歴を持たせたかったんでしょう。それからは私の反抗期がスタート。大学4年間はホントにただれた日々を過ごしました」

男友達のアパートを転々とし、ほとんど家には帰らず、学校も最低限しか行っていなかった。

特別な男友達は、大学生でテレビのADをしていた

女子の友達と会わず、男友達とつるんでいた。友達は20人ほどいて、その多くと男女の関係になっていた。

「思い出せる限り、してないのは5人だけ。やはりきちんとした人は、そう簡単に男女関係にならないんですよ。やはり、ホイホイ応じてしまう人は、私も含めて何らかの問題点を抱えているような気がする。そして男女関係にならなかった男友達のうちの一人に片思いをしていました。その人は大学生なのに、テレビ番組制作会社のADや放送作家のようなことをしていて、金回りがよかった」

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彼が住む学芸大学の2LDKのマンションに、凪子さんはよく通っていた。

「台所に本が重なっていて、料理ができないんですよ。いつも鍵があいていて、埃だらけの部屋で彼の帰りを待っていた。彼には彼女はいなかったので、私から誘うと『そういう気分じゃない』と言われました」

凪子さんは卒業も就活も大変だった。忙殺されているうちに、彼はどこかに引っ越してしまい、音信不通に。

「それから、私も職を転々とし、いろんな恋愛をし、仕事で出会った夫と結婚した。夫は元ヤンキーの料理人で、寡黙ないい人です。今回のコロナ禍でも、できることはやっていこう、とテイクアウトメニューを立ち上げて、頑張っている。でも、私とは会話がかみ合わないし、酔っぱらうとたまにDVをするんですよ。『オマエ、大学出たのにこんなこともわからないのか』などと言ってくる。まあ、私も父のようなエリートは嫌いなので、夫を選んだんですけれど、やっぱり辛いですよね。離婚を考えたことは何度もあります」

若いころに遊んだから、不倫は無縁だと思っていた

凪子さんは、かねてから、「私は絶対に不倫はしない」と断言していた。

「若いころに散々遊んだし、相手が変わったってすることは同じ。結婚もしたし、子どももいる。時間も金も自分と子どもたちのために使いたい。夫とは月一程度で関係があるし、不倫する人の意味が解らなかったんですよ」

しかし、大学4年の時に音信不通になっていた片思い相手の男友達が、18年ぶりに連絡してきた。

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「同級生を伝って、私の電話番号を調べてみたいで、『久しぶり、元気か?』って。彼は大学卒業後、ヨーロッパで仕事をしており、コロナ禍で帰国したとのこと。『もう死ぬのかと思ったら、親とナギコの顔が浮かんだんだよ。会わない?』と言われて、彼が一時的に住んでいるというウィークリーマンションに行きました」

マンションは、凪子さんの家の近くにあった。8畳ほどの大き目ワンルームで、彼は100冊くらいの本に囲まれ、タバコを吸っていた。

インターフォンを鳴らすと、「オマエもババアになったけれど、俺もジジイになったよ」と言い、ベッドに凪子さんを座らせて、キスをしてきた。

「あのときは、ストーカーされそうで怖かったからしなかった」と彼ははっきりと言った。

「たぶん、余計な荷物を負ったり、強制されるのが嫌いな性格なんでしょう。あとは、当時もカッコよかったですが、今はいい感じに大人の男になってそれはそれで素敵。ヨーロッパ仕込みなんでしょうかね。恋愛関係に持ち込むまでが早かったですよ。彼は、2週間の自主隔離の後に、検査を受けて陰性だったから、ウィルス感染者ではない。むしろ私の方が、外で働いている夫と暮らしているから危ない。そのことを伝えると『いいんだよ。騒ぎすぎ』と、どんどん進めていくんです。あれだけ刺激的で気持ちがいいことは、今までしたことがありません」

「いい女になったな」「かわいいよ」「ずっと気になっていた」「あの時もしたくてたまらなかった」など、凪子さんが欲しかった言葉を彼は囁く。そして、凪子さんは彼に夢中になっていく。

「何度か関係を持ってわかったのですが、彼は離婚をして、日本に帰ってきたんだそう。私の仕事と、彼の仕事は親和性が高く、もしかしたら、夫と離婚して、再婚する可能性もあるんですよね。とにかく、今は彼のこと以外、何も考えられません」

彼が「余計な荷物を持ちたくない」性格だということはわかっているのに、凪子さんは子連れでの再婚をどこか夢見ているようなところがある。

現実を直視せず、暴走した結果、どうなるのか…それは、凪子さんがいちばんよくわかっているのかもしれない。

写真/(C)Shutterstock.com

Writer&Editor

沢木 文

1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。お金、恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。

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